発表

1A-008

新たな向社会的行動尺度作成の試み(2)
向社会的行動がwell-beingに及ぼす影響

[責任発表者] 寺田 和永:1
[連名発表者・登壇者] 津川 秀夫:2, 谷 英俊:3
1:広島文教大学, 2:吉備国際大学, 3:日笠クリニック

 目 的
 前報(津川・寺田・谷, 2019)において,〈親切〉〈社会奉仕〉〈不機嫌の抑制〉からなる向社会的行動尺度を作成した。前原(2017)は,親切行動がポジティブ感情を増大し,精神的健康および身体的健康に良い影響のあることを示した。そこで本研究は,前報(津川ら, 2019)のデータを用いて,向社会的行動がwell-beingやストレス反応に及ぼす影響について検討した。
 方 法
調査対象者・調査時期:津川ら(2019)に同じ。
質問紙:下記質問紙を作成した尺度と同時に実施した。
①主観的幸福感尺度(伊藤ら, 2003):〈人生に対する前向きな気持ち〉〈自信〉〈達成感〉〈人生に対する失望感のなさ〉〈至福感〉の5因子15項目。
②PERMA-Profiler日本語版(塩谷ら, 2015):〈Positive emotion〉〈Engagement〉〈Relationship〉〈Meaning〉〈Accomplishment〉の5領域15項目に,〈Over all〉〈Negative emotion〉〈Health〉〈Lonely〉の5領域8項目を加えた23項目。
③SRS-18(鈴木ら, 1997):〈抑うつ・不安〉〈不機嫌・怒り〉〈無気力〉の3因子18項目。

 結 果
1.向社会的行動の多少によるwell-beingの比較
 尺度の合計点を算出し,平均+0.5SD以上であった者を向社会的行動High群,平均-0.5SD以下であった者を向社会的行動Low群とした。主観的幸福感尺度,PERMA-Profiler,SRS-18の各因子および合計点についてt検定による比較をおこなった(Table 1, 2, 3)。
 その結果,主観的幸福感尺度では,全因子および合計点においてHigh群の方がLow群よりも有意に得点が高かった(p<.01)。PERMA-Profilerでは,PERMAの5領域と〈Over all〉〈Health〉においてHigh群の方が,有意に得点が高かった(p<.01)。SRS-18では,〈不機嫌・怒り〉〈無気力〉においてHigh群の方が,有意に得点が低かった(p<.05)。
2.向社会的行動がwell-beingに及ぼす影響
 向社会的行動尺度の3因子を独立変数,主観的幸福感尺度,PERMA-Profiler,SRS-18の各因子を従属変数として重回帰分析を繰り返した。
 その結果,〈親切〉は,主観的幸福感尺度の〈人生に対する前向きな気持ち(β²=.19 )〉〈自信(β²=.18)〉〈至福感(β²=.25)〉で,正の影響が有意であった。また,PERMA- Profilerの〈Positive emotion(β²=.28)〉〈Engagement(β²=.39)〉〈Relationship(β²=.29)〉〈Meaning(β²=.37)〉〈Accomplishment(β²=.32)〉で,正の影響が有意であった。
 〈不機嫌の抑制〉は,主観的幸福感尺度の〈人生に対する前向きな気持ち(β²=.16)〉〈自信(β²=.15)〉〈達成感(β²=.15)〉〈人生に対する失望感のなさ(β²=.20)〉〈至福感(β²=.14)〉で,正の影響が有意であった。また,PERMA- Profilerの〈Accomplishment(β²=.19)〉で,正の影響が有意であった。一方,SRS-18の〈抑うつ・不安(β²=-.28)〉〈不機嫌・怒り(β²=-.40)〉〈無気力(β²=-.25)〉で,負の影響が有意であった。
 各分析におけるいずれの因子においてもVIF<3であったことから,多重共線性は生じていないと判断した。

 考 察
 結果から,向社会的行動の多い者は幸福感を強く感じており,ストレス反応の低いことが示された。また,向社会的行動のうち,親切で思いやりある行動はwell-beingを増進させること,不機嫌な態度の抑制は幸福感を高めストレス反応を減らすこと,が示された。これらの結果は,前原(2017)を支持するものと考えられる。

キーワード
向社会的行動/well-being/PERMA


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