発表

2B-088

高校生の適応的な生活に関わる要因についての検討
運動部の競技成績優秀者への半構造化面接から

[責任発表者] 坂本 理香:1
1:嶺南学園敦賀気比高等学校

目 的
日常生活の基盤となる食や睡眠といった基本的な生活習慣は,幼少期からの家庭を中心とした社会環境で醸成されるものであり,生活習慣そのものが個々人の健康意識や,人生観の具現化と見ることもできる(森本,1997)。高校生では,情報メディアの変化や夜型化社会等により,睡眠習慣は夜型で慢性的な睡眠不足であり,朝食や夕食の摂取状況にも影響している(出下・田中,2007)ことが示されている。そのような中において,一般的な高校生は,学校の始業に間に合うように登校して授業を受け,課外活動として部活動や補習授業をこなし,帰宅後もインターネットで友人とつながり,翌日は早朝から起き出し,部活動の朝練習に出かけていく者さえいる。夜型化社会やインターネットの影響が危惧される中において,実際には,多くの高校生は表面的には適応的な生活を送っていると見られる。これまで,「健康な高校生」は研究の範疇になく,なぜ適応的な生活が成立するのかは解明されていない。高校生の不適応的な生活が問題視され,そのポジティブな部分には,あまり関心が向けられてこなかったといえる。本研究では「なぜ適応的な生活をおくることができるのか」といった,ポジティブな側面に着目する。そして,現時点で,適応的な生活を送っていると見られる高校生に対する半構造化面接を通し,高校生の適応的な生活に関わる要因について検討することを目的とする。
方 法
1)調査期間・対象:2015年11月~12月 運動部の競技成績優秀者(男子2名,女子1名)(被面接者の属性:個人情報保護のため,年齢および家族構成詳細は非表示)
A(男子,家族構成:核家族兄弟あり,自宅生)
B(男子,家族構成:核家族兄弟あり,寮生)
C(女子,家族構成:多世代家族兄弟あり,自宅生)
2)倫理的配慮:研究目的・個人情報の保護等について学校長の承認を得た後,被面接者には個別に説明し同意を得た。
3)方法:半構造化面接(60分程度)
主な質問内容(1.睡眠,食事,インターネット使用について日頃気をつけていること,部活のためにコントロールしていること,2.自分の中で自信を持っている資質, 3.部活動でよい結果を出すことができた要因, 4.生活習慣に関して運動部に特化した効能)なお,被面接者の同意を得た上で,ICレコーダーで会話を録音し,逐語録を作成した。
4)分析方法
質問内容ごとに各被面接者の特徴的な語りを抽出した。次に個人要因,家族に関する要因,学校・友人に関する要因の3つのカテゴリーに分類し,語りのニュアンスを残しつつ,整理した。
結果
適応的な生活につながると考えられる個人要因,家族に関する要因,学校・友人に関する要因をTable 1,2に示す。
考 察
個人要因では,目的や目標を持つことで,睡眠や食といった生活習慣がそれを達成するための手段となり,自己制御が行われていた。家族に関する要因では,幼少期の親による制御を経て,親への尊敬や親和性があり,それに至る要因として,栄養面等を考えて提供される食事や,競技の応援等のサポートが関与している可能性が示唆された。学校や友人に関する要因では,教師に対する信頼や尊敬,友人や先輩との良好な関係性が適応的な生活につながるが,それには感謝の気持ち等のサポート享受能力のような個人要因も関与していることが考えられた。
引用文献
出下 嘉代・ 田中 秀樹(2007).高校生の睡眠改善に有効な生活習慣メニューの検討-起床困難・不規則性の観点から- 広島国際大学心理臨床センタ一6,1-15.
森本兼曩(1997).ストレス危機の予防医学-ライフスタイルの視点から-(pp.29-44)日本放送出版協会

キーワード
高校生/適応的生活/半構造化面接


詳細検索