発表

1C-009

女性アイドルのメンバーカラーが性格印象に与える影響

[責任発表者] 粟津 俊二:1
[連名発表者・登壇者] 松橋 奈々美#:1
1:実践女子大学

<目的>
 外見が性格などの内面的な印象に影響することは古くから知られている。これは様々な場面でも応用され,与えたい印象や他者との違いを明確にするために,外見(装い)を変えることは日常的に行われることである。一例として女性アイドルグループがある。日本には多くの女性アイドルグループがあるが,その中には各メンバーの担当色(メンバーカラー)を決め,衣装やグッズにその色を取り入れるものも多い。では,このような担当色は,そのアイドルの印象に,本当に影響しているのだろうか?女性アイドルにおいても,そのアイドルの担当色が性格印象に影響しているとの仮説を置き,3つの調査を行った。以下,概要を示す。

<調査1>
 3組のアイドルグループから赤青黄の各色を担当色とする計9名が,担当色の衣装を着ているカラー写真と,白黒写真を用意した。各アイドルを知らない調査協力者183名を12グループに分け,1つのグループに属する3名のアイドルの性格印象について5段階で評定させた。なお,3名の内1名は白黒写真を,2名はカラー写真を見せた。各アイドルそれぞのモノクロ,カラー写真それぞれについて,およそ20名程度が評定するようにした。性格印象は,赤・ピンク・オレンジ・黄・緑・青・紫・白が与える印象として,一般に流布しているものから,それぞれ2〜4個項目,計26項目を使用した。各アイドルの担当色を知っている者や,未回答項目がある者の回答は分析から除外し,120名の結果を分析した。評定値について,担当色(赤・青・黄),写真色(カラー・白黒),性格印象色(8色)の三要因分散分析を行ったところ,担当色と性格印象色の主効果は有意であり,写真色の主効果は有意でなかった。また,担当色と性格印象色の交互作用が有意であり,他の交互作用は有意でなかった。白黒写真においても,カラー写真と同様に,各メンバーの担当色に一致する性格印象が高く評定されていた。つまり,メンバーの担当色以外の要因が,その色が与えるはずの性格印象を与えていた。

<調査2>
 同じ146名の協力者に,調査1と同じ白黒写真を用いて調査した。各協力者に調査1とはことなるグループの写真を見せ,「各アイドルを色で表すとしたら何色か」を,赤・ピンク・オレンジ・黄・緑・青・紫・白の8色から選択させた。未回答の者,各アイドルの担当色を知っている者,未回答項目がある者の回答を分析から除外し,84名の結果を分析した。各アイドルの担当色を回答した協力者が,どのアイドルにおいても最も多く,カイ二乗検定も有意であった。つまり,各アイドルの白黒写真から得られる印象で,そのアイドルの担当色がわかった。各アイドルが,“自身の担当色らしい顔”をしている可能性が考えられる。

<調査3>
 調査1,2に参加していいない138名に,調査1,2と同じアイドルの白黒写真を提示し,宮本,山本(1994)の相貌評定尺度の項目にどの程度あてはまるかを,5段階で評定させた。各協力者は,いずれかのグループに属する3名について回答した。各アイドルの担当色を知っている者や,未回答項目がある者の回答は分析から除外し,101名の結果を分析した。相貌評定尺度の4因子ごとに各回答者の平均評定値を求め,相貌因子と担当色の2要因の分散分析を行った。
担当色の主効果,相貌因子の主効果,担当色と相貌因子の交互作用のいずれも有意であった。相貌因子のうち「ほっそりした顔因子」と「各部位の大きさと濃さ因子」に,単純主効果が見られたため,この2因子における担当色の効果について下位検定を行った。赤色担当アイドルは「ほっそりした顔で各部位が大きい」,黄色担当アイドルは「ほっそりした顔で各部位が小さい」,青色担当アイドルは「丸顔で各部位が中程度」という結果が得られた。

<総合考察>
 本研究はアイドルの性格印象と担当色の関係を検討した。色が性格印象に影響すると予想していたが,アイドルの場合は相貌の与える性格印象が,担当色に影響していると考えられる。つまり,「青い衣装を着ているから冷静に見える」のではなく,「そのアイドルが冷静であるように見え,冷静な性格を色で表すとしたら青となり,そのアイドルの印象が青色に一致する」のであろう。
 ただし,本研究で用いた写真は,公式HPで公開されているものであり,日常の姿ではない。グループ型のアイドルでは,キャラクター作りの手段として色が使用されており,与えたいキャラクターが相貌や衣装で表現される。今回調査対象としたアイドルは,いわゆる「地下アイドル」の中でも知名度が高いグループである。メンバーそれぞれが担当色に合った顔,性格に見えるということは,顔と色(衣装)に統一感があり,キャラクターに被りがないようにく表現されていると言えるだろう。これは,グループ内の個々を引き立て,かつ全体のバランスを取ることにつながり,人気になるうえで必要な要素なのかもしれない。

詳細検索