発表

1B-014

空間の性質が居場所の心理的機能に与える影響

[責任発表者] 橋本 かりん:1
1:上越教育大学

問題と目的
 杉本・庄司(2006).は,居場所の心理的機能として,「被受容感」「精神的安定」「行動の自由」「思考・内省」「自己肯定感」「他者からの自由」があることを明らかにした。杉本・庄司(2006).は,自分ひとりの居場所,家族のいる居場所,家族以外の人のいる居場所について,それぞれの心理的機能を分析し,それぞれの居場所が異なる心理的機能を有していることを示している。
 本研究では,居場所を分類し,それぞれの空間が持つ居場所の機能を探る。

方法
 大学生・大学院生 87名(男性 45名,女性 40名,性別不明 2名,平均年齢21.68歳,SD=2.678)を分析対象とした。質問紙は,性別,年齢,最も自分の居場所だと感じる空間(自分の家,自分の部屋,住んでいる地域やそこにある施設,学校 から1つ選択),居場所の心理的機能尺度(杉本・庄司, 2006)などから構成した。

結果
 居場所の心理的機能(杉本・庄司, 2006;4件法)について,α因子法,プロマックス回転による確認的因子分析を固有値≧1.0を基準として行ったところ,先行研究と同様に6因子構造(被受容感因子 α =.87,精神的安定因子 α =.86,行動の自由因子 α =.85,思考・内省因子 α =.77,自己肯定感因子 α =.67,他者からの自由因子 α =.83)が確認された。
 次に,居場所の種類が居場所の心理的機能に与える影響について検討するため,居場所の種類(ダミー変数)を独立変数,居場所の心理的機能の下位尺度を従属変数とする重回帰分析を行った。
 その結果,被受容感因子には,学校,住んでいる地域やそこにある施設,自分の家が正の影響を与えていた。行動の自由因子には,自分の部屋が正の影響を与えていた。思考・内省因子には,学校が負の影響を与えていた。自己肯定感因子には,住んでいる地域やそこにある施設が正の影響を与えていた。そして,他者からの自由因子には,自分の部屋,学校が正の影響を与えていた(Table 1)。

考察
 本研究の結果,自分の家は被受容感を高めることについては,家族がいることが影響していると考えられる。自分の部屋は行動の自由,他者からの自由を高めることに影響を与えていたことについては,自分の部屋が,他者から制限をされず自由に行動ができる居場所としての機能を有しているためであると考えられる。住んでいる地域やそこにある施設が自己肯定感を高めることに影響を与えていたことについては,地域やそこにある施設において,ボランティア活動などに取り組むことが自己肯定感の向上に影響を与えているためであると推察される。学校は,被受容感を高めるが,思考・内省,他者からの自由を低下させることに影響を与えていた。このことは,杉本・庄司(2006).の研究における「家族以外の人がいる居場所」では「思考・内省」「他者からの自由」が低いということと同様であり,当該研究を支持する結果であった。
 以上のことから,各居場所空間が異なる心理的機能を有していること,空間の性質が居場所の心理的機能に影響を与えていることが考えられる。

引用文献
杉本 希映・庄司 一子(2006). 「居場所」の心理的機能の構造とその発達的変化 教育心理学研究 54, 289-299.

キーワード
居場所


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