発表

L-006

自己洞察と抑うつ:「自分を分かっている」と感じることに意味はあるのか?

[講演者] 中島 実穂:1,2,3, [司会者] 丹野 義彦:1
1:東京大学, 2:国立精神・神経医療研究センター, 3:東京大学駒場学生相談所

 自己理解を深めることは,うつ病の治療に欠かせないプロセスである。自己理解を測る指標に自己洞察がある。自己洞察とは,自身の思考・感情・行動に関する認識の明確性を示す概念である。言い換えれば「自分を分かっている」という自己評価である。自己洞察は有効なストレス・コーピングの土台であり,その向上は抑うつ症状の根本的改善につながると考えられている。
 一方,自己洞察のメカニズムはこれまで理論的推論が主となって解釈されてきており,実証的な知見が少なかった。また自己洞察は自己理解における主観的明確性を示す概念であるが,正確性など,本来とは異なる面を含んで拡大解釈されることも多くあった。そのため「自分を分かっている」という主観的な感覚が,本当に心理的適応を考える上で重要であるかは定かでなかった。
 そこで本研究では,自己洞察から抑うつへの効果について,自己認知の内容や他者評価との関連から多面的に検証した。
詳細検索