発表

1A-017

SNS利用時のストレッサーとストレス反応との関連
――交差遅延効果モデル,同時効果モデルによる検討――

[責任発表者] 佐藤 広英:1
1:信州大学

問題と目的
 従来,SNS利用と精神的健康との関連について多くの研究で検討がなされている(e.g., Krasnova et al., 2013; Seabrook et al., 2016; Verduyn et al., 2015)。例えば,Verduyn et al. (2015)は,SNS利用を他者との直接的なやり取りを含む能動的利用と,直接的なやりとりなしに情報を消費する受動的利用に分類し,Facebookでは受動的利用が主観的幸福感を減少させることを示している。また,佐藤(2019)は,SNS利用時のストレッサーを,受動的利用に相当する閲覧状況と能動的利用に相当する相互作用状況ごとに測定し,ストレス反応との関連を検討している。その結果,Twitterでは閲覧状況におけるストレッサー,LINEでは相互作用状況におけるストレッサーが,特にストレス反応と関連することを示している。一方,SNS利用時のストレッサーとストレス反応が相互にどのような影響を与えるかという因果関係については検討されていない。
 そこで,本研究では,大学生におけるSNS利用時のストレッサーとストレス反応の相互の関連を検討するため,2波のパネル調査を実施し,交差遅延効果モデルおよび同時効果モデルを用いて因果関係を分析した。

方法
 調査対象者 リサーチ会社に登録するSNS利用者(LINE,Twitterの両方を使用する者)を対象とした。有効回答は,1回目(2019年2月)は大学生602名(男性285名,女性317名,年齢:M =20.68, SD = 1.32),2回目(2019年3月)は大学生184名(男性84名,女性100名,年齢:M = 20.64,SD = 1.26)であった。
 調査内容 (a)SNS利用時のストレッサー:佐藤(2019)で作成されたSNSの閲覧状況におけるストレッサー23項目(情報過多,社会的比較,不適切行動閲覧,プライバシー侵害),相互作用状況におけるストレッサー17項目(過剰反応,無視・拒絶,気疲れ)を用いた。LINE,Twitterのそれぞれにおける最近1ヶ月での経験頻度および嫌悪性を4件法(0~3点)で尋ねた。(b)ストレス反応:鈴木他(1997)の心理的ストレス反応尺度(SRS-18)18項目を用いた。ここ2,3日の感情や行動の状態について,4件法(0~3点)で尋ねた。(c)その他:SNS利用状況(LINE,Twitterのそれぞれの利用頻度,社会的ネットワーク量)に回答を求めた。

結果
 SNS利用時のストレッサーについては,佐藤(2019)と同様,経験頻度と嫌悪性の積値(衝撃度)を項目得点とし,各下位尺度を構成する項目得点の平均値を算出し,分析に用いた。ストレス反応については,18項目の合計値(range=0-18)を分析に用いた。
 双方のモデルのパスa(SNS利用時のストレッサー→ストレス反応)とパスb(ストレス反応→SNS利用時のストレッサー)の標準化係数の推定値をTable 1, 2に示した。なお,適合度は,すべてCFI=1.00,RMSEA=.00であり,高い値であった。その結果,双方のモデルにおいて,ストレス反応がSNS利用時のストレッサーを促進するというプロセスが確認され,その傾向はLINE,Twitterで同様であった。一方,SNS利用時のストレッサーがストレス反応を促進するというプロセスはすべてにおいて確認されなかった。

結論
 本研究の結果,SNSの受動的利用時に経験するストレッサーは,必ずしも後のストレス反応を高めるとは言えないことが示された。また,ストレス反応が高い状態でのSNSの利用は,後のSNS上におけるストレス経験につながることが明らかとなった。

キーワード
SNS/ストレッサー/ストレス反応


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