発表

1A-022

不思議現象に対する懐疑態度尺度の改訂(1)
不思議現象に対する態度(61)

[責任発表者] 川上 正浩:1
[連名発表者・登壇者] 小城 英子:2, 坂田 浩之:1
1:大阪樟蔭女子大学, 2:聖心女子大学

目 的
 筆者らは一連の研究の中で,現在の科学ではその存在や効果が立証されないが,信じられていることのある不思議現象に対する態度を測定する尺度(APPle:小城他,2008)及び短縮版(APPle SE/30:坂田他,2012)を構成したが,これに含まれる「懐疑」尺度は,不思議現象に対する多次元的な懐疑のあり方を区別できていない可能性が高い。そこでSakata et al.(2016)は,不思議現象に対する懐疑に焦点を絞り,85項目からなる質問紙に対する300名の大学生データから,「懐疑」「信奉者批判」「知的好奇心」「社会的現実を根拠とした批判」「中立」の5因子構造の尺度を示した。本研究では,不思議現象に対する懐疑に焦点を絞ったこの尺度について,より多くのデータを用いて尺度の信頼性を確認しつつ,改めて尺度構成を行う。
方 法
調査対象者 大学生1,200名(男性200名,女性1,000名:平均年齢19.4歳,SD = 1.2)が調査に参加した。
調査内容 Sakata et al.(2016)の新懐疑尺度52項目を含む,不思議現象に対する態度尺度に,5件法で回答が求められた。
手続き 調査対象者は心理学系の授業時間内に集団で質問紙に回答した。
結果と考察
 Sakata et al.(2016)の懐疑尺度52項目に,最尤法,プロマックス回転による因子分析を繰り返し実施した。因子の解釈可能性や,因子負荷量が特定の因子にのみ|.35|以上であることを基準に項目の選択を行い,最終的に46項目からなる5因子解を採択した。第1因子は「心霊写真にはトリックがあると思う(.784)」「心霊写真やUFOの写真は,加工されたものだ(.742)」「ネッシーやツチノコといったUMA(未確認動物)は,メディアが作り出したものだ(.676)」「心霊写真は本物だと思う(逆転)(-.658)」「心霊写真は,単なる思い込みにすぎない(.655)」「UFOや宇宙人を目撃したという人は,別のものを見間違えたのだと思う(.648)」「バラエティ番組で扱われている心霊現象やUFOはすべてやらせだ(.643)」「UFOや宇宙人のイメージは,テレビが作ったものだ(.612)」「不思議現象にはトリックがあると思う(.589)」「ネッシーやツチノコといったUMA(未確認動物)は実在しない(.574)」「常識的に考えて,心霊現象はあり得ない(.548)」「霊を見たという人は,別のものを霊だと思い込んでいるだけだと思う(.484)」「心霊現象やUFOを扱う番組は,どこにやらせがあるかを疑いながら見ている(.385)」の13項目に因子負荷量が高く,不思議現象に対して懐疑的な態度をとる「懐疑(α = .882)」,第2因子は,「血液型性格判断を信じている人を見るとうんざりする(.811)」「他人を血液型で判断する人を軽蔑している(.724)」「血液型性格判断を扱っているテレビ番組を見ると,報道機関としての倫理観を疑う(.681)」「性格を血液型のせいにするのは,ずるい(.605)」「占いが当たると思っている人は愚かだ(.580)」「占いやおまじないにこだわる人とは関わりたくない(.557)」「占いやおまじないに頼る人は,無責任だ(.546)」「差別や偏見につながる血液型性格判断はよくない(.514)」「すぐに神仏に頼る人は,他力本願で信用できない(.509)」「UFOや宇宙人を真剣に信じている人は頭が悪そうだ(.487)」「占いやおまじないに頼る人は,自分で問題を解決する気がない(.474)」「何でも占いで決めようとする人は,自分で判断しようとしていない(.450)」「占いやおまじないを信じている人を,心の中ではバカにしている(.423)」「血液型性格判断のせいで,いじめが起こるのではないかと心配だ(.423)」の14項目に因子負荷量が高い,「信奉者批判(α = .870)」,第3因子は,「もし,心霊現象が本当なら,世の中はパニックになっているはずだ(.757)」「もし,本当に霊が存在しているなら,社会的に大騒動になっているはずだ(.752)」「もし本当に霊がいるなら,未解決の事故や殺人がもっと起きているはずだ(.695)」「霊能者の力が本当だったら,不可解な事故や殺人がもっと起きているはずだ(.649)」「呪いやまじないが本当に効くのだったら,世の中で不審死がもっと起きているはずだ(.604)」「もし本当に宇宙人がいるなら,地球を攻撃しているはずだ(.601)」「もし本当に宇宙人がいるなら,地球は滅びているはずだ(.588)」の7項目に因子負荷量の高い「社会的現実を根拠とした批判(α = .850)」,第4因子は「心霊写真のトリックを科学的に解明するのはおもしろい(.748)」「心霊現象を科学的に説明しているテレビ番組はおもしろい(.744)」「UFOや宇宙人の目撃証言を,科学的に分析するのはおもしろい(.704)」「テレビで心霊現象やUFOが扱われていると,トリックを見破ろうとして興味を持って見ている(.661)」「超能力のトリックを見破りたい(.572)」「幽霊やたたりについて,心理学的な説明に興味がある(.487)」の6項目に因子負荷量の高い「知的好奇心(α = .819)」,第5因子は,「神仏が存在していても,していなくても,信じている人にとって心のよりどころになるなら,意味がある(.623)」「先祖の霊が存在していても,していなくても,先祖を大事にするのはよいことだ(.614)」「自分には見えなかったとしても,世の中には霊や前世が見える人がいるかもしれない(.554)」「霊が絶対に存在しないとは言い切れない(.545)」「霊能力が絶対に存在しないと証明することは難しい(.451)」「今の問題を前世のせいにしても解決につながらない(.437)」の6項目に因子負荷量の高い「中立(α = .676)」であると考えられた。この結果はSakata et al.(2016)の新懐疑尺度の信頼性を裏打ちし,さらに厳選された項目による尺度を提案するものである。次報では,さらに因子分析を進め,よりコンパクトで,調査対象者の負担とならない尺度構成を行う。

キーワード
不思議現象/懐疑態度/尺度構成


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