発表

1A-086

幼児の交通行動と親の行動の関係2
-定点観察調査の結果より-

[責任発表者] 水野 智美:1
[連名発表者・登壇者] 西館 有沙:2, 徳田 克己:3
1:筑波大学, 2:富山大学, 3:子ども支援研究所

目的
 横断歩道や歩道上において,幼児を連れた保護者が子どものモデルにならない行動をどの程度行っているのかを定点観察調査によって明らかにしたい。具体的には,幼児を連れた保護者が子どもと一緒に横断歩道上を信号無視して渡るケース,歩行者用信号が点滅した後に子どもと一緒に横断を始めた(以下,点滅信号後の横断)ケース,子どもと一緒に歩きながらスマートフォンをしているケースがどの程度いるのかを計測する。また,幼児を連れた保護者がその他にどのような不適切な行動を交通場面でしているのかを確認する。

方法
 幼児連れの家族を1ユニットとして,横断歩道を渡ろうとする幼児連れ家族のうち,何ユニットの家族が信号無視をしたか,点滅信号後に横断をしたかを計測した。また,調査区間として定めた歩道(約10m)を通行する幼児連れ家族のうち,いくつの家族連れが歩きながらスマートフォンの操作(以下,ながらスマホ)をしていたのかを計測した。
 信号無視,点滅信号後の横断の計測場所は大正駅前(大阪市),神戸駅前(神戸市),大阪港駅前(大阪市),天王寺駅前(大阪市),小岩駅前(東京都)の計5か所であった。ながらスマホについては,阪急三宮駅前(神戸市),JR三ノ宮駅前(神戸市),上野恩賜公園内(東京都),JR大阪駅コンコース(大坂市),なんば駅前(大阪市),戎橋(大阪市),天保山(大阪市),JR東京駅コンコース(東京都),新橋駅前(東京都)の計9か所であった。調査時間は,信号無視(点滅信号後の横断を含む)およびながらスマホの計測ともに1箇所につきそれぞれ1時間であった。

結果
1.信号無視,点滅信号後の横断
 表1に信号無視,点滅信号後の横断をした家族の割合を示した。表によると,全体では,幼児を連れた家族連れの5%が信号無視をしていることを確認した。特に,JR神戸駅前(14%),JR天王寺駅前(8%)での信号無視が目立った。JR神戸駅前では,幼児を連れた家族連れを除いて,横断歩道を通行した人数は312人であり,そのうちの28%(88名)が赤信号で横断していた。この場所は,赤信号(約1分)の間に車が約4~5台しか往来せず,横断歩道の距離も短いことから,一般の人も赤信号で渡る割合が高かった。
点滅信号後の横断については,全体で幼児を連れた家族連れの12%がしていたことを確認した。特に多かったのは,JR小岩駅前(21%),大阪市営地下鉄大阪港駅前(18%)であった。どちらの横断歩道も,距離は短いが,赤信号の際には車の往来が連続してあった。そのため,幼児を連れて赤信号で横断することは危険であると判断したのであろうが,点滅信号で横断を開始することについては,危険であると認識しなかったと推測される。
 また,保護者が子どもを先導して赤信号を渡るケース,点滅信号後に横断し始めた家族の中で,子どもを中央分離帯に残して,大人だけ先に渡ってしまったケースも観察された。さらに,JR小岩駅前では,斜め横断をする親子連れが多くみられた。保護者が平然と斜め横断をしていたことから,子どもも疑問を持たずに保護者と一緒に斜め横断をしているように感じられた。

2.ながらスマホ
 表2にながらスマホをした家族の割合を示した。表によると,全体で9%の家族連れが幼児と歩く際にながらスマホをしていることを確認した。また,保護者も子どももそれぞれがながらスマホをしているケース,両親がそれぞれながらスマホをしているケースもあった。そのなかには,ポケモンGOをしている親子もおり,他の歩行者と明らかに歩行速度が違い,ゆっくり歩いたり急に立ち止まったりしている様子がみられた。また,保護者がながらスマホをしているため,子どもと手をつながずに歩いているだけでなく,子どもが安全に歩いているかどうかに注意を払うこともできず,子どもが他の歩行者とぶつかりそうになっている(保護者は,その状況を認識していない)ことがあった。

キーワード
幼児/交通行動/モデル


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