発表

1C-073

剣道授業に対するイメージの尺度化
— IRT分析を用いた検討 —

[責任発表者] 秋田 裕太:1
1:東北大学

目 的
 イメージを測定する尺度として,対関係の形容詞句で評価するSD(Semantic Differential)法(Osgood, C.E., 1952)が,教育現場でも広く使用されている(井上・小林,1985)。
 初めて剣道の授業を体験する女子生徒が剣道授業に対して抱くイメージを調査した研究(秋田・矢野,2018)では,その因子構造が,体験したことがあるかに関わらず見た(または聞いた)ことがある情報から形成される「見た目イメージ」と対象者本人の感覚が拠り所となり形成される「安心感イメージ」の2因子から構成されることが示唆されている。
 本研究の目的は,テストとしての分析を項目反応理論(Item Response Theory:IRT)によって行ない,イメージ尺度の項目の精度を検討することである。
方 法
調査対象:女子校に在籍する中学1年生196名
調査時期:2015年4月
調査内容:授業前に,「あなたが持つ剣道授業のイメージにはどのようなものがあるか」を問う質問紙調査を実施した。回答は,対関係の形容詞22項目(7件法)で求めた。
分析手順:分析の手順を以下に記述した。
1.「男らしい—女らしい」,「激しい—静かな」,「重い—軽い」,「痛い—痛くない」の項目を逆転項目として処理した。
2.欠測値がある列データ(見た目イメージ:「美しい—みにくい」,「高い—低い」,「大きい—小さい」,「たくましい—弱々しい」,安心感イメージ:「男らしい—女らしい」)は,5件法または6件法として扱った。
3.段階反応モデル(Graded Response Model)によって,見た目イメージと安心感イメージの項目母数(傾き母数・位置母数)を推定した。
4.項目母数をもとに,尺度の精度を検討する指標としてテスト情報量を算出した。
結 果 と 考 察
 イメージ尺度の項目の精度を検討するため,見た目イメージと安心感イメージのテスト情報量を算出しテスト情報曲線の形をそれぞれでみた。その結果,見た目イメージと安心感イメージのどちらにおいても,テスト情報量が高く示された箇所が2つ確認された(Figure1)(Figure2)。この二峰性で示された見た目イメージと安心感イメージのテスト情報曲線を項目ごとに分析した。その結果と考察を次に記述した。
見た目イメージのテスト情報曲線
 見た目イメージを項目ごとにみてみると,「かっこ良い—かっこ悪い」は二峰性のテスト情報曲線で示された。その他の8項目(「広い—狭い」,「美しい—みにくい」,「高い—低い」,「大きい—小さい」,「たくましい—弱々しい」,「面白い—退屈な」,「機敏な—鈍感な」,「速い—遅い」)では,テスト情報量が潜在特性尺度値全域で低く,二峰性でも単峰性でもない平坦なテスト情報曲線で示されることが確認された。
したがって,見た目イメージ9項目のうち,「かっこ良い—かっこ悪い」が見た目イメージを精度良く測定している項目であることが考えられる。
安心感イメージのテスト情報曲線
 安心感イメージを項目ごとにみてみると,「平気な—恐ろしい」は二峰性のテスト情報曲線で示された。その他の10項目(「安全な—危険な」,「明るい—暗い」,「女らしい—男らしい」,「柔らかい—硬い」,「白い—黒い」,「軽い—重い」,「痛くない—痛い」,「好きな—嫌いな」,「易しい—難しい」,「楽しい—苦しい」)では,テスト情報量が潜在特性尺度値全域で低く,二峰性でも単峰性でもない平坦なテスト情報曲線で示されることが確認された。
したがって,安心感イメージ11項目のうち,「平気な—恐ろしい」が安心感イメージを精度良く測定している項目であることが考えられる。
ま と め
 本研究の結果から,剣道授業に対するイメージを精度良く測定することが可能な項目は,見た目イメージでは「かっこ良い—かっこ悪い」であり,安心感イメージでは「平気な—恐ろしい」であることが示唆された。

キーワード
イメージ/剣道/項目反応理論


詳細検索