発表

2B-083

21世紀型能力としてのメタ認知能力測定法開発の試み(2)
活動的側面の再分析

[責任発表者] 懸田 孝一:1
[連名発表者・登壇者] 浅村 亮彦:2, 吉野 巌:3, 宮﨑 拓弥:1
1:北海道教育大学旭川校, 2:北海学園大学, 3:北海道教育大学札幌校

 近年,21世紀型能力として,従来から重要とされてきた能力に加え,思考力(問題解決・発見力・創造力,論理的・批判的思考力,メタ認知)や実践力(自律的活動力,人間関係形成力,社会参画力)などを獲得する必要性が叫ばれている(国立教育政策研究所, 2013)。その中で,メタ認知は,学習場面や実際の社会活動場面で自己の様々な能力を調整して発揮させる司令塔的役割を担っているという点で中核をなすといえる。懸田・浅村・吉野・宮崎(2017)は,筆者らがこれまで開発してきたメタ認知能力の測定法(吉野・懸田・宮崎・浅村, 2008他)をベースにしつつ,創造力・課題解決力・実践力などに直結する“21世紀型能力としてのメタ認知能力”を測定する尺度の開発を試みた。その結果,メタ認知の「知識的側面」に関しては3因子(8項目),「活動的側面」に関しては8因子(23項目)が抽出されたが,信頼性係数がそれほど高くない,活動的側面の因子数が多すぎる,などの問題点があった。そこで本研究は,懸田ら(2017)のデータを再分析し,まずは活動的側面に着目し,再度尺度構成を試みる。
方法
 参加者 インフォームド・コンセントが得られた北海道教育大学,北海学園大学,小樽商科大学の学生379名(男191名,女116名,不明72名,平均19.0歳)であった。
 質問紙 21世紀型能力の3つのレベルのうち実践力と思考力に焦点を当てた。4つの実践力のうちの「自律的活動力」と「人間関係形成力」それぞれにつながる思考力としての「創造性とイノベーション」,「批判的思考・問題解決・意思決定」,「学び方の学習」,「自己調整学習」と関連するメタ認知を測定するような質問項目を想定した。これら2×4の8カテゴリーについて,知識に関する項目(知識的側面32項目)と活動に関する項目(活動的側面55項目)を作成した。
 知識的側面の項目と活動的側面の項目ごとに,順序をランダマイズした上で,あてはまる度合を5件法で評定させた。
結果
 回答に不備があった参加者のデータを分析から除外し,374名を分析対象とした。活動的側面の全55項目のうち,評定平均値が2.0以下または4.0以上,および回答に偏りのある計7項目を除外したうえで重みづけのない最小二乗法,プロマックス回転による因子分析を行った。固有値1以上を基準とし,因子の解釈可能性を考慮して繰り返し因子分析を行ったところ,6因子が抽出され,全体として19項目が選定された。第1因子は「協働的活動の目標達成に向けたモニタリングとコントロール」,第2因子は「深い学びと批判的思考」,第3因子は「協働的活動への貢献」,第4因子は「円滑なコミュニケーションのための配慮」,第5因子は「キャリア形成のためのモニタリングとコントロール」,第6因子は「学習や課題解決のためのプランニング」とそれぞれ解釈された(表1)。なお,Cronbachのα係数は,第1因子から順に.689,.642,.630,.588,.629,.451であった。
考察
 活動的側面に関する項目の分析結果について懸田ら(2017)の結果と比較したところ,これらのうち,第3因子は懸田ら(2017)の第3因子,第5因子は懸田ら(2017)の第4因子と同等の因子,第6因子は懸田ら(2017)の第7因子とほぼ同等の因子,そして第2因子は懸田ら(2017)の第1因子と第2因子に相当する因子と考えられる一方で,第1因子と第4因子は新たに発見された因子と考えられる。 これらの結果から,21 世紀型能力としてのメタ認知能力を測定する上で,活動的側面については,「深い学びと批判的思考」,「協働的活動への貢献」,「キャリア形成のためのモニタリングとコントロール」,そして「学習や課題解決のためのプランニング」を安定因子と捉え,尺度構成にあたってはこれらに関する項目を含める必要があると考えられる。さらには,本研究で新たに抽出された第4因子「円滑なコミュニケーションのための配慮」に関する項目についても,先行研究等との比較検証により,尺度構成に含める可能性を検討すべきである。なお,第1因子「協働的活動の目標達成に向けたモニタリングとコントロール」についても尺度構成に含める可能性を検討すべきであるが,これについては第3因子「協働的活動への貢献」との類似性が高いことから,尺度構成に含めることを慎重に検討する必要がある。
 本研究により抽出された因子は,メタ認知の多様性を反映するものであることに加え,いずれも信頼性が確認されていることから,メタ認知能力測定法の確立に寄与するものと評価できる。今後は,本研究の成果を踏まえて項目選定を行い,構成された尺度の妥当性等を実証的に検討する必要があるであろう。

キーワード
メタ認知/21世紀型能力/尺度構成


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