発表

3B-085

大学生の生活習慣に関する自己制御尺度の信頼性・妥当性の検討

[責任発表者] 王 一然:1
[連名発表者・登壇者] 加藤 佳子:1, 曹 家瑋:1
1:神戸大学

目的
 近年,生活習慣病は大きな社会問題として注目されている。生活習慣病の原因は不健全な生活習慣にあることから,日常生活における予防が必要となる。特に青年期以後は,生活習慣が大きく変化し,喫煙,飲酒,欠食,運動不足等,望ましくない生活習慣が形成される傾向がある。そこで,健康な生活を維持するためには,病気に対する一次予防として重要視されてきた生活習慣における自己制御能力を強化することが重要だと考えられる。
 自己制御に関する定義づけは,大きく分けてみると,「欲望抑制」と「目標達成」の2つの側面からなっている。そこで本研究では,はじめに「欲望抑制」「目標達成」の2つの側面から,日常生活における自己制御を測定する尺度項目を検討した(分析1)。次に,検討した尺度項目からなる自己制御尺度の併存的妥当性を検討した(分析2)。

方法
調査対象者:
 調査対象者は大学生434名であった。欠損値のあるデータを除き,分析1では414名(男性268名,女性145名,平均年齢19.9±1.4歳)を,分析2では369名(男性239名,女性130名,平均年齢19.9±1.4歳)を分析対象とした。
調査内容:
生活習慣に関する自己制御:生活習慣に関する自己制御について,自由記述による質問紙調査に基づき作成した生活習慣に関す自己制御を測定する15項目を用いた。回答は5件法であり,得点が高いほど自己制御能力が高いことを示す。
特性自己制御: Tangney et al.(2004)が開発した特性自己制御尺度の短縮版(Brief Self-Control Scale, BSCS)を用いた。日本語版は尾崎ら(2016)によって翻訳され,13項目からなる。回答は5件法で求めた。得点が高いほど,自己制御の特性が高いことを示す。
知覚されたストレス:Cohen et al.(1983)が開発した知覚されたストレス尺度の日本語版(鷲見,2006)を使用した。この尺度は日常生活において知覚されたストレスの程度を測定する尺度である。14項目からなり, 5件法で回答を求めた。得点が高いほど,知覚されたストレスが低いことを示す。
生活習慣:ライフスタイル尺度(森本,2000)を使用した生活習慣について尋ねた。尺度は運動習慣,喫煙習慣,飲酒習慣,睡眠時間,栄養バランス,朝食摂取の有無,労働時間,自覚的ストレスの量の8つの生活習慣について,2件法で回答を求めた。得点が高いほど,生活習慣が良好であることを示す。
主観的健康度:主観的健康度として,SF-12の日本語版(福原ら,2004)を用いて健康関連QOL(Health Related Quality of Life, HRQOL)を測定した。SF-12は12項目からなり,「身体機能」「日常役割機能(身体)」「体の痛み」「全体的健康感」「活力」「社会生活機能」「日常役割機能(精神)」「心の健康」について尋ねている。本研究では,身体的健康度と精神的健康度を算出し分析を行った。

結果と考察
 生活習慣に関する自己制御15項目について固有値1以上を基準に,主因法,プロマックス回転による因子分析を行った。因子負荷量.30未満の項目を削除し,因子分析を行ったところ,2つの因子が抽出された(Table1)。第1因子の項目は,目標達成の側面を表す内容であったので「計画達成」(α= .770),第2因子の項目は,感情抑制の側面を表す内容であったので「情動的制御」(α= .860)と命名した。クロンバックのα係数はそれぞれ.770と.860であり,充分な内的整合性が示された。
 次に,尺度の併存的妥当性を測定するために,特性自己制御,知覚されたストレス,ライフスタイルとの相関を検討した(Table2)。その結果,予想した通り,生活習慣に関する自己制御および2つの下位尺度それぞれは特性自己制御と正の相関がみられた。そして情動的制御はストレス,精神的健康,ライフスタイルと正の相関がみられ,併存的妥当性が確認された。また,計画達成はライフスタイルとも正の相関があった。計画達成と身体的健康との相関は有意であったものの,推測より極めて弱かった(r= .126)。

キーワード
自己制御/生活習慣/情動的制御


詳細検索