発表

1B-001

ポジティブ心理学的介入の「3つのよいこと(TGT)」の効果測定に敏感な測度の検討
PERMA-Profiler,SWBS,SWLS,および,CES-Dの比較

[責任発表者] 塩谷 亨:1
[連名発表者・登壇者] 木村 竜也:1
1:金沢工業大学

目的
ポジティブ心理学的介入(以下PPIsとする)の効果研究は多く行われてきているが,効果測定にはさまざまな測度が用いられている。用いられる測度によって,PPIsの効果に違いが現れる可能性がある。したがって,PPIsの効果研究に用いる測度の特徴を明らかにすることは,研究目的に応じた測度の選択に役立つと思われる。
そこで,本研究では,PERMA-Profiler KIT版(塩谷他,2015,26項目11件法),SWLS(大石,2009,5項目7件法),SWBS(伊藤他,2003,15項目4件法)のwellbeingの3種の測度とうつの指標であるCES-D(島他,1985,20項目4件法)を用いて,代表的なPPIsのひとつである「3つのよいこと(Three Good Things),以下TGTとする)」の介入効果を比較することにした。また,1週間のTGTの効果に直接影響を受けないと思われる日本版大学生用コミュニティ感覚尺度(加々美他,2011,以下PSCCとする)も含めた。

方法
筆者らの担当する授業の受講者に協力を呼びかけ,A群(通常のTGTを実施する)とB群(出来事のみ記載し理由は記載しない)にランダムに分けた。両群とも1週間それぞれの課題に従事し,記録を提出した。課題開始直前(Pre),課題終了直後(Post),および,終了後50日後(Fu)に上記の3種類のwell-beingの測度とPSCCを冊子にした調査用紙とCES-Dを用いて効果を測定した。また,3回の査定に合わせて介入方法に関するアンケートも実施した。これらのすべてを教示通り行うことで成績評価の5%を与えた。

結果
すべての測度とアンケートに回答し,回答に不備がまったくなく,各課題の記録を提出した分析対象者は66名(男性48名)であり,多くが2年生(平均年齢19.64±.75歳)であった。A群は31名(男性24名)であり,B群は35名(男性24名)であった。
表1に実施時期に応じた各測度の平均値と標準偏差を課題群別に示した。PERMA-Profiler KIT版は10領域の測定が可能であるが,表にはwell-beingに直接関係する6領域のみを示した。なお,Pre時点ではどの測度にも群による有意差はなかった。
群別の分析の結果,A群のみで有意差が見出され,その測度はPERMA-Profiler KIT版(F (20,11)=2.916, p < .05, partial η2=.841, 10領域を従属変数としたMANOVAの結果),および,SWLS(F (2,29)=10.596, p <.001)のみであった。下位検定の結果,PERMA-ProfilerのP,R,M,Overall,および,N領域にいずれも5%の有意差が見出された。実施時期の比較では,PERMA-ProfilerのP,R,および,Overall領域で Pre < Post,Pre < Fuの関係で,MおよびNで PreとPostの間に望ましい方向での有意差が見出された。SWLSでは Pre < Post,Pre < Fuに有意差が見出された。

考察
TGTの実施方法による効果の違いについては,平山他(2019)や宇野他(2019)に詳しいので,ここでは標準的なTGTを実施したA群の効果にどの測度が敏感かを中心に考察する。
 PERMA-ProfilerとSWLSが効果を検出できた測度である。PERMA-Profilerは領域別に効果を分析できるのでPPIsの効果を詳細に分析するには適切であろう。SWLSは5項目なので,簡便さを優先するなら便利な測度であろう。
SWBSが効果を検出できなかった理由は,項目文章に「期待通りの生活水準や社会的地位を…」といった大学2年生には回答しにくい文言がいくつか含まれること,および,4件法によるのではないかと思われる。文言の問題を明確にするには項目水準での分析を行う必要がある。
CES-Dは有意な低減は認められなかったが,PERMA-ProfilerのNegative感情領域では有意な低減が見出された。健常者を対象とするなら,うつ状態全般ではなくネガティブな感情に焦点を当てた測定が適しているように思われる。

引用文献の一部
平山・塩谷・宇野他(2019). 学部学生を対象としたThree Good Thingsの効果(1)-正規版TGTと簡易版TGTの実施直後の効果の比較- 日本心理臨床学会第38回大会発表論文集,現時点で頁不明.
塩谷・松本・山上他(2015). PERMA-profiler KIT版の開発(1)-学生のポジティブな側面の測度の必要性と開発の経緯および基本的な心理統計量-平成27年度工学教育研究講演論文集,430-431.
宇野・塩谷・平山他(2019). 学部学生を対象としたThree Good Thingsの効果(2)-50日後のフォローアップの結果を含めた分析- 日本心理臨床学会第38回大会発表論文集,現時点で頁不明.

キーワード
TGT/効果測定/PERMA-Profiler


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