発表

1A-011

デジタルゲームに対する保護者のレーティング確認と技術的介入が子どもの適応に及ぼす影響

[責任発表者] 鄭 姝:1
[連名発表者・登壇者] 松尾 由美:2, 田島 祥:3, 堀内 由樹子:1, 寺本 水羽:1, 坂元 章:1
1:お茶の水女子大学, 2:関東短期大学, 3:東海大学

目的
 本研究では子どものデジタルゲーム利用に関し,保護者の技術的介入やレーティングマークに対する確認行動と子どもの適応との因果関係を明らかにすることを目的とした。
  方法
 調査時期・対象:1時点目Web調査を2018年2月,2時点目を同年10月に実施した。田島ら(2019)と同様の対象者を分析対象とした。
 調査項目:子どもの学齢,性別,ゲーム利用状況に加え,以下の項目を尋ねた。
(1)保護者のレーティング確認行動:「この1年の間に,お子さんのデジタルゲームを購入したり,インストールする際に,推奨年齢に関するレーティングを確認しましたか」と尋ね,「一度もない」を0,「ある」を1でコード化した。
(2)保護者の技術的介入:「ここ最近1か月の間,お子さんが利用しているゲーム機や電子機器に,下記の設定(例えば,スパム/ジャンクメールやウイルスを防ぐ設定やソフトウェアの利用)をしたり,またこのようなサービスを利用していますか」と尋ね,「一台も利用していない」および「利用しているか分からない」を0,「一部の機器で利用している」を1,「全ての機器で利用している」を2でコード化した。6項目の合計点を算出した。
(3)攻撃性:森下(2000)の攻撃性尺度8項目(例えば,ことばづかいが荒い)を「あてはまらない」~「あてはまる」の3件法で尋ね,合計した。
(4)子どもの強さと困難さ: Goodman(1997, 2005)の子どもの強さと困難さ尺度25項目を情緒,行為,多動,仲間関係,向社会性について「あてはまらない」~「あてはまる」の3件法で尋ねた。下位尺度ごとに合計点を算出し,向社会性以外の各下位尺度の合計点を困難得点として加えた。
  結果と考察
 子どもの性別と学齢の2変数を統制した上,交差遅延モデルで分析した。
(1)保護者のレーティング確認行動と子どもの適応
 攻撃性:Time1の保護者のレーティング確認行動からTime2の子どもの攻撃性へのパスが有意だった(β=-.08, p<.05, Figure1参照,有意なパスだけを実線(プラスのパス)と点線(マイナスのパス)で示している)。
 子どもの強さと困難さ:Time1の保護者のレーティング確認行動からTime2の子どもの情緒,行為,多動,仲間関係,向社会性および困難へのパスはいずれも有意でなかった。
(2)保護者の技術的介入と子どもの適応
 攻撃性:Time1の保護者の技術的介入からTime2の子どもの攻撃性へのパスは有意ではなかった。
 子どもの強さと困難さ:Time1の保護者の技術的介入からTime2の子どもの情緒,行為,多動,仲間関係,向社会性およ

び困難へのパスはいずれも有意ではなかったが,Time1の子どもの仲間関係からTime2の保護者の技術的介入へのパスが有意だった(β=.08, p<.05, Figure2参照)。
 保護者のレーティング確認行動による子どもの攻撃性の低下が示唆された。また,子どもの仲間関係における問題が保護者の技術的介入を増加させる影響も示唆された。
 引用文献
Goodman, R. (1997). The Strengths and Difficulties Questionnaire: A research note. Journal of Child Psychology and Psychiatry, 38(5), 581-586.
Goodman, R. (2005). Downloadable SDQs and related items. Youthinmind Ltd. Retrieved from http://www.sdqinfo.org/py/sdqinfo/b0.py (May 8, 2019)
森下正康(2000). 幼児期の自己制御機能の発達(2): 親子関係と幼稚園での子どもの特徴, 和歌山大学教育学部教育実践研究指導センター紀要, 10, 117-128.
田島 祥・松尾 由美・鄭 姝・堀内 由樹子・寺本 水羽・坂元 章 (2019)デジタルゲーム利用に対する保護者の養育的介入が子どもの適応に及ぼす影響, 日本心理学会第83回大会発表予定.
謝辞 本研究はJSPS科研費JP16H03727の助成を受けたものである。また,お茶の水女子大学「人文社会科学研究の倫理審査委員会」の承認を得て実施された(2018-64)。

キーワード
ゲームのレーティング/技術的介入/子どもの強さと困難さ


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