発表

3C-006

大学生の時間的展望とサークル所属が生きがいに与える影響

[責任発表者] 横山 理佳:1
[連名発表者・登壇者] 津川 律子:2, 岩滿 優美:1
1:北里大学, 2:日本大学

 目 的
 生きがいを感じている人はストレッサ―の増加に関わらずストレス症状が表れにくい傾向があり,ストレス反応に対する生きがいの緩和効果が期待されている(千葉,1993)。そこで本研究では,環境の変化や対人関係などによりストレスを抱えやすい大学生を対象に,大学生のストレス症状の緩和方法としての生きがいについて,時間的展望とサークル所属の関係から検討をする。
 方 法
 参加者:参加者は日本大学文理学部に通う学生198名(男性68名,女性130名,平均年齢(SD)=20.15(1.33)歳(最低年齢18歳,最高年齢24歳)であった。
 質問紙:(1)フェイスシート:調査の目的,注意事項,本調査への同意を明記し,学科,学年,年齢,性別,現在の所属サークルの有無と引退しているか記入を求めた。
(2) The Purpose-in-Lifeテスト日本版(以下PILテストとする):PILテストはCrumbaugh&Maholick(1964)によって人生の意味・目的意識を測定するため,開発された心理検査であり,その日本語版(佐藤,1975)を使用した。本テストはPart-A,B,Cから構成されるが,Part-Aの20項目のみ使用し,7件法でそれぞれの項目に対応した回答を求めた。得点が高いほど意味志向が高い。
(3)時間的展望体験尺度(白井,1994):現在の充実感,目標指向性,過去受容,希望の4因子,計18項目(「5=あてはまる」~「1=あてはまらない」の5件法)で構成されている。本調査では,主因子法,バリマックス回転による因子分析の結果,因子負荷量.40以上,スクリープロットによる結果を参考に選定を行い,現在の充実感と目標指向性それぞれ1項目ずつ,計2項目を削除し,全16項目となった。2項目削除後の因子分析の結果,4因子(現在の充実感,目標指向性,過去受容,希望)が抽出され,それぞれ白井(1994)を参考に因子の命名を行った。
 調査時期:2018年10月下旬~12月上旬に実施した。
 手続き:大学の授業時間を利用し無記名の質問紙を用いた集団調査を実施した。質問紙を配布した後,フェイスシートに記載してある本研究の目的,回答は自由であること等の倫理的配慮を口頭で改めて説明した。同時に質問紙の回答順番はPILテストから回答するように教示した。10分ほど経過した後様子をみて回収した。
 分析の概略:サークル所属や学年によってPIL得点に差があるか否かを検討するために4学年(1年生・2年生・3年生・4年)×2サークル所属(有群・無群)の2要因分散分析を行った。
 PIL得点の分布により3つの群に分割し,中群を抜いたPIL高得点群 (70名)とPIL低得点群(69名)の2群に分けた。PIL高得点群(平均±SD=104.44±9.41点)と低得点群(平均±SD=66.58±12.05点)において,PIL得点に違いがあるかを確認するために,2群(PIL高得点群・PIL低得点群)における対応のないt検定を行い,PIL高得点群はPIL低得点群よりPIL得点が有意に高いことを確認した(t(1,137)=-20.63,p<.001)。群ごとにPIL得点と関連する要因を検討するために,ステップワイズ法による重回帰分析をそれぞれ行った。
 結 果
 PIL得点について,4学年(1年生・2年生・3年生・4年生)×2サークル所属(有群,無群)の2要因分散分析を行った。その結果,学年とサークル所属の主効果(それぞれ,
F(3,197)=1.09, p>n.s., F(1,197)=3.02, p>n.s.)および交互作用は認められなかった(F(4,197)=2.07, p>n.s.)。
 つぎに,群ごとに,学年,サークル所属,時間的展望体験尺度下位項目(現在の充実感,目標指向性,過去受容,希望)を説明変数とし,PIL得点を目的変数としたステップワイズ法による重回帰分析を行った(Table1)。その結果,PIL高得点群では希望 (β=.44, p<.001),現実の充実感(β=.29, p<.001),および目標指向性(β=.26, p<.05)が,生きがいに影響を与える有意な要因であった(F(2,69)=22.91, p<.001)。一方,PIL低得点群では希望(β=.52, p<.001),および現在の充実感(β=.23, p<.05)が,生きがいに影響を与える有意な要因であった(F(1,68)=27.38, p<.001)。
 考 察
 大学生の生きがいがサークル所属や学年によって異なることはなかった。一方,生きがいに影響を与える要因は,生きがいの高い学生では希望,現実の充実感および目標指向性であり,一方,生きがいの低い大学生では,希望と現実の充実感であった。以上より,生きがいの程度によって,生きがいに与える要因が一部異なり,大学生活での目標指向性は,生きがいをより強く感じるために必要であることが示唆された。
 今後は,友人関係や自己表現などといった側面からも検討していきたい。
 引用文献
千葉征慶(1993). PILスコア(人生の意味・目的意識)のストレス緩和効果に関する―研究 経営行動科学, 8, 33-40.

キーワード
生きがい/時間的展望/大学生


詳細検索