発表

2B-005

固執に対する潜在的態度と自己志向的完全主義の関連

[責任発表者] 村上 瞳:1
[連名発表者・登壇者] 渡部 敦子:2, 和田 裕一:3
1:福島学院大学, 2:尚絅学院大学, 3:東北大学

目 的
 自己志向的完全主義とは,完全であることを自己に求めることをいう(Hewitt & Flett,1991)。質問紙調査の結果から,自己志向的完全主義は,その気質的基盤として「固執(粘り強く行動を継続する傾向)」との関連が示唆されている(中川, 2010)。Cloningerの気質4次元の一つである固執は,無意識的で自動的な情動反応であるとされているため,固執と自己志向的完全主義との関連を議論する上では潜在的な側面での結びつきを検討することも必要であると考えられる。そこで本研究では,IAT(潜在連合テスト)を用いて固執に対する潜在的態度を測り,固執に対する潜在的態度が質問紙調査によって得た自己志向的完全主義傾向の得点と固執に対する潜在的態度の関連について検討することを目的とした。
 方 法
調査対象者 実験参加者は36名(男性18名, 女性18名, 平均年齢20歳, SD=1.55)であった。
自己志向的完全主義尺度(桜井・大谷, 1997) 各項目は「非常に当てはまる(6点)」から「全く当てはまらない(1点)」で評定してもらった。「高目標設定」「失敗過敏」「行動疑念」「完全性欲求」の4下位尺度得点を算出した。
潜在的態度の測定(IAT) カテゴリー概念は,予備調査で選定した「固執なことば(突きつめる,適当,意地,強情,執着,頑固)」と「妥協なことば(優柔,適当,他力,大雑把,諦め)」とした。属性概念には,伊里(2012)の「ポジティブ語(幸福,希望,成功,歓喜,好意)」「ネガティブ語(恐怖,苦悩,悲惨,邪悪,絶望)」を用いた。連合の強さを示す潜在連合スコア(以下,Dスコア)の値が正の値をとるほど,「固執」に対する肯定的評価を示す。
 結 果
相関分析 自己志向的完全主義尺度の各下位尺度得点とIAT課題で測定したDスコアの間の相関係数を算出した(Table 1)。全体データでは,各下位尺度得点とDスコアとの間に有意な相関はなかった。男女別の分析を行ったところ,男性では,失敗過敏得点とDスコアの相関が有意であった(r=.47)。女性では,有意な相関はみられなかった。
 考 察
 本研究の結果から,男性においては自己志向的完全主義傾向のうちの失敗過敏と固執に対する潜在的態度が関連していることが見出された。具体的には,失敗過敏傾向が高い男性は,自分自身の行動を継続させることを肯定的に捉えていることが示された。完全主義者に共通してみられる思考の歪みとして「全か無か思考」があり,自分の行動を継続させなければ完全な成功が得られないと考える傾向があるといわれている。完全主義者にとって物事に関する固執は成功と関連し



ており,このような傾向は失敗に対して過敏である者に顕著に認められると仮定すると,今回の結果に対する一応の説明がつく。ただし,なぜ男性にのみ,このような結果が観察されたかについては本研究の結果からは明らかでない。
 性別ごとに分析するには本研究のサンプルサイズは男女ともに不足しているため,今後はより多くのサンプルを収集するとともに,顕在的な指標を含めた検討が必要だろう。
 引 用 文 献
Hewitt, P. L., & Flett, G. L.(1991). Perfectionism in  the self and social contexts:Conceptualization,  assessment, andassociation with psychopathology.  Journal of Personality and Social Psychology, 60,  456-470.
中川明仁.(2010).Cloningerの気質4次元と自己志向的完全 主義との関連 パーソナリティ研究,19,38-45
大谷佳子・桜井茂男.(1995)大学生における完全主義と抑う つ傾向および絶望感との関係理学研究,66,41–47.
伊里綾子・望月聡.(2012).感情喚起語からの注意解放におけ るバイアスと抑うつ傾向の関連感情心理学研究,19,81- 89.

キーワード
自己志向的完全主義/固執/潜在的態度


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