発表

2B-087

患者および家族の視点における望ましい医師の対応
-医師の対応に対する満足点と不満点-

[責任発表者] 高井 範子:1
1:大阪行岡医療大学

目 的
 西垣ら(2004)は,医師への信頼と不信の要因として,医師の①医学的能力,②態度・言動,③医師-患者の感情,コミュニケーションの3要因を見出している。本研究では,重症病棟(ICU)および一般病棟に入院経験のある患者およびその家族を対象として,重症病棟および一般病棟の医師の対応に対する満足点と不満点を検討することを目的とする。
方 法
 重症病棟および一般病棟に入院の経験のある患者および家族を対象としたweb調査(自記式)を行った(2016年3月)。回答は45都道府県に在住の合計646名(男性410名,女性236名)から得た(年齢は18歳~79歳)。「あなたがICU(or一般病棟)に入室された際,医療スタッフにどのような印象をもちましたか。それぞれの医療スタッフについて満足できた点,不満点を具体的にお知らせ下さい」と教示した(本研究では医師を取り上げた)。記述内容はKJ法(川喜田,1967)におけるグループ分けの手法を参考にして分類を行った。
結 果
 Table1(複数回答有り)に示されるように医師の対応の満足点としては,「1.丁寧な説明」<丁寧・的確・分かりやすさ・詳しさに分類される内容>が最も多かった。「2.接遇態度の良さ」では<真剣に病状の改善に努めてくれた等>の『親身さ・献身的態度』,『親切・丁寧・誠実な態度』,『優しさ・配慮』,『迅速な対応』の下位カテゴリーに分類されるものが多かった。「3.優れた治療・処置」の下位カテゴリーとしては『優れた技術力』への満足感や,『的確な診断・治療』や『万全の治療体制』,『予後が良好』に関する内容も挙げられていた。「4.こまめな回診」<多忙にも関わらず毎日必ず様子を見に来てくれて安心できた>や「5.安心感・信頼感」<麻酔から覚めた時,医師が居てくれて安心した>や「6.コミュニケーション力」<いつも前向きになれるような言葉をかけてくれた>といった『声掛け』,『傾聴』<不安もちゃんと聴いてくれた>,『丁寧な言葉遣い』も挙げられていた。また<総合病院だったが他科と連携をとっていて頼もしかった>といった 「7.連携の良さ」に対する満足も示されていた。
 次にTable2に示される医師の対応の不満点としては,「1.接遇態度の悪さ」の下位カテゴリーとしての『傲慢さ・横柄さ・高圧的な態度』や『機械的・事務的・冷たい態度』,更に<危篤状態の枕元で今夜が峠だという医師の言葉を聞き精神的に参った>といった『配慮のなさ』,<医師がパソコンばかり見て一方的に話し,患者を見ていない>といった『親身さ欠如・不親切』や,『不愛想・不機嫌さ』,『遅い対応』などに対する不満がみられた。「2.説明のまずさ」の下位カテゴリーとして『分かり辛い・下手な説明』,『説明不足』,『曖昧さ』や,<専門用語が多く患者や家族が理解しているか否かにお構いなく進める『一方的な説明』>に対する不満も示されていた。一般病棟の医師に対する不満として多かった「3.回診の少なさ」や,<医師の誤診で入院する羽目になった>等「4.不信感・不安感」も示されていた。「5.治療・処置のまずさ」では<点滴や注射,処置が下手だった>,<やらずともよい不要な処置>に対する不満も示されていた。更に<質問したくても話ができない雰囲気だった>,<患者の話を聴かない>といった『傾聴の姿勢欠如』など「6.コミュニケーション不足」に対する不満も示されていた。
考 察
 患者および家族の視点における医師の対応に関しては,不満よりも満足の回答数の方が多かったが(63.5%),患者や家族の気持ちを傷つけ,不快にする医師の対応があることも示された。患者や家族は病状に関する丁寧な説明を求めている。これは患者や家族は,疾病や治療に関して納得を求めていると考えられる。不安に苛まれている患者や家族にとっては,病状の結果の如何に関わらず納得の行くことが気持ちの整理やその後の生き方に影響を及ぼすであろうことが示唆された。また,接遇態度の良さや優れた治療・処置に対する評価は高く,こまめな回診によって患者は安心感を得ている。患者や家族への配慮や献身的態度は医師だけでなく医療全体への信頼にもつながる。コミュニケーション能力も患者の回復や納得に大きな影響を持つものであることも窺えた。
利益相反なし。本研究はJSPS科研費JP26502017の助成を受けた研究の一部である。

キーワード
医師の対応/満足点/不満点


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