発表

1C-082

勤労者における余暇活動とレジリエンス

[責任発表者] 松中 久美子:1
1:関西福祉科学大学

自分の仕事や職業生活に関することで強い不安,悩み,ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者は58.3%と多い(総務省,2017)。松中・大川・倉恒(2019)では,学校教員を対象として,余暇活動がレジリエンスを高める可能性を明らかにした。特に男性はスポーツへの参加や楽器の演奏のような出力型の趣味は,スポーツ観戦や音楽鑑賞のような入力型の趣味より,その可能性が高いことが示された。本研究では,会社員においても同様に余暇活動を行うことで,レジリエンスを高めることができるかを検討した。また,趣味活動を行う頻度,他者と一緒に行うかどうかの実施形態による違いについても分析を行った。
方法
調査対象者:会社員男女計1907名(20~60歳代)を対象としたWEB調査を行った。そのうち,回答に不備のない男性944名,女性961名,合計1905名を分析対象とした(平均年齢44.47歳,範囲20~69歳)。対象者はあらかじめ,WEB調査会社に登録している会社員であり,本調査に回答することによって,当該会社から報酬としてポイントが付与された。
調査内容:質問紙は,レジリエンスを測定するために精神的回復力尺度(小塩・中谷・金子・長峰,2002)(全21項目,5件法),余暇活動に関する質問紙(松中ら,2019)に趣味を1人で行うか他者と一緒に行うかの実施形態に関する項目を追加して用いた。余暇活動については,趣味と気晴らし行動の内容と頻度,実行形態,没頭度が含まれていた。
手続き:調査の内容と目的についての説明,調査の実施,回答の回収はすべてWEB調査会社を通じて行い,インフォームド・コンセントを得て実施した。趣味の実行頻度は,各趣味について毎日(4点)~半年に数回またはそれ以下(1点)の4件法で回答させ,頻度平均値と頻度合計得点を算出した。実施形態については,全部一人で行う場合を0点,他者と行う趣味の数に応じて1点から3点を付与し他者実施得点とした。趣味のタイプについては,松中ら(2019)の基準を用いて対象者をインプット群,アウトプット群,混合群に分けて分析を行った。
結果と考察
 趣味に関する各変数とレジリエンスの各得点間の相関係数を男女別に算出した(Table 1)。男女ともに趣味数と新奇性追求,肯定的未来志向との間,頻度合計と新奇性追求の間,没頭度と各レジリエンス得点の間,他者実施と新奇性追求,肯定的未来志向との間,趣味数とレジリエンス得点との間に正の相関関係がみとめられた。頻度合計と相関が高い趣味数と頻度平均値を除く趣味関連変数を説明変数とし,各レジリエンス得点を従属変数とした重回帰分析をステップワイズ法により男女別に行った(Table 2)。その結果,男女ともに没頭度が新奇性追求を高める傾向が最も高かった。男性においては頻度合計,他者実施も新奇性追求を高め,没頭度と他者実施は肯定的未来志向も高めることが示された。女性においては,没頭度が各レジリエンス得点を高めるが,その他の趣味関連変数の影響は男性ほど高くはないことが明らかとなった。肯定的未来志向においてのみ,趣味タイプの影響が見られたため,性別と趣味タイプを独立変数,肯定的未来志向を従属変数とした分散分析を行った(Table 3)。その結果,趣味タイプの主効果(F(2, 1584)=17.54, p<.001)性別の主効果(F(1, 1584)=6.60, p<.01)がみとめられ, 交互作用は見られなかった(F(2, 1584)=0.29)。多重比較(TukeyのHSD法)の結果,趣味タイプのインプット群よりアウトプット群および混合群の方が,肯定的未来志向が高かった(いずれもp<.001)。
 会社員において,趣味を行う頻度が高いほど,また他者と一緒に行うほどレジリエンスが高まる可能性が示された。趣味のタイプによる違いについては,松中ら(2019)と同様に出力型の趣味を持つ方がそうでない場合よりもレジリエンスが高まることが示された。心身の健康促進のためには,働き方のみならず休み方の工夫も重要であると考えられる。

キーワード
レジリエンス/余暇活動/勤労者


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