発表

1C-079

公立学校教員が研修会で気づきを得て変化する過程

[責任発表者] 橋本 和幸:1
[連名発表者・登壇者] 吉岡 秀晃#:2
1:了徳寺大学, 2:ネイチャー・アドベンチャー・ジャパン

【問題と目的】
 本研究は,公立学校教員が私費でファシリテーションスキル取得のための研修会を受講した結果,気づきを得て,それらが仕事に効果を及ぼす過程を検証するものである。具体的には,第二発表者によるファシリテーションスキルを,少人数のグループワークで体験学習により学ぶ研修会に継続して参加した経験がある教員を調査協力者として,研修で体験したことを振り返り,効果的であると考えた研修内容,自分が得た気づき,仕事に起きた効果などをモデル化することを目的とする。
【方法】
 (1)調査協力者:公立学校教員の女性4名(T1:中学校教員,38歳,教員歴15年目。T2:小学校教員,35歳,教員歴12年目。T3:小学校教員,34歳,教員歴11年名。T4:中学校教員,30歳,教員歴6年目)。
 (2)調査時期:2019年1~2月。
 (3)調査手続き:半構造化面接を1人当たり30分程度行った。面接の際,調査協力者の了解を得て,筆記記録をとりながら,ICレコーダーに録音した。
 (4)調査内容:全ての調査協力者に,用意したインタビューガイド(下記の4問)を提示しながら回答してもらった。
 問1 調査協力者の属性:学校種,教職歴,年齢
 問2 このファシリテーションスキルトレーニングで,「何を経験」したか?
 問3 ファシリテーションスキルトレーニングで経験したことから,「何を学んだか」?「ファシリテーションスキル」とはどういうものであると理解したか?
 問4 ファシリテーションスキルトレーニングを受講して,自分のニーズは満たされたか?
 なお,面接の際はガイドを意識し過ぎずに,調査協力者の自由な語りにも任せて,自然な会話の流れになるように心がけた。
 (5)分析の手続き:面接で得られたデータから,第一発表者がトランスクリプションを作成し,分析を行った。その手続きは,まず,研究目的に照らし合わせて,最も詳細に情報があり,具体例を含んでいる調査協力者のデータに着目した。そこで,分析テーマと関係があるデータ箇所に着目して,概念となる可能性がある部分を1つの具体例として概念生成を開始した(オープン・コーディング)。さらに,同時並行的に複数の概念生成を行った。
【結果】
 教員4名から得られた概念(以下,『 』で表記)は次のようなものであった。
(1)気づきを生むもの
 まず,体験したグループワークの内容を述べるとともに,『ファシリテーター体験』を録画して『ビデオで振り返り』をしたことと,『同じワークを繰り返し実施』したこと,『学習者体験』で他の参加者の取り組みを観察学習したことが気づきを生んでいた。
 そして,参加者同士が『他の参加者のフィードバックを聞く』『他の参加者にフィードバックする』『初学者を助ける』『経験者の話を聞く』などの受講者同士のピアサポートも気づきを生んでいた。
 さらに,『講師のライブスーパービジョン』や『講師のレクチャー』を受けることも気づきを生んでいた。
(2)気づきの内容
 得られた気づきは,ファシリテーターをしている時に自分の起きる否定的な面として,『焦り』や『緊張』などの感情や,『自分の予定やペースを変えないこと』や『質問の曖昧さ』のような技術的な問題であった。また,肯定的な面として,『学習者とのアイコンタクト』や『学習者を観察していること』などの振る舞いに気づいていた。
(3)気づきの結果
 気づきによって,研修会の中で『ファシリテーションのねらいが明確になった』『指示が短く明確になった』『話し方や立ち方の変化』『自分を客観的に見られた』などの変化が起きていた。さらに,職場においても『保護者対応の変化』『授業のやり方の変化』『授業中に何が起きるか予測できた』などの変化が起きていた。
【考察】
 本研究の調査協力者である教員4名は共通して,①講師や他の参加者からのフィードバックを受け入れていたこと,②自分の活動を録画して客観的に振り返ったこと,③他の参加者の活動を観察することの3点から気づきが生まれていたと考えられる。
 このような研修会を行う場合,講師には①受講者が活動を行ったその場で助言できるライブスーパービジョンのスキル,②受講者同士のフィードバックが言いたい放題や的外れなものにならないように焦点を絞らせるファシリテーターとしての能力の2点が求められると考える。

キーワード
気づき/ファシリテーション/公立学校教員


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