発表

2D-001

社会的望ましさが項目反応に与える影響

[責任発表者] 藤岡 慧:1
1:関西大学

問題と目的 服部(2007)の項目反応モデル(Figure 1)は,社会的望ましさの影響を考慮した心理特性値を推定することが可能であるが,人工データでの検証しか行われていない。そこで,本研究では,服部(2007)のモデルを実データで検証することを念頭に置き,通常の回答と社会的望ましさの影響を受けた回答の2つの回答を調査によって収集し,状況要因によって項目レベルで両者の回答に違いが生じることを確認する。
方法 調査対象者
 大学生243名に調査を実施した。回答に不備がある者,回答時間が長すぎる者を除き,分析対象者は224名となった。
質問紙
 Big Fiveの尺度として主要5因子性格検査 (村上・村上, 1997)を,社会的望ましさ傾向尺度として,バランス型社会的望ましさ反応尺度 (谷, 2008)の印象操作尺度を用い,「1.あてはまらない」~「5.あてはまる」の5件法で回答を求めた。,だし,項目数の関係上,因子パターンの値が大きいものを使用した。属性は,性別,年齢,学年を質問した。自己分析として質問紙に回答する場面(通常場面)とテストセンターで質問紙に回答する場面(望ましさ場面)を設定した。調査対象者には,各々の場面を想定してから回答するように教示を与え,両方の場面で回答してもらった。なお,通常場面,望ましさ場面の順に回答する群と,望ましさ場面,通常場面の順に回答する群にランダムに振り分けられるように設定し,カウンターバランスをとった。
手続き
 2019年2月下旬から2019年4月中旬に調査を実施した。質問紙はcreative surveyで作成し,調査はweb形式で実施した。調査の前に,調査に関する説明文を文書及び口頭で説明し,同意を得た者にのみQRコードを提示し,スマートフォンで読み取ってもらった。QRコードの読み込みが困難であった者にはURLで対応した。調査の修了後,回答に不備があった者のデータをリストワイズで削除し,分析を行った。なお,分析にはR version 3.5.3を用いた。
結果 服部(2007)の項目反応モデルの検証が目的であったため,各尺度の1次元性を固有値の減衰状況から確認した。その結果,Big Fiveに関しては,群,場面に関わらず1次元性がみとめられた。印象操作尺度に関しては,通常場面,望ましさ場面の順に回答する群の通常場面でのみ1次元性が認められなかった。次に,各々の群・場面で回答に違いがあるかを項目ごとに確認したところ,通常場面,望ましさ場面の順に回答した群は,ほとんどの項目が望ましさ場面での項目得点が通常場面より高かったが(Table 1),望ましさ場面,通常場面の順に回答した群では,項目得点の違いはあまりみられなかった。
考察 通常場面,望ましさ場面の順に回答した群においては,筆者の想定通り,望ましさ場面で社会的望ましさが喚起されたため,服部 (2007) のモデルを検証できる実データが得られた。一方で,望ましさ場面,通常場面の順で回答した群においては,両場面の回答に違いがみられなかった。この理由としては,いったん社会的望ましさが喚起されると,その影響が一定期間続くためであると考えられる。よって,今後は通常場面と望ましさ場面の間隔を空けて調査をする必要がある。
引用文献服部 環 (2007). 反応歪曲の影響を考慮した心理的特性値の
 推定法 日本心理学会第71回大会発表論文集, 2.

キーワード
社会的望ましさ/項目反応モデル


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