発表

2C-001

キャリア意思決定のクラスタによるシャイネスの意識度

[責任発表者] 松田 浩平:1
[連名発表者・登壇者] 佐藤 恵美:2
1:東北文教大学, 2:東京富士大学

目的
 大学生の発達課題には,自己の価値観や希望から生じるものが多く,なかでもキャリア意思決定は,進学動機,大学での学修動機や就職活動において重要な関わりを持つ。また,キャリア意思決定とBig Fiveの誠実性が関係するなどパーソナリティ変数との関連もキャリア意思決断への心理的機能の研究に於いて重要な課題である。青年期は自分自身への自己評価・他者評価に関わる事態への不安や情報不足から意思の不決定性が増加する(Lounsbury, et.al, 2005)。シャイネスは,他者による自分への評価を意識することに起因する社会的な不安および行動の抑制であり,質問紙検査への建前回答や外向性・情緒安定性・知的好奇心と高い負の相関を示し不決断性との関連が高い (Sato, et.al, 2018)。従って,パーソナリティの行動的側面として,シャイネスは自己評価や他者評価が強く関わるキャリア意思場面で決定・不決定への関連性が予想される。
 本研究では,大学生を対象に,キャリア意思決定の個人間差をタイプに分類しシャイネスの意識度との関連性を検討した。
方法
[調査時期]2017年8月~2019年1月
[調査対象]大学生525名(男206名,女319名)。年齢(平均=20.33, SD=1.73)。関東,北陸,北海道の4大学6学科を対象とした。
[質問紙]目標意識尺度(都築, 1996),キャリア意思決定尺度(清水ら, 2007),日本版シャイネス尺度(Sato, et.al, 2016)の項目を使用した。本稿では,キャリア意思決定尺度とシャイネス尺度を分析対象とした。
[倫理的配慮] 同意が得られた学生に心理学系科目の授業内に実施した。参加は任意で評価とは無関係で回答途中でも退席可と伝えた。
[分析方法]シャイネス尺度より得点を求めた。キャリア意思決定尺度については最尤推定法により因子数を決定し初期解を求めた。Harris-Kaiser基準により単純構造を求め,F13で因子得点を算出した。この因子得点を用いWard法による階層的クラスタ分析の立方体クラスタ規準からクラスタ数を決定し,にk-means法で非階層的に被験者を分類した。
結果
 最尤推定基準では10因子であったが,Fig. 1に示すScree Plotを参考に7因子で適合解が得られた。信頼性係数は.810で適合性(χ2(588)=2463.5, p.<.001)も十分であった。因子1は「決定不安」,因子2は「情報不足」,因子3は「逃避」,因子4は「葛藤」,因子5は「相談希求」,因子6は「モラトリアム」,因子7は「障害不安」であった。因子得点を用いて被験者をTable 1に示す4クラスタに分類した。
 シャイネスはクラスタ間(F(3,516)=12.28, p.<.001)と性別(F(1,516)=7.99, p.<.01)で有意差を認めたが交互作用はなかった(F(3,516)=0.65, ns)。クラスタ1は,情報不足からか決定不安や葛藤が高く援助を求めシャイネスがやや高い,クラスタ2はモラトリアム性が高く情報を求めず決定も避けシャイネスが高い,クラスタ3は現実逃避し不安もなく相談希求も無くシャイネスも低い,クラスタ4は情報不足からか意思決定に何の不安も疑問も無いが女性のみシャイネスが高かった。
考察
 キャリア意思決定尺度は,清水ら(2007)の7側面に準拠した解が得られた。日常的な行動的特徴としてのシャイネスの高さは,キャリア意思決定場面において,躊躇や接近-回避型葛藤を生じさせ自己決定を避け他者依存の傾向を示した。社会背景からか,他者評価を受けやすい自己決定に対して抑制的に作用していた。むしろシャイネスは,行動阻害要因と捉えず個性として捉え,個人のシャイネスの程度に応じたキャリアガイダンスのあり方を工夫することが必要と考えた。
(Kouhei Matsuda, Emi Sato)

キーワード
キャリア意思決定/クラスタ分析/シャイネス


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