発表

ITL-006

身体に根ざした社会的認知発達

[講演者] 平井 真洋:1, [司会者] 板倉 昭二:2
1:自治医科大学, 2:同志社大学

 日常生活のコミュニケーションにおいて,身体の果たす役割は大きい.他人の何気ない所作から感情や意図を読み取り,それに対応した振る舞いをするだけでなく,学びを得る.一方,例えば他者の心的状況を推測する際には,自己の身体を利用することもある.このように我々は自己・他者の身体を巧みに利用することにより,絶えず変化し続ける社会環境に適応する仕組みを備えているようである.しかしながら,社会的認知における身体の役割の発達的側面については未だ十分に明らかにされていないのが現状である.
 本講演では,社会的認知において重要な役割を担う身体の役割を身体の「外側」と「内側」の視点からその発達メカニズムについて検討してきた,講演者の一連の研究を紹介する.「身体の外側」に関する研究では,わずか十数個の光点運動のみから他者行為を知覚可能である「バイオロジカルモーション」と呼ばれる知覚現象を取り上げ,その知覚特性,神経基盤,定型・非定型発達変化,それら知見に基づく発達モデルについて紹介し,さらには疾患検出のバイオマーカーの可能性について議論する.「身体の内側」に関する研究では,他者視点取得課題・運動推定課題を取り上げ,自己の身体をどのように利用するか,さらにはそれが発達・神経変性疾患によりどのように変化するかについて報告する.これらを踏まえ,身体と社会的認知研究に関する今後の展開について議論したい.
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