発表

3D-083

商品提示方法の違いによる意思決定過程における視線パターンの比較

[責任発表者] 渡辺 藍丸:1
[連名発表者・登壇者] 川杉 桂太:1, 村上 始:1,2, 天野 淳#:3, 竹村 和久:4
1:早稲田大学, 2:日本学術振興会DC, 3:美工IMC, 4:早稲田大学文学学術院

 目 的
 近年,インターネットショッピングサイトの利用者数が増加傾向にあるが,PC画面のような2次元情報と実際の店舗(3次元)における商品の意思決定に関する研究は多くない。本研究では,2次元(以下2D)または3次元(以下3D)の商品提示方法によって,それぞれの意思決定過程における視線のパターンに同様の傾向が認められるかを検討した。具体的には,商品選択課題遂行時の視線の動きと選択の観点から2Dと3Dでの意思決定過程の視線の比較を行った。
 方 法
実験参加者・期間 実験参加者は,大学生および社会人計67名(男性38名,女性29名,平均35.83歳,SD=9.41歳)であった。期間は2019年3月13日から4月4日であった。
実験概要 被験者内1要因2水準(2D,3D)計画であった。両条件で共通して,商品に対する好ましさの測定,アイカメラのセットアップ,商品選択課題の順に実験を行った。商品選択課題中の視線と,商品選択課題の所要時間を記録した。刺激の種類,組み合わせは被験者内で同様であった。一方の条件で実験を実施した後,少なくとも中2日を置いてもう一方の条件で実験を実施した。
実験刺激 本実験では,商品刺激として柄付きのクリアファイルを用いた。刺激の提示方法は,3D条件では,店舗内の商品棚を再現した上下2段の棚を使用し,1段に2つずつ,計4つの刺激を提示した。2D条件では,3D条件で使用した商品棚の写真を,プロジェクターを用いて原寸大で提示した。
実験手続き 好ましさの測定課題では,PC画面上で刺激を30種類提示した。刺激が5秒間提示された後,刺激に対する好ましさを7件法(1.非常に好ましくない~7.非常に好ましい)で回答するよう求めた。商品選択課題では,好ましさの測定課題で提示した12種の刺激の内,4つをランダムに提示し,その中から最も買いたいと思うものを選択させた。両条件で共通して,課題開始直前まで刺激は隠しておき,実験者の合図とともに提示した。実験参加者が回答の準備が出来た時点で,再度刺激を隠した。刺激が提示されている間の時間を課題の所要時間とした。
分析の概略 課題中の視線データを前半,後半に分割した。課題の前後半に共通して,注視が2回以上あること,2つ以上の刺激を見ていることを基準とし,29名(男性17名,女性12名,平均32.62歳,SD=9.91歳)のデータを分析対象とした。なお,本研究において注視は,0.1秒~0.3秒の間,一定の範囲内に視線がとどまっていた場合と定義した。刺激の提示方法の違い(2D,3D)による視線パターンの傾向を比較するため,商品選択課題の所要時間,視線の移動方向の生起回数,選択と注視の関係,の3点を条件間で比較した。
 結 果
 Figure 1に商品選択までの平均所要時間のグラフを示した。2条件の平均所要時間はほぼ同様であり,概ね6~7秒で刺激が選択されていた。次に,視線の移動方向の生起回数の比較をについて,Figure 2に視線移動の平均生起回数のグラフを示した。課題前半では,横,縦,斜めの順に生起回数が多く,課題後半では,縦,横,斜めの順に生起回数が多く,両条件で同様の傾向が認められた。さらに,選択と注視の関係の比較を行った。具体的には,選択した刺激とその刺激を注視していた順番の関係を,最初の注視,最後の注視,最初と最後の注視,その他に分類した。Figure 3に分類の生起回数のグラフを示した。最初と最後の注視を含めると,最後に注視していた刺激を比較的選択しやすい傾向が認められ,この比較においても,両条件で同様の傾向が認められた。
 考 察
 本研究では,刺激の提示方法の違い(2D,3D)による実験参加者の意思決定過程における視線パターンの傾向を比較した。本研究における分析では,2条件間で概ね同様の傾向が認められた。

キーワード
購買意思決定/意思決定過程/アイトラッキング


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