発表

2A-005

パーソナリティ・プロトタイプとソーシャルスキルとの関連

[責任発表者] 岸野 雄次:1
[連名発表者・登壇者] 嘉瀬 貴祥:2, 鈴木 平:1
1:桜美林大学, 2:立教大学

目 的
 学級集団に対する予防・教育的アプローチとしてSocial Skills Training(以下,SSTと略)が注目されている(小関・小関,2014;渡辺,2017)。近年,SSTは様々な環境で実施できることから,個別や家庭,多様なグループ集団に対して実用性が確認されている(前田,2013)。しかしながら,このSSTの実施において,いくつかの課題点がある。例えば,SSTを行う実施者は型通りに指導を行うため,対象者の状態に注意が向かなくなることが指摘されている(前田,2005)。また,SSTの実施者は対象者にどのような効果を与えるのかについて理解できていないことが報告されている(相川,2000)。つまり,集団に対するSSTを実施する際,より個人に焦点をあてた介入プログラムの立案が期待される。この観点を組み込んだ予防・教育的アプローチとして,Big Five Modelに基づいたPersonality Prototypes(以下,PPsと略)が注目されている(嘉瀬・上野・大石,2017)。このPPsは4類型に分けられ(嘉瀬他,2017),レジリエント型(Resilients 以下,R型と略)は健康な状態,統制過剰型(Overcontrollers 以下,O型と略)は過剰に自己統制を行うために不健康な状態,統制不全型(Undercontrollers 以下,U型と略)は他者配慮の欠如により行動上に問題があるとされている(小塩,2010)。識別不全型(Not identifiables 以下,N型と略)は他者との調和や関係性を重視する特徴が報告されている(嘉瀬他,2017)。これらの特徴を踏まえ,学級集団を対象に個人のスクリーニングやグループワークの促進に繋がることが考えられている(嘉瀬・上野・梶内・島井,2018)。このPPsはライフスキル(嘉瀬他,2018)や孤独感(Asendorpf, Borkenau, Ostendorf, & Van Aken,2001),QHQ-12(嘉瀬他,2017)との関連が報告されている。しかし,介入プログラムの立案において,PPsと健康行動による基礎的知見の不足が指摘されている(嘉瀬他,2017)。そこで,本研究はBig Five ModelをPPsに分類化し,ソーシャルスキルとの関連について検討を行う。
 方 法
 調査時期は2017年5月初旬であった。対象者は都内の私立A・B大学に在学する大学生355名(男性148名,女性207名,平均年齢19.65歳,SD = 1.20)であった。測定尺度は1)日本語版Ten Item Personality Inventory:TIPI-J(小塩・阿部・カトローニ,2012),2)ソーシャルスキル尺度(菊池,1988)を用いた。
 結 果
 Big Five ModelをPPsに分類化するために,Ward法による階層的クラスタ分析を行った結果,4つのクラスタが抽出された(Figure 1)。次にソーシャルスキルを従属変数とした独立一要因分散分析を行った結果,主効果が確認された。そのため,Holm法による多重比較を行い,O型 < U型 = N型 < R型

の順に,ソーシャルスキル得点の高さが確認された(Table 1)。
 考 察
 PPsを作成するために分析した結果,先行研究(嘉瀬他,2017;嘉瀬他,2018)と同様に4類型に分類された。さらに,標準得点は,ほぼ類似した分布を示していた。具体的には,R型は神経症以外の特性が高く,O型はその逆を示し,U型は外向性の高さが一致した。一方で,R型の協調性が低いことやN型の勤勉性の高さ,U型の神経症傾向の低さは異なる特徴を示した。やや分布は異なるが,日本人を対象とした場合,PPsは4つに分類化されることが考えられる。次に分散分析の結果から,R型は最もソーシャルスキル得点が高く,O型は最も低い得点を示した。しかし,U型とN型との間において有意差が確認されなかった。今後,これらの特徴を具体的に検討するために,複数の下位因子によるソーシャルスキル尺度を用いることが望ましいだろう。これらの知見を積み重ねることで,集団分析(種市,2018)を参考に,学級集団へのアプローチ(パーソナリティ特性を導入したSST)や担任教員へのコンサルテーションを実施し,新たな支援体制の提案に繋がると考えられる。

キーワード
パーソナリティ・プロトタイプ/ソーシャルスキル/階層的クラスタ分析


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