発表

1B-083

保護者の教育相談ニーズ
学校教育に対する意識調査の二次分析

[責任発表者] 中山 真:1
1:皇學館大学

 問 題
 学校が保護者と良好な関係を形成・維持することは容易ではなく,近年は特に難しくなっている。学校に対する親の期待と学校関係者の努力との間にスレ違いを引き起こすこともあり,学校に対する保護者のニーズを把握することは重要である。本研究では,学校における教育相談対応に対する保護者の意識に焦点を当て,その特徴をを明らかにすることを目的とする。

 方 法
 ベネッセ教育総合研究所(2012)による「学校教育に対する保護者の意識調査2012」 のデータを用いた分析を行った。このデータは,全国の公立小学校2・5年生,公立中学校2年生の保護者を対象に,2012年11月から2013年1月にかけて,学校に対する意識について幅広く質問を行った調査である。回答者数は子どもの学年順に2,280名,2,239名,2,258名と学年不明50名の計6,831名である。

 結果と考察
 教育相談対応に関する項目によるクラスタ分析 教育相談対応に関係する質問項目(Table 1)のうち,通学校に対する要望「子どもの様子を伝えてほしい」「気軽に相談したい」は回答に偏りが見られたため,学校の取り組みに対する満足度「いじめや子どもどうしのトラブルへの対応(以下,トラブル対応満足度)」の回答と組み合わせて,学年別にクラスタ分析を行い,これを以降の分析に活用することにした。
 まず,小2の保護者についてk平均法によるクラスタ分析を行った。クラスタ数の設定を2〜5で反復し,解釈可能性とサンプル数の散らばり具合から,クラスタ数は3を採用した(以下,3つのクラスタをⅠ・Ⅱ・Ⅲと表記する)。クラスタの特徴を調べるため3つのクラスタを独立変数,上記の通学校に対する要望2項目,学校の取り組みに対する満足度1項目を従属変数として,分散分析を行った。その結果,3項目とも有意な主効果が見られた(子どもの様子を伝えてほしい:F(2, 2269) = 1589.05, p <.001, η2p = .58,気軽に相談したい:F(2, 2269) = 854.23, p <.001, η2p = .43,トラブル対応満足度:F(2, 2269) = 1614.39, p <.001, η2p = .59)。多重比較の結果,「子どもの様子を伝えて欲しい」はⅠ<Ⅲ<Ⅱ,「気軽に相談したい」はⅠ<Ⅲ≒Ⅱ,「トラブル対応満足度」はⅢ<Ⅰ<Ⅱという差が確認された。これらの結果から,クラスタⅠを中間群(n = 665),Ⅱを要望高・満足群(n = 915),Ⅲを要望高・不満群(n = 520)とした。
 小5および中2の保護者についても同様の分析を行った。クラスタ数はいくつかの可能性が考えられたが,全ての学年を3で統一した。分散分析の結果,小5(子どもの様子を伝えてほしい:F(2, 2325) = 140.92, p <.001, η2p = .11,気軽に相談したい:F(2, 2325) = 621.68, p <.001, η2p = .35,トラブル対応満足度:F(2, 2325) = 2663.67, p <.001, η2p = .70),中2(子どもの様子を伝えてほしい:F(2, 2816) = 661.22, p <.001, η2p = .32,気軽に相談したい:F(2, 2816) = 1578.87, p <.001, η2p = .53,トラブル対応満足度:F(2, 2816) = 1425.36, p <.001, η2p = .50)とも有意な主効果が見られた。多重比較の結果,小5は「子どもの様子を伝えて欲しい」はⅡ<Ⅰ≒Ⅲ,「気軽に相談したい」はⅡ<Ⅰ<Ⅲ,「トラブル対応満足度」はⅢ<Ⅱ<Ⅰという差が確認された。これらの結果から,クラスタⅠを要望高・満足群(n = 1301),Ⅱを中間群(n = 148),Ⅲを要望高・不満群(n = 679)と,小2と同様の命名を行った。中2は「子どもの様子を伝えて欲しい」はⅢ<Ⅰ<Ⅱ,「気軽に相談したい」はⅢ<Ⅰ<Ⅱ,「トラブル対応満足度」はⅢ<Ⅱ<Ⅰという差が確認された。これらの結果から,小2・小5の命名と一部異なり,クラスタⅠを要望中・満足群(n = 914),Ⅱを要望高・不満群(n = 823),Ⅲを要望中・不満群(n = 395)とした。
 スクールカウンセラー配置に対する賛否 スクールカウンセラー(以下,SC)配置ニーズについて,学年・クラスタ別にχ2検定および残差分析を行った。χ2検定の結果,小2はχ2(8) = 150.81, p <.001, V = .19,小5はχ2(8) = 81.65, p <.001, V = .14,中2はχ2(8) = 109.55, p <.001, V = .16と全ての学年で有意であったため,残差分析を行った。全体として多くの保護者が賛意を示していたが,教育相談対応の要望がとりわけ強くない保護者では,「わからない」という回答も有意に多く見られた。顔の見える場でSCの周知活動を継続していく必要がある。

付記 二次分析に当たり,東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターSSJデータアーカイブから「学校教育に対する保護者の意識調査,2012」(ベネッセ教育総合研究所)の個票データの提供を受けました。
 

キーワード
教育相談/保護者/二次分析


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