発表

1B-004

Highly sensitive personとスピリチュアリティ

[責任発表者] 串崎 真志:1
1:関西大学

 目 的
 Highly sensitive person (高敏感者) は,聴覚・視覚・触覚・嗅覚などに,特異な感覚処理感受性 (sensory processing sensitivity) をもつ人を指す (Aron et al., 2012)。Aron (2010, p.24) は,高敏感者の特徴の一つとして,物事を深く考える (depth of processing) 傾向をあげていて,彼らは世界の行く末や人生・仕事の意味を熟考すると述べている。高敏感者が神秘体験 (mystical experiences) をもちやすいことは報告されているが (Kjellgren, Lindahl, & Norlander, 2009),スピリチュアルな態度や人生観との関連については研究が見当たらない。本研究ではそれを質問紙によって検討する。

 方 法
 参加者 専門科目・教養科目の心理学を受講する大学生126名 (男性48名, 女性77名, その他1名, M = 19.3歳, SD = 0.95) が参加した (実施時期2019年1月)。
 質問紙 [1]Highly sensitive person尺度短縮版 (Aron et al., 2010) 11項目7件法。訳文は髙橋 (2016) を使用した。[2]エンパス尺度9項目版 (Nine-item Empath Scale: 串崎, 2019) 9項目7件法。他者に対する敏感さを測定する尺度で,Orloff (2017) の記述を元に筆者が作成。[3]刺激追求尺度 (brief sensation seeking scale: 柴田・古澤, 2013) 8項目5件法。Aron (2010, p.14) は,高敏感に刺激追求の性質を持ち合わせた high sensation seekers が一定数いると述べている。[4]Big question尺度 (村上, 2013) から「人生の意味の希求」因子。「人生で本当に大切なこと,すべきこと,したいことは何か」「本当の幸せとは何なのか」「生きることや人生に意味や目的はあるのか」等6項目について,ふだんどれくらい考えるかを6件法 (1=全く考えない,6=よく考える) で回答した。[5]自己超越傾向尺度 (self-transcendence sca1e: 中村, 1998) から超越性因子。「人のいのちは,姿形を変えて永遠に存在すると思う」「人が死んでも,自然の一部になって生き続けることができると思う」等4項目について,5件法 (1=あてはまらない,5=あてはまる) で回答した。原文では「自分のいのち・・」となっているが,「人のいのち・・」のように人生観を問う質問に変更した。
 手続き 授業終了後に協力を依頼し,任意の参加に同意を得たうえで,Google form上で自発的に回答した。

 結 果
 確認的因子分析 エンパス尺度について3因子モデルの確認的因子分析を行い,串崎 (2019) と同様に,気疲れ (emotional hangovers)「雑踏や人混みは,気疲れするので好きではない」等4項目,情動吸収 (emotional sponges)「相手の気持ちやストレスを,知らないあいだに取り込んでいる」等3項目,情動直感 (emotional intuition)「相手を見るだけで,相手の気持ちがぱっとわかる」等2項目を得た。
 相関係数 内的整合性α係数を確認したのち,各尺度間の相関係数を男女別に算出した (Table 1, Table 2)。女性ではHighly sensitiveがBig questionと自己超越に関連していた。男性では情動直感がBig questionと自己超越に関連していた。

 考 察
 女性は,Aron (2010) の指摘通り,高敏感であるほど人生の意味 (big question) やいのちの永遠性 (自己超越) を考えていた。他者に対する敏感さ (エンパス) では,情動直感が男女共に関連していた。また,男性においては刺激追求も鍵となっていた。高敏感者には苦悩も多いが,その感覚世界を深く探求していくことで,豊かな人生を歩むことができると思われる。

 引用文献
Aron, E. N. (2010). Psychotherapy and the highly sensitive person. New York: Routledge.
Aron, E. N., Aron, A., & Jagiellowicz, J. (2012). Personality and Social Psychology Review, 16, 262-282.
Kjellgren, A., Lindahl, A., & Norlander, T. (2009). Imagination, Cognition and Personality, 29, 135-146.

キーワード
感覚処理感受性/エンパス/大きな問い


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