発表

1B-085

公立学校教師における負担感の構造の検討(3)
-「教師の生活・意識・誇り・専門性と教育改善の可能性に関する調査」より -

[責任発表者] 玉井 航太:1
[連名発表者・登壇者] 藤田 英典#:2, 山田 真紀#:3, 和井田 節子#:2, 鈴木 悠太#:4
1:北海商科大学/国際基督教大学, 2:共栄大学, 3:椙山女学園大学, 4:東京工業大学

目 的
 近年の報道にあるように学校教師の働く環境は厳しいものであり,教師の多忙化は社会的な問題として位置付けられる。玉井・藤田・山田・和井田・鈴木(2017)では,小中学校教師間において負担感という観点からその業務の認知の仕方に異なりがあることを明らかにした。また,玉井ら(2018)では2017年から2018年の縦断データを用い,小中学校教師の負担感の間での因果関係を統計的分析から検討した。本研究では,その続きとして,2018年に実施された「教師の生活・意識・誇り・専門性と教育改善の可能性に関する調査」(研究代表者:藤田英典)から得られた高校教員のデータを分析に加え,専任教師における職務上の負担感と学校の組織風土の関係を検討するものである。

方 法
 2018年3月に実施したインターネットを用いた調査のデータを用いた。調査では,マイボイスコム株式会社のインターネット・コミュニティ「MyVoice」とその提携調査会社の公立学校教師である会員にメールで協力依頼を行った上で,回答を受け付けた。その結果,協力してくれた1171名(男:82.6%;女:17.4%)の有効回答を得た。その内,小学校教師は406名,中学校教師は289名,高校教師は476名であった。
分析に使用した項目 本研究では,調査に用いた質問票にある以下の項目を分析に使用し,玉井ら(2017)における因子分析結果に基づき,対応する負担感の項目から「校務負担感」,「教育負担感」,「個別対応(が必要な)業務負担感」の因子を想定した。これらの項目では「普段どのくらい負担感がありますか」と尋ね,4件法で回答を求めた。
校務負担感:「校務分掌の係の仕事」,「学校行事の運営や準備」,「職員会議や学年会」,「研修」,「事務処理」
教育負担感:授業,教材研究や授業準備,テストの採点や提出物の点検,学級づくり
個別対応業務負担感:進路指導,部活動や課外活動の指導,PTA(保護者会),地域社会の仕事,保護者への対応
学校組織風土:米沢・岡本・林(2010)による学校の組織風土尺度を用いた。米沢ら(2010)の学校の組織風土尺度は,その探索的因子分析結果から「校長との肯定的雰囲気」,「成長的・挑戦的雰囲気」,「開放的・一体的雰囲気」の3因子構造が見出されている。分析においては,学校の組織風尺度14項目の平均値を算出し,その平均値を学校の組織風土の得点指標とした。

結果と考察
 学校の種類(小学校・中学校・高校)と学校の組織風土を独立変数とし,校務・教育・個別対応業務の負担感をそれぞれ従属変数とした被験者間二要因分散分析をおこなった。その際,学校の組織風土の四分位数を算出し,Q1以下を低群,

Q1からQ3までを中群,Q3以上を高群と分割した。
 分析の結果,校務負担感[F (4, 1162) = 2.649,p= .032, ηp2 =.009]で学校の種類と学校の組織風土の交互作用が有意であった。一方で,教育負担感[F (4, 1162) = 1.395, p = .234,ηp2 =.005]と個別対応業務負担感[F (4, 1162) =1.849, p= .117, ηp2 =.006]では交互作用は有意ではなかった。教育負担感では学校の組織風土の主効果のみが有意であり[F (2, 1162) = 3.880, p = .021, ηp2 =.007],個別対応業務負担感では,学校の種類[F (2, 1162) = 8.505, p = .000, ηp2 =.014]と学校の組織風土[F (2, 1162) = 5.251, p = .005, ηp2 =.009]が有意であった。校務負担感の交互作用について単純主効果の検定と回検定をおこなった結果,必ずしも組織風土が良いことが校務負担感の低さに結び付くわけではなく,学校の組織体制が異なるために学校の種類によって学校の組織風土と校務負担感の関係も異なることが示唆された。
附記:本研究は科学研究費補助金(課題番号:15H03489 研究代表者:藤田英典)の助成を受けている。

キーワード
学校教師/負担感/インターネット調査


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