発表

1A-010

デジタルゲーム利用に対する保護者の養育的介入が子どもの適応に及ぼす影響

[責任発表者] 田島 祥:1
[連名発表者・登壇者] 松尾 由美:2, 鄭 姝:3, 堀内 由樹子:3, 寺本 水羽:3, 坂元 章:3
1:東海大学, 2:関東短期大学, 3:お茶の水女子大学

問題 寺本ら(2018)は,デジタルゲーム利用と子どもの適応との関連を分析し,ゲーム利用者は非利用者よりも友人関係で適応的な行動を示しやすいことを報告した。本研究では,同一の対象者に追跡調査を実施し,デジタルゲーム利用に対する保護者の介入が子どもの適応にどのような影響を及ぼすのかを検討する。
方法調査対象者と調査時期 
 2018年2月に実施したWeb調査(寺本ら, 2018)の対象者に追跡調査を行った。対象者は,1回目調査(T1)の時点で3歳児(年少)クラス相当から小学3年生までの子どもと同居しており,その子どもの養育に最もよく関わっていると回答した男女であった。子どもの性別と学齢,子どもの最近1ヶ月の間のデジタルゲーム遊びの有無に偏りがないように均等に割り付けられた。また,該当する年齢の子どもが複数いる場合には,最も年長の子どもについて回答するよう求められた。
 同年10月に2回目調査(T2)を配信し,1200名から回答を得た。本稿では,矛盾回答を除いた上で,2度の調査において,当該の子どもが最近1ヶ月の間にデジタルゲームで遊んでいると回答した500名を分析対象とした。
質問項目
 子どもの性別や学齢に加え,次の項目等を尋ねた。2度の調査では同じ項目を使用した。
(1)保護者の養育的介入 (a)制限的介入:ゲームで遊ぶ時間や内容の制限等に関する12項目に対し,「あった(1)」「なかった/あったかわからない(0)」の3択で尋ねて合計した。(b)積極的介入(語りかけ):「ゲームで起こる出来事は現実とは違うことをお子さんに話してきた」「ゲームの暴力行為のまねをしないようにとお子さんに話してきた」等の5項目に対し,「まったくなかった(1)」から「よくあった(4)」の4件法で尋ねて合計した(以下同様)。(c)積極的介入(問いかけ):「ゲームの暴力行為についてどのように思うか」「ゲームに夢中になってしまうのはなぜか」等の5項目に対し,子どもに尋ね,考えさせた程度を4件法で尋ねて合計した。(d)共利用:「子どもと一緒にゲームで遊んだ」「子どもがゲームで遊んでいる様子をそばで見ていた」の2項目に対し,4件法で尋ねて合計した。(e)モニタリング:「ゲームのプレイ履歴や進行状況などを確認し,ゲームで何をしているかチェックした」の1項目について4件法で尋ねた。
(2)子どもの適応 (f)子どもの強さと困難さ(Strengths and Difficulties Questionnaire: SDQ, Goodman, 1997, 2005):全25項目に対し,「あてはまらない(0)」から「あてはまる(2)」の3件法で尋ねた。下位尺度の「情緒」「行為」「多動」「仲間関係」に該当する20項目を合計し,困難さ得点とした。また「向社会性」に該当する5項目を合計した。(g)攻撃性(森下, 2000):「友だちとよくけんかする」「ことばづかいが荒い」等の8項目について,SDQと同様に3件法で尋ねて合計した。
結果と考察 性別と学齢を統制した交差遅延効果モデルを用い,T1の保護者の介入がT2の子どもの適応に及ぼす影響と,T1の子どもの適応がT2の保護者の介入に及ぼす影響を検討した。それぞれの標準化係数をTable 1に示す。
 「制限的介入」から「困難さ」に至るパスが有意に負であった。また「積極的指導(語りかけ)」及び「モニタリング」から「向社会性」に至るパスが有意に正であった。これらの結果は,保護者の介入が子どもの適応を高めることを示唆しており,ポジティブな効果だといえる。一方「積極的指導(問いかけ)」や「共利用」は,いずれも有意なパスはみられなかった。また,子どもの適応の程度が保護者の介入に及ぼす影響はみられなかった。対象者の子どもは低年齢であることから,子どもに尋ねたり考えさせたりする介入や,子どものゲーム遊びを共有する介入よりも,具体的にルールを決めたり語りかけるような介入の方が適している可能性が考えられた。
引用文献Goodman, R. (1997). The Strengths and Difficulties Questionnaire: A research note. Journal of Child Psychology and Psychiatry, 38(5), 581-586.
Goodman, R. (2005). Downloadable SDQs and related items. Youthinmind Ltd. Retrieved from http://www.sdqinfo.org/py/sdqinfo/b0.py (May 8, 2019)
森下 正康 (2000). 幼児期の自己制御機能の発達(2)―親子関係と幼稚園での子どもの特徴― 和歌山大学教育学部教育実践研究指導センター紀要, 10, 117-128.
寺本 水羽・松尾 由美・田島 祥・堀内 由樹子・鄭 姝・坂元 章 (2018). 子どものデジタルゲーム利用と適応―3歳から小学校3年生を対象としたweb保護者調査― 日本心理学会第82回大会発表論文集, 551.
謝辞 この研究は,JSPS科研費JP16H03727の助成を受けて行われた。また,お茶の水女子大学「人文社会科学研究の倫理審査委員会」の承認を得て実施された(2018―64)。

キーワード
デジタルゲーム/保護者介入/子どもの強さと困難さ


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