発表

1B-082

インターネット使用態度,インターネット依存傾向,インターネット使用の指導に対するエフィカシーとの関連
教職課程に在籍する大学生を対象に

[責任発表者] 三宅 幹子:1
1:岡山大学

 インターネット環境の普及に伴って青少年のインターネット使用に関する様々な課題が取り沙汰されるようになり,教育問題の1つとして重視されている状況にある。本研究では,大学の教職課程に在籍する学生を対象として,インターネット依存傾向の実態を検討するとともに,将来教職に就いた際の,生徒のインターネット使用の指導に対するエフィカシーとの関連について検討した。
方法
 調査参加者 総合大学の教育学部に在籍する学生95名(男性34名,女性60名,不明1名)。ほとんどの参加者が中学校教諭免許状取得が卒業要件となる課程の在籍者であった。
 調査の実施方法 大学の教職科目の授業終了後に受講者の学生を対象に調査への協力を求めた。調査は無記名で個人が特定されない方法で行われた。また実施にあたっては,参加は任意で回答したくない項目への回答は不要である旨を説明した。
 調査内容 調査内容は以下の3つの部分から構成されていた。(1)インターネットの使用歴・使用態度(項目内容はTable 1参照),(2) 将来教職に就いた際のインターネット使用の指導に対するエフィカシー(使用時間・通信量のコントロール/トラブル回避/人を傷つけない使い方/プライバシー保護の各領域について各1項目,5段階評定),(3)インターネット依存傾向:インターネット依存度テスト(久里浜医療センター訳,20項目5段階評定)
結果と考察
 各変数の平均値(SD)をTable 1に示す。
 各変数間の相関係数を算出したところ,インターネット使用態度8項目間には多くの項目対で有意な相関係数がみられ,中程度以上であったのは,「a)適切な使用について考える機会」と「b)自分なりのルール」(r=.62),「f)使い方について周囲の人と話す機会」(r=.54),「b)自分なりのルール」と「c)使用時間・通信量のコントロール」(r=.55),「f)使い方について周囲の人と話す機会」(r=.56),「d)危険やトラブルの回避」と「e)相手を傷つけない使い方」(r=.50),「f) 個人情報・プライバシーの保護」(r=.52)であった(いずれもp<.01)。
 指導のエフィカシー4項目間については,全項目対に高い相関係数がみられたが,「a) 使用時間・通信量のコントロール」とその他項目間では.64~.70であったのに対し,「b) トラブル回避」「c) 人を傷つけない使い方」「d) プライバシー保護」では項目対間の相関係数は.79~.85とやや高めになっていた(いずれもp<.01)。
 インターネット使用態度,インターネット依存傾向,指導のエフィカシーの各変数間の関連について検討していく(Table 2)。まず,インターネット使用態度と指導のエフィカシーの間では,一部を除きほとんどの項目対で低めの正の相関係数がみられた。その中では比較的高めといえる相関係数がみられたのは,使用態度の「d) 危険やトラブルの回避」と,指導のエフィカシーの「b) 危険やトラブルの回避」「c) 人を傷つけない使い方」「d) 個人情報・プライバシー保護」の間であった。こうした側面においては,自分自身が適切な使用ができていることが比較的明確に指導の自信につながっているといえる。一方で,使用態度の「c) 使用時間・通信量のコントロール」と,指導のエフィカシーの「a) 使用時間・通信量のコントロール」との間には有意な相関係数はみられず,自分自身の使用時間・量のコントロールができるかどうかと,生徒に対してそうした側面の指導ができるかとはリンクしていなかった。次に,インターネット依存傾向と指導のエフィカシーについては,いずれも有意な相関係数はみられず,関連は示されなかった。最後に,インターネット使用態度とインターネット依存傾向については,使用態度の「d) 危険やトラブルの回避」,「f) 個人情報・プライバシーの保護」との間に弱い負の相関係数がみられた。
 これらのことから,教職課程に在籍する学生において,自分自身のインターネット使用態度やインターネット依存傾向とインターネット使用の指導に対するエフィカシーとの間の関連が示され,ある程度強く結びついていると解釈できる領域は,問題の予防や回避にかかわる側面といえる。
謝辞 本研究は,科学研究費助成金(課題番号17K04863)の助成を受けたものです。記して謝意を表します。

キーワード
インターネット/インターネット依存/インターネット使用の指導に対するエフィカシー


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