発表

2D-078

いじめや不登校に関わる外的不適応と内的不適応の関連

[責任発表者] 黒川 雅幸:1
[連名発表者・登壇者] 原田 宗忠:1, 中井 大介:1
1:愛知教育大学

 問題と目的
 平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では,小学校で317,121件,中学校で80,424件のいじめ認知件数が報告されている(文部科学省, 2018)。また,不登校に関しては小学校で35,032人,中学校で108,999人報告されている。これらの問題については,どの子どもでも起きうるものとして考える必要がある。
 いじめや不登校に関しては,ストレス反応を示している子どもが関与していることが示唆されている(菊島, 1997; 三浦, 2006; 岡安・高山, 2000; 神藤・齊藤, 2001; 滝, 2004)。また,自尊感情を含む自己評価もいじめや不登校に関係する要因として検討されてきた(原田, 2016; 伊藤, 2017; Tsaousis, 2016)。
 本研究では,仲間関係や学級,学校といった社会関係に適応できなくなってしまう不適応を外的不適応,心の問題としてかかえてしまう不適応を内的不適応とする。外的不適応として,いじめ被害経験,いじめ加害経験,登校嫌悪感,内的不適応として否定的な自己評価とストレス反応を挙げ,いじめや不登校に関係する外的不適応と内的不適応の関連を示すことが目的である。
   方法
調査対象者 小学校5,6年生420名(男子222名,女子198名),中学校1~3年生942名(男子449名,女子493名)の計1,362名であった。本研究で使用するデータは原田・中井・黒川 (2018) で発表されたものと同一である。
調査時期 2016年4-5月,9-10月,2017年1-2月において,計3回調査を実施した。
調査手続き 学級単位で質問紙調査を実施した。
倫理的配慮 著者らの所属する大学の研究倫理委員会の審査を受けた。また,児童・生徒の心理的負担やフォローを検討するために,教頭や学年主任,養護教諭等と会議を重ねた後に,各調査校の校長から実施の許可を得た。各学校の判断に基づき,保護者への説明も文書にて行い,同意を得た。さらに,実施時には,児童・生徒に対しても説明を行った。調査実施後の児童・生徒については各担任が注意深く見守り,気になる児童・生徒に関しては担任と第一発表者が協力してフォローしていくことにした。
質問紙の構成
 登校嫌悪感傾向 渡辺・小石 (2000) の登校回避感情測定尺度のうち,登校嫌悪感傾向因子に高い負荷を示した6項目を用いた。
 いじめ被害経験といじめ加害経験 岡安・高山 (2000) で用いられているいじめ加害経験に関する3項目といじめ被害経験に関する3項目を使用した。
 ストレス反応尺度 岡安・嶋田・坂野 (1992)の中学生用ストレス反応尺度のうち,不機嫌・怒り感情,身体的反応,抑うつ・不安感情,無気力的認知・思考から2項目ずつ計8項目を用いた。
 短縮版自己評価感情尺度 原田 (2015) の作成した尺度を用いた。12項目であった。
 これらの項目について,あてはまらない(1点),あまりあてはまらない(2点),どちらでもない(3点),ややあてはまる(4点),とてもあてはまる(5点)の5件法で尋ねた。
   結果
 モデル図はFigure1の通りであった。調査回ごとに正準相関分析を行った。外的不適応と内的不適応の関連を最大にする正準相関係数は第1回目で.68,第2回目で.69,第3回目で.68であった。各回の正準負荷量はTable1の通りであった。
   考察
 いじめ被害経験やいじめ加害経験,登校嫌悪感傾向を外的不適応,否定的な自己評価,ストレス反応を内的不適応とした際にこれらの相関は強い関連があることが示された。また,外的不適応には登校嫌悪感傾向が最も強く影響を及ぼしており,一方で内的不適応にはストレス反応のうち,抑うつ・不安感情が最も強く影響を及ぼしていることが示された。外的不適応および内的不適応をみるときに,これらの変数を特に重点的に測定することが重要であることを示す結果であったと考えられる。

キーワード
いじめ加害経験/いじめ被害経験/登校嫌悪感


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