発表

1A-023

不思議現象に対する懐疑態度尺度の改定(2)
不思議現象に対する態度(62)

[責任発表者] 坂田 浩之:1
[連名発表者・登壇者] 川上 正浩:1, 小城 英子:2
1:大阪樟蔭女子大学, 2:聖心女子大学

目 的
 不思議現象とは,現在の科学ではその存在や効果が立証されないが,信じられていることのある現象である。筆者らは一連の研究の中で,不思議現象に対する態度を測定する尺度(APPle:小城他,2008)や,その短縮版(APPle SE/30:坂田他,2012ab;川上他,2012ab)を構成した。さらに前報(川上他,印刷中)では,Sakata et al.(2016)の新懐疑尺度を対象に,より多くのデータで因子分析を行い,46項目からなる不思議現象に対する懐疑態度尺度(「懐疑」「信奉者批判」「知的好奇心」「社会的現実を根拠とした批判」「中立」の5因子構造)を提案した。本研究では,この尺度を,実施に際してよりコンパクトで,調査対象者の負担とならない尺度にするべく,因子分析に基づき,短縮版不思議現象に対する懐疑態度尺度を作成することを目的とする。
方 法
調査対象者 大学生1,200名(男性200名,女性1,000名:平均年齢19.4歳,SD = 1.2)が調査に参加した。このデータは前報と同一のデータである。
調査内容 前報(川上他,印刷中)の新懐疑尺度46項目を含む,不思議現象に対する態度尺度に対して,5件法にて回答が求められた。
手続き 調査対象者は心理学系の授業時間内に集団で質問紙に回答することを求められた。
結果と考察
 前報(川上他,印刷中)の因子分析結果を参照し,46項目に対して最尤法,プロマックス回転による因子分析を更に繰り返し実施した。この際,項目数を減らした尺度を構成することを企図して,項目の選択を行なっている。因子分析の結果,第1因子は,「もし,心霊現象が本当なら,世の中はパニックになっているはずだ(.851:当該因子に関する因子負荷量)」「もし,本当に霊が存在しているなら,社会的に大騒動になっているはずだ(.833)」「霊能者の力が本当だったら,不可解な事故や殺人がもっと起きているはずだ(.604)」「呪いやまじないが本当に効くのだったら,世の中で不審死がもっと起きているはずだ(.570)」の4項目からなる「社会的現実を根拠とした批判(α = .808)」,第2因子は,「心霊写真のトリックを科学的に解明するのはおもしろい(.799)」「心霊現象を科学的に説明しているテレビ番組はおもしろい(.756)」「UFOや宇宙人の目撃証言を,科学的に分析するのはおもしろい(.737)」「超能力のトリックを見破りたい(.492)」の4項目からなる「知的好奇心(α = .780)」,第3因子は,「血液型性格判断を信じている人を見るとうんざりする(.891)」「他人を血液型で判断する人を軽蔑している(.711)」「血液型性格判断を扱っているテレビ番組を見ると,報道機関としての倫理観を疑う(.623)」「占いが当たると思っている人は愚かだ(.486)」の4項目からなる「信奉者批判(α = .780)」,第4因子は「心霊写真にはトリックがあると思う(.724)」「心霊写真は本物だと思う(逆転)(.663)」「不思議現象にはトリックがあると思う(.583)」「UFOや宇宙人を目撃したという人は,別のものを見間違えたのだと思う(.502)」の4項目からなり,不思議現象に対して懐疑的な態度をとる「懐疑(α = .707)」,第5因子は,「先祖の霊が存在していても,していなくても,先祖を大事にするのはよいことだ(.643)」「神仏が存在していても,していなくても,信じている人にとって心のよりどころになるなら,意味がある(.635)」「自分には見えなかったとしても,世の中には霊や前世が見える人がいるかもしれない(.579)」「霊が絶対に存在しないとは言い切れない(.572)」の4項目からなる「中立(α = .691)」であると考えられた。これら5つの因子の因子間相関行列を算出し,Table1に示した。Table1から,「社会的現実を根拠とした批判」と「懐疑」との間には,比較的強い相関( r = .526 )があることがわかる。また,「懐疑」と「中立」の間には,負の相関( r = -.299 )が示されている。以上の結果から,Sakata et al.(2016)および前報での因子構造が信頼に足るものであることが示されたと同時に,より少ない項目数で不思議現象に対する懐疑態度について測定することが可能な尺度を構成することができた。さらに,前報の分析結果に基づく下位尺度得点と,本研究の分析結果に基づく下位尺度得点とをそれぞれ算出し,相関係数を算出したところ,「社会的現実を根拠とした批判」では.941,「知的好奇心」では.956,「信奉者批判」では.879,「懐疑」では.885,「中立」では.913と,いずれも1%水準の高い相関が認められた。
 以上のことは今回の尺度が前報の短縮版として妥当であることを示していると解釈された。今後は本尺度をAPPle SE/30と組み合わせることで,不思議現象に対する態度を包括的かつ調査対象者の負担とならない形で検討することができる。
付 記
 本研究の一部は科学研究費補助金基盤C「不思議現象と心理学教育(課題番号15K04038 研究代表者 小城英子)」の助成を受けた。

キーワード
不思議現象/懐疑態度/尺度構成


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