発表

1A-005

親子のモバイル端末利用に関する研究(3)
親のモバイル利用と子どものモバイル利用

[責任発表者] 園田 直子:1
[連名発表者・登壇者] 浦上 萌:2, 浅野 良輔:1, 徳田 智代:1
1:久留米大学, 2:椙山女学園大学

目 的
 2008年以降,スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末が急速に普及し,0歳児からモバイル端末に接する機会が増えていることが明らかになっている(ベネッセ教育総合研究所,2018,電通,2018)。乳幼児からのモバイル端末利用が子どもの発達に悪影響を及ぼす可能性があるという言説は多くみられ(日本小児科医会,2013など),不安を持つ親や,スマホを使いすぎる「今どきの若い親」を批判する言説も多い。一方で,モバイル端末が子どもの発達に影響するかどうかに関する実証的な研究はまだ少ない。浅野ら(2019)は,2~6歳の子どものエフォートフル・コントロールにはモバイル端末利用頻度,利用用途の影響は認められず,モバイル端末の利用規則のみに有意な弱い正の影響がみられたことを報告している。
 本研究の目的は,親の性別,世代の違い,および親自身のモバイル端末利用の仕方や態度の違いがモバイル端末の利用規則を設ける程度に関連するかを検討することである。まず分析1では,幼児を持つ親自身の性別と世代によってモバイル端末利用頻度やモバイル端末利用優先傾向(スマホ依存傾向)が異なるかを検討する。分析2では子どもにモバイル端末を利用させる場面および利用用途,子どもの利用への親の関わり方の性差と世代差を検討する。分析3では子どもにモバイル端末を利用させるときに利用規則を設けることと関連があるのは親のモバイル利用および関わり方(態度)のどの要因であるかを検討する。
 
方 法
参加者 株式会社クロス·マーケティングを通じて,長子の年齢が2~6歳であり,スマートフォンかタブレットの少なくともどちらかを所有するモニタと配偶者に対し,インターネット調査を実施した。リクルート調査(2018年7月)において,調査協力に同意したモニタとその配偶者に対し,本調査(2018年7月~8月)の依頼メールを個別に配信した。回答が得られた647組のうち,本調査時点で長子の年齢が7歳に達していたカップル,性別や婚姻年数の回答に夫婦間で齟齬がみられたカップル,両者の回答時間が平均±3SDおよび項目数×2秒以上に含まれなかったカップルを除外した。最終的なサンプルサイズは455組(70.3%)であった。参加者の年齢によって世代を4つの群に分けた(世代1;20-29歳,世代2;30―35歳,世代3;36-40歳,世代4;40歳以上)。父親では世代1~4の順にそれぞれ35,145,125,150名,母親では世代1~4の順にそれぞれ47,182,122,104名であった。
測定内容(1)親のモバイル端末利用:スマートフォンおよびタブレット利用頻度(一週間当たりの日数7件法,一日あたりの利用時間7件法)を測定した。(2)親の態度(関わり方)を調べるために,①子どもにモバイルを利用させる用途(写真を見せる,ゲームをさせるなどの9項目),②子どもにモバイルを利用させる場面(手が離せないとき,泣き止まないときなど9項目,7件法),③子どもにモバイルを利用させるときに設けているルール(時間を決めている,食事中は使わせないなど10項目,7件法),④子どもにモバイルを利用させることに対する抵抗感の有無(7件法),(3) 親のスマホ依存を測るため,Wakayama Smartphone Dependence Scale(戸田,2015)の尺度から「スマホの優先と長時間使用」因子(「スマホに熱中するあまり,学業や仕事に支障をきたすことがある」,「スマホに熱中するあまり,その日の予定が狂ってしまうことがある」などの7項目,4件法)を使用した。
倫理的配慮 久留米大学御井学舎倫理委員会の承認を得て行われた(研究番号346)。

結果と考察
分析1:親のモバイル端末利用の性差と世代差
 性別(2;父親・母親)×世代(4)の2要因被験者間分散分析の結果,①親のスマートフォン利用の頻度には性差はなく,世代差のみが有意(F(3)=11.03,p<.01)であった。多重比較の結果,世代1>世代3>世代4であった。②親のスマホ依存傾向についても,世代差のみが有意(F(3)=5.03,p<.01)であった。多重比較の結果,世代1=世代2>世代4であった。若い世代ほどモバイル端末を利用していた。
分析2:子どもにモバイル端末を利用させる場面,用途および親の態度の性差と世代差
 分析1と同様の要因計画による分散分析の結果,子どものスマホ利用に関して交互作用が有意(F(1,3)=11.42,p<.01)であり,父親において世代1>世代2=世代3=世代4であった。子どものモバイル利用場面については,場面全体では有意な差はみられなかったが,「子どもが泣き止まないとき」の項目のみに関して性差の主効果が有意(F(1)=8.14,p<.01)(父親>母親),世代差が有意(F(3)=5.52,p<.01)であった。多重比較の結果,世代1>世代2=世代3=世代4であった。また,子どものモバイル利用に対する親の抵抗感には性差が有意であり,母親>父親であった(F(1)=19.73,p<.01)。子どもの利用に利用規則を設けることについても性差が有意であり,母親>父親であった(F(1)=9.24,p<.01)。
分析3:利用規則と各要因との相関
 利用規則と子どものスマホおよびタブレットの利用,用途,場面,抵抗感,親スマートフォン利用,親のタブレット端末利用との関連について相関分析を行ったところ,利用規則と正の相関があったのは,「用途」のみであった(r=0.179,p<.001)。様々な用途で使用するほど利用規則を設けていたといえる。一方,抵抗感は子どもの利用,用途および場面といずれも中程度の負の相関があり,それぞれ r=-0.253,-0.315,-0.433,であった。

キーワード
モバイル端末/親の態度/子ども


詳細検索