発表

1A-016

機能的アサーションと体験の回避が精神的健康および人生満足感に及ぼす影響

[責任発表者] 三田村 仰:1
[連名発表者・登壇者] 横光 健吾:1
1:立命館大学

目的
 機能的アサーションとは「話し手がある課題達成の必要性に迫られた状況下で,当該の課題をより効果的に達成し(課題達成),かつ聞き手から,より適切と判断される(語用論的配慮)対人コミュニケーション」(三田村・松見, 2010)である。体験の回避とは,不快な体験を回避しようとする傾向であり,さまざまな心理・行動的問題を説明する診断横断的な概念である(Hayes et al., 1996)。精神的健康および主観的幸福感の向上を心理学的介入法の最終目標に据えた場合,体験の回避の低減および機能的アサーションの向上は目指すべき目標になると考えられる。体験の回避の傾向が強いことが精神的健康の低さを説明することがすでに知られているが,機能的アサーションと精神的健康および主観的幸福感の関連については明らかになっていない。
本研究の目的は体験の回避の影響を統制した場合,機能的アサーションが精神的健康および主観的幸福感をそれぞれ説明するかを検討することであった。その際,課題達成と語用論的配慮とを分けた場合のそれぞれへの影響の仕方についても検討することを目的とした。

方法
参加者:大学内および調査会社を利用して大学生および大学院生を対象に調査を実施し,同意が得られた男子121名,女子172名(計293名)であった。平均年齢は20.03歳(SD = 1.50)であった。
機能的アサーション尺度(FAS) :機能的アサーションを構成する「課題達成尺度(OE)」6項目および「語用論的配慮尺度(PP)」6項目の計12項目であった(Mitamura, 2018)。
日本版Acceptance and Action Questionnaire-II (AAQ-II) :体験の回避に関する7項目であった(嶋他, 2013)。


日本版人生に対する満足尺度(SWLS) :人生満足感に関する5項目であった(角野, 1994)
日本版Kessler 10 (K10) :精神的健康に関する10項目であった(古川他, 2002)。

結果
K10(精神的健康)について
 K10を目的変数,AAQ-IIとFASの合計得点を説明変数とした重回帰分析を行なった。その結果,AAQ-IIの回帰係数のみが有意であった(β = .69, p < .001, Table 1を参照)。
SWLS(主観的幸福感)について
 SWLSを目的変数,AAQ-IIとFASの合計得点を説明変数とした重回帰分析を行なった。その結果,いずれも有意な回帰係数が得られた(β = -.31, .27, p < .001, Table 2)。
 さらに,課題達成と語用論的配慮のそれぞれからSWLSへの影響を検討するため,SWLSを目的変数,AAQ-II,OE,PP,OEとPPの交互作用項を説明変数とした重回帰分析を行なった。その結果いずれも有意な回帰係数が得られ(β = -.32, p < .001, .18, .17, .14, p < .01,Table 3),交互作用として,高PPが低PPよりも,OEが高い際によりSWLSが高くなることが示された(Fig. 1)。

考察
AAQ-IIを統制した場合,機能的アサーションは精神的健康を直接的に説明しない一方で,主観的幸福感を説明することが示唆された。特に,語用論的配慮と課題達成の双方が高いことによって,主観的幸福感がより高まることが示唆された。AAQ-IIについてはネガティブ感情全般との弁別的妥当性が疑問視されており(Gámez et al., 2011),今後の検討が必要である。

キーワード
機能的アサーション/体験の回避/精神的健康、主観的幸福感


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