発表

1D-073

ロールレタリングによる看護学生教育への試験的実践(8)

[責任発表者] 大石 武信:1
1:T-time 心理ラボ

 目 的
 ロールレタリング(Role Lettering:以下RL)は,春口(1995)による7つの臨床的仮説の観点から,様々な領域で利用されている。
 看護教育場面においては,対人関係スキル向上のための手段として利用され,その有効性が指摘されている(e.g. 下村, 2007;關戸, 2007)。
 大石(2017)ら一連の研究ではRL体験において,春口(1995)が指摘する「文章による感情の明確化」「自己カウンセリングの作用」「カタルシス作用」に相当する効果を確認した。 
 今回は,大石(2018, 2017)同様に,看護学生にとって大きなイベントとなる初臨地実習の前後においてRLを実施し,手紙の内容自体をテキストマイニング分析することにより,その効果を検討することを目的とした。
 方 法
◎調査対象者:埼玉県内のA看護専門学校に在学する看護学生37名のうち,書面による同意を得た34名分(男2名,女32名)(平均年齢22.1±6.1歳)のデータを発表する。
◎調査期間:2019年1月及び2月の講義中に実施した。
◎実施方法:基礎看護実習前に1回目の「看護師になろうとしている自分」から「看護師になった自分へ」という役割で手紙を書いてもらった。記入後手紙を回収した。2週間の実習終了後の講義時にその手紙を返却し,今度は「看護師になった自分」から「看護師になろうとしている自分へ」という役割で返信を書いてもらった。その後,「看護師になろうとしている自分」,「看護師になった自分」「ロールレタリングを体験して感じたこと」について自由記述してもらった。また,「ロールレタリング振り返り票」(福島,2005)の評定をしてもらった。 
 結 果
◎自由記述:KH Corder 3(樋口,2019)を使用して,手紙の記述内容について共起ネットワーク分析を行った。その結果,「看護師になろうとしている自分」(Figure 1),「看護師になった自分からの返信」(Figure 2)の内容共に「看護」「自分」「頑張る」「思う」といった語の出現頻度や関連が高かった。
◎ロールレタリング振り返り票:「ロールレタリング振り返り票」において評定値の高かった3項目(Table 1),評定値の低かった3項目(Table 2)について表記した。
 考 察
振り返り票の評価の高い項目,低い項目共に大石(2018, 2017)などと同様の項目が挙がった。評価の高い項目については,実習を通じて改めて看護師を目指そうという元来自分が目指していた目的の明確化が,評価の低い項目については,初めての実習で準備段階でも実習中でも教員や指導者からの厳しい指導を体験したことから自己効力感が低下したためと考えられる。このことは,本研究においてもRLの効果に関して先行研究同様の効果があると考えられる。
 手紙の記述内容については,春口(1995)の臨床的仮説のうち,「文章による感情の明確化」に関する語の出現頻度や関連が高く認められ,大石(2018, 2017)などの先行研究と同様の効果があることが示唆される。このことは,春口(1995)の「自己カウンセリング」にもつながることが考えられる。以上のこと方,看護学生の初臨地実習の前後においてRLを実施することは,学生生活の持続や,目標の再認識においても有効であり,さらなる実施と検討を示唆するものである。
 参 考 文 献
春口徳雄(1995) ロールレタリングの理論 杉田峰康(監) 春口徳雄(編)ロールレタリングの理論と実際 pp11-18.
關戸啓子(2007) コミュニケーション能力を高める教育―ロー ルレタリングを導入した演習の試み― 看護展望,32,1121-1125.

キーワード
ロールレタリング/看護学生/共起ネットワーク


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