発表

1A-006

親のモバイル端末利用に関する研究(4)
育児ストレスと幼児期のエフォートフル・コントロールとの関連

[責任発表者] 浦上 萌:1
[連名発表者・登壇者] 浅野 良輔:2, 徳田 智代:2, 園田 直子:2
1:椙山女学園大学, 2:久留米大学

問 題
 スマートフォン・タブレットなどのモバイル端末が急速に普及し,育児場面でも親が頻繁に利用する手段のひとつになりつつある(ベネッセ教育総合研究所, 2018)。本研究では,スマートフォン・タブレットの利用が幼児のエフォートフル・コントロール(EC)に与える影響と親の育児ストレスとの関連を検討する。
 ベネッセ教育総合研究所(2014, 2018)によると,子どもがスマートフォン・タブレットにほとんど毎日接していると回答した母親の割合は2014年で11.6%,2018年では21.2%と2倍近く増えていることが示されている。
 その一方で,スマートフォン・タブレットに対する抵抗感はいずれの年代も70%以上の母親が感じており(ベネッセ教育総合研究所, 2014; 2018),「夢中になりすぎる」,「次のことに切り替えづらい」などに対する気がかりがあることが分かっている。このように抵抗感がありつつも,スマートフォン・タブレット利用が増加している現状には,本当はスマートフォン・タブレットに頼りたくないが頼らざるを得ない葛藤を親が抱えている可能性があり,親自身の育児ストレスとの関連を検討する必要がある。また,親が懸念している子どもの場面の切り替えや抑制に関わる概念との関連についても明らかにすべきであろう。よって,子どもの場面の切り替えに関する概念として,気質的特徴から捉えたECに着目し,スマートフォン・タブレット利用と育児ストレスとの3者の関連を探索的に検討した。
方 法
 参加者 株式会社クロス・マーケティングを通じて,長子の年齢が2~6歳であり,スマートフォンかタブレットの少なくともどちらかを所有するモニタと配偶者に対し,インターネット調査を実施した。リクルート調査において,調査協力に同意したモニタとその配偶者に対し,本調査の依頼メールを個別に配信した。回答が得られた647組のうち,本調査時点で長子の年齢が7歳に達していたカップル,性別や婚姻年数の回答に夫婦間で齟齬がみられたカップル,両者の回答時間が平均±3SDおよび項目数×2秒以上に含まれなかったカップルを除外した。最終的なサンプルサイズは455組(70.3%)であった。
 測定内容 (1)子どものスマートフォン・タブレット利用:ベネッセ教育総合研究所(2018)に基づき,スマートフォンおよびタブレット利用頻度(1週間あたりの利用回数[5件法]ならびに平日1日あたりの利用時間数[7件法]),スマートフォン・タブレット利用用途(9項目4件法),利用状況(9項目4件法),利用規則(10項目7件法)を測定した。(2)EC:Putnam & Rothbart (2006) が作成し,草薙・星 (2017) が日本語訳した尺度を用いた (12項目7件法)。(3)育児ストレス:荒木他(2005)より「子どもの特徴に関するストレスの項目」を抽出して用いた(9項目5件法)。
 倫理的配慮 久留米大学御井学舎倫理委員会の承認を得て行われた(研究番号346)。
結果と考察
 子どものスマートフォン・タブレット端末利用,EC,育児ストレスの相関係数を算出した。その結果,スマートフォン・タブレット利用頻度については,父母の報告におけるECと育児ストレスのいずれも相関は見られなかった。スマートフォン・タブレットの利用用途については,父親報告によるECと弱い相関(r=.10, p<.05)があるのみであった。スマートフォン・タブレット利用状況については,父親・母親における育児ストレスと弱い相関があった(r=.15, p<.01[父], r=.16, p<.01[母])。スマートフォン・タブレット利用規則については,父親報告によるECと弱い相関(r=.17, p<.01),母親報告によるECと育児ストレスに弱い相関があった (順に,r= -.20, p<.01, r=.17, p<.01)。
 これらの結果を受けて,スマートフォン・タブレット利用規則は子どものECによって規則が守られるかどうかが変化し,その結果が育児ストレスにも影響するという想定で媒介分析を実施した(Figure 1)。スマートフォン・タブレット利用規則からEC(ß=.27, t=5.91, p<.01)と育児ストレスへはそれぞれ有意に予測した(ß=-.20, t=-4.43, p<.01)。スマートフォン・タブレット利用規則とECを説明変数として重回帰分析を実施すると,スマートフォン・タブレット利用規則から育児ストレスへのパスは有意でなくなったが(ß=-.06, t=-1.57, ns),ECから育児ストレスへのパスは有意のまま残った(ß=-.31, t=-12.75, p<.01)。スマートフォン・タブレット利用規則からECを媒介した育児ストレスへの間接効果の有意性を評価するために,ブーストラップ法による媒介分析を実施した結果,間接効果は有意であった(p<.01, 99%CI[-1.09, -0.33])。よって,スマートフォン・タブレット利用規則は子どものECを媒介し,育児ストレスにも影響があることが分かり,スマートフォン・タブレット利用規則の有無が育児ストレスへ直接影響を与えているのではなく,子どものECの高さが関連していることが分かった。

キーワード
モバイル端末/育児ストレス/エフォートフル・コントロール


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