発表

2C-002

目標意識のクラスタによるシャイネスの意識度

[責任発表者] 佐藤 恵美:1
[連名発表者・登壇者] 松田 浩平:2
1:東京富士大学, 2:東北文教大学

目 的
 大学生は就職や将来の目標など目標意識を持つことが重要である。しかしながら,日本の大学生は将来への希望や目標を定めて大学に行く学生と,そうではない学生がいる。目標に向かって何かを成し遂げる目標意識を持つことや,それに付随する行動に向かう力は,キャリアに対する動機づけやある特定のパーソナリティ要因によって左右される可能性がある。将来展望は認知的側面と力動的側面に分かれるが(Simons et al,2004),将来への希望や目標を定めずない学生と同じ場所を共有する場合,目標を維持し,それに向かう行動には何らかのパーソナリティ要因があるかもしれない。特に,青年期は自己・他者からの評価がアイデンティティ形成に何らかの影響を与えると考えられるが,自己評価や他者評価による情緒的な不安によって,目標に対する行動が起こせない可能性がある。対人的な不安や社会的な不安を表す概念としてシャイネスがある。シャイネスは他者が自分を評価しているという感情に起因している社会的な不安および行動の抑制である (Buss,1955,Carducci,2000)。そこで本研究では,大学生の目標意識を調査し,シャイネスの程度によって将来に対する目標意識がどのように変化するのかを検討する。
方 法
調査時期:2017年8月~2019年1月
対象者:大学生525名(M=206,F=319),年齢(Means=20.33,SD=1.73)。関東,北陸,北海道などの4大学で文学系,理科系,美術系,経営系などに分類される6学科を対象とした。
質問紙:目標意識尺度(都築, 1996),キャリア意思決定尺度(清水ら, 2007),日本版シャイネス尺度(Sato, et.al, 2016)を質問紙として,作成した。本稿は,目標意識尺度とシャイネス尺度を分析対象とした。
倫理的配慮:同意が得られた学生に対して心理学系科目の授業内に実施した。質問紙への回答は任意で成績評価とは無関係であり,回答途中でも中止可能なことを伝えた。
分析方法:シャイネス尺度の得点を求め,目標意識尺度については最尤推定法により因子数を決定し初期解を求めた。Harris-Kaiserの独立クラスタ回転により単純構造を求め,サーストンの最小自乗因子得点を算出した。目標意識尺度の因子得点を用いWard法により被験者の階層的クラスタ分析を行い立方体クラスタ規準(Cubic Clustering Criterion)を参照しクラスタ数を決定し,k-means法で非階層的に被験者を分類した。このクラスタによるShyness得点の変動を性差とクラスタ差による一般化線型モデルによる分散分析を行った。
結 果
 シャイネス得点の全体の平均は63.0で標準偏差は13.0であった。男性(M=60.0,SD=12.9),女性(M=65.0,SD=12.8)で性差が認められた(t(523)=4.40, p.<.01)。この結果はSatoら(2017)とほぼ一致していた。目標意識尺度は6因子解が適切と判断した。因子1は「将来計画指向性(Design)」,因子2は「将来への希望・不安(Conflict)」,因子3は「将来目標(Goal)」,因子4は「計画性(Planning」,因子5は「空虚感(Emptiness)」,因子6は「計画性の欠如(Momentary)」で都築(1997)の因子とは一部に極性や順序は異なるが内容的にほぼ一致していた。クラスタ1(N=198)は,将来への希望と将来への目標が高く,空虚感のない人々で構成されるクラスタであった。
クラスタ2(N=212)は,将来への葛藤と不安から将来目標を持てず空虚感と刹那感がある人々で構成されるクラスタであった。クラスタ3(N=101)は,将来への計画志向性がなく,将来への希望や不安,そして空虚感のある人々で構成されるクラスタであった。3つの目標意識尺度クラスタによるシャイネス得点を検討するため分散分析を行った結果(Fig.1),クラスタによってシャイネス尺度に有意差が認められた(F(2,505)=31.82,p<.01)。Tukey法でクラスタ1と2,クラスタ2と3で有意差が見られた。性差も認められた(F(1,505)=8.74,p<.05)。
考 察
本調査のクラスタ1は将来への希望と将来への目標が高いので目標ある大学生生活であるが,女性のシャイネス得点が62.8と男性よりも高かった。クラスタ2は男女ともにシャイネス得点が68.5と同じであり,性差はなかった。クラスタ3は男女ともに人数がもっとも少なく,シャイネス得点が50点台と他と比べて低い傾向があった。
引用文献
1. Sato, E., Matsuda, K., & Carducci, B. J. (2018). A factor analytical investigation of the Japanese translation of the Cheek-Buss Shyness Scale in support of the three-component model of shyness. Personality and Individual Differences, 124, 160-167.
2. 都筑 学 (1996).目標意識尺度の信頼性・妥当性の検討 教育学論集(中央大学),38,103-114.
(EMI SATO, Kouhei Matsuda)

キーワード
目標意識/クラスタ分析/シャイネス


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