発表

1D-004

SCT筆跡からみえる筆跡印象と身体的印象の関連

[責任発表者] 伊藤 隆一:1
[連名発表者・登壇者] 市川 竜太郎#:2, 森 美由紀#:2, 伊藤 ひろみ:1
1:法政大学, 2:法政大学

1.はじめに 
 手書きの年賀状やノートに書かれた文字をみて,その文字を書いた人は一体どんな人格なのだろうと考えたことがないだろうか。文字には,丸くて小さいものや,達筆なもの,勢いのある力強いものなど様々な形がある。書かれた文字を見ればその文字を書いた人の人格が把握できるのではないかと思い,筆跡とパーソナリティの関連について研究したいと考えた。筆跡とパーソナリティの関連については昔から多くの研究がなされており,旧来の筆跡学のほか,黒田正典や槇田仁らの気質類型論的な研究(槇田,1992;槇田,1997;伊藤(編),2012など)も行われている。
2.研究の目的 
 本研究は,SCT(精研式文章完成法テスト)に書かれた筆跡とパーソナリティ属性との関連性を明らかにすることを目的とする。ここでのパーソナリティ属性とは,こころの行動的・心理的・生理的属性のことである(例えば,性別や字のきれいさなど)。本研究で使用するSCTは,投影法の心理テストのひとつで,指定された文章の書き出しから自由に文章を完成させることにより,被験者の性格や知性,こころの安定性などのトータル・パーソナリティを把握することができる。
3.研究方法 
 標準的で日本人を代表するように選択したNo.1~16の筆跡を判定するために,評価項目が19個のチェックリストに回答してもらう。
筆跡の選択基準は気質類型,ヒステリー性格,性別の3つである。気質類型はS・Z・E,ヒステリー性格Hのあり・なし,性別は男・女の計12種類(3×2×2)の筆跡,合計16ケースを選択した(旧来の筆跡学研究によると,人の気質のおよそ70%がEであることが明らかにされており,Eの割合が大きいため,Eの筆跡はそれぞれ2ケースずつ選んだ)。また,書き手の年齢はほとんどが10~20代であり,知的能力は5段階の4程度である。
チェックリストの評価項目は,例えば,明るいー暗いの両側ともに「少し」「かなり」「非常に」と6段階評価とする。回答者は都内の大学生21名(男:15名,女:6名)である。
4.研究結果 
 筆跡から性別が判断できるかを判定するために,性別ごとのクロス集計表を表1に示す。x2=76.356,df=5,p<.001となった。これらの結果から,筆跡から書き手の性別は概ね判定できるという結果になった。
 次に,書き手の筆跡印象と身体的印象との相関を表2に示す。書き手の性別は,「字が大きい」や「おおらか」といった,『字の大きさ』にかかわる項目群に相関がみられ,大きくおおらかな字は男性,小さくおとなしい字は女性という印象を受けるようである。
 書き手の知的能力は,「きれい」,「ていねい」,「そろっている」といった,『字の対処性』にかかわる項目群に相関がみられ,字がていねいなほど知的能力が高い印象を受けるようである。
 書き手の年齢は,「線やハネが大げさ」や「気取っている」といった,『字のくせ』にかかわる項目群に相関がみられ,特徴的な字であるほど年を取っている印象を受けるようである。
 書き手の体型は,性別と同様に『字の大きさ』にかかわる群に相関がみられ,大きくおおらかな字は太っている,小さくおとなしい字は痩せているという印象を受けるようである。
 書き手の身長は,「角張っている」,「直線的」,「かたい」といった,『字の形態』にかかわる項目群に相関がみられ,かたい印象の字ほど,背が高い印象を受けるようである。
5.引用文献
・伊藤隆一(編)2012 SCT(精研式文章完成法テスト)活用ガイド 金子書房
・槇田仁 1997 筆跡から性格がわかる 1文字でできる性格判断 講談社
・槇田仁 1992 筆跡性格学入門 金子書房

キーワード
筆跡/対人認知/パーソナリティ


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