発表

1B-081

女子大学生における親,教員,友人への学業サポート希求に関する探索的検討

[責任発表者] 倉住 友恵:1
1:駒沢女子大学

問題
大学生は学業場面においてどのようなサポートを期待しているのであろう。学業面でのソーシャルサポートについては,これまで学業的援助要請研究として多く検討されてきた。しかしながら,学業的援助要請とは「学習過程において学習者が自分の力だけで解決することが困難な課題に直面した際,他者に助言を求める行為」(野崎,2004)であり,困難な学習課題に直面した際のソーシャルサポートに文脈が限定される。学業を遂行する上では,困難に直面しなくとも周囲のサポートを得る必要があり,ニーズがあるものと考えられる。そこで本研究では,学業面でのソーシャルサポート(以下,学業サポート)について取り上げ,どのような対象をサポート源としているか,各対象に対しどのようなサポートを希求しているかについて探索的に検討する。さらに,学業サポートを希求するか否かには対象との関係性が影響するものと考えられるため,対象への信頼感および会話の気軽さが当該対象への学業サポート希求に影響するかについても検討を行う。なお,援助要請は女子の方が高いため(野崎,2003),今回は女子のみを対象とし調査を実施した。
方法
質問紙を作成し,東京都内の女子大学生189名(平均年齢19.70歳,SD=0.94)から回答を得た。倫理的配慮について説明し同意を得たうえで実施した。調査時期は2019年4月であった。質問内容は,以下の通りである。1)学業サポートの希求対象 「大学の勉強についてサポートを得るとしたら,誰にサポートして欲しいか」を尋ね,学業サポートを希求する対象すべてを選択してもらった。さらに,その中でも最も学業サポートを得たい人1名を合わせて選択してもらった。2)学業サポートの希求内容 親,教員,友人から具体的にどのような学業サポートを得たいか自由記述式で回答してもらった。3)関係性 親,教員,友人との関係性について,信頼感「〇〇は頼りになる」,会話の気軽さ「〇〇とは気軽に話すことができる」の2項目で尋ねた。6件法であった。
結果と考察
学業サポートの希求対象 各対象に対し学業サポートを希求した割合は,親43.1%,教員77.7%,友人80.3%であった。最も学業サポートを得たい対象として選択された割合が高かったのは教員(48.4%)であり,次いで友人(31.7%),親(11.8%)であった。これらより女子大学生の多くは,大学の教員や友人からの学業サポートを期待していると考えられる。一方で,約4割の女子大学生が親からも学業サポートを得たいと考えていることが示唆された。
学業サポートの希求内容 親に対しては,「見守りや不干渉」を求める声が25.9%(対全自由記述者数;以下同様)と最も多く,順に「食事支援」20.3%,「情緒的サポート」20.0%,「金銭的サポート」11.9%,「直接的学習支援」11.9%となった。親へは間接的な学業サポートを求める声が多く,上位4カテゴリを占めた。その一方で,分からないところを教えて欲しいなどの「直接的学習支援」も11.9%みられ,大学生であっても一部には親に勉強を見てほしいと考えている学生が存在することが示唆された。教員に対しては,分からなかったところを詳しく教えて欲しいなどの「個別学習支援」(28.8%)や,分かりやすい授業をして欲しいなどの「授業改善」(24.4%)が多く挙げられた。また,進路相談を含む「就職サポート」に関する記述(13.5%)や,勉強の仕方を教えてほしいといった「学習方略の指導」(7.1%)を求める記述もみられた。全体を通して,教員は実際に授業を行っていることもあり,学習に対する直接的支援を求める記述が多くを占めていた。友人に対しては,分からないところを教えてほしい(教え合いたい),一緒に勉強したいなどの「相互学習支援」(53.9%)を求める記述が最も多く,次いで授業等に関する「情報共有」(15.0%),「欠席サポート」(13.2%),「情緒的サポート」(10.8%)が挙げられた。友人は共に大学で学び合う仲間であるため,学習内容の習得や単位取得に向けて互いに助け合う姿勢がうかがわれた。
対象との関係性と学業サポートの希求の有無との関連 親,教員,友人への信頼感および会話の気軽さによって,各対象への学業サポート希求の有無に影響がみられるか検討を行った。判別分析の結果,親への学業サポート希求には親への信頼感が,友人への学業サポート希求には友人への信頼感が,教員への学業サポート希求には親との会話の気軽さが有意な影響を及ぼすことが示唆された。親や友人においては対象への信頼感が基盤となり,信頼できる相手だからこそ学業サポートを希求するという判断に繋がったと考えられる。一方,親との会話の気軽さが教員への学業サポート希求に影響したという点については,親と気軽に会話できる大学生は親と同世代であることも多い教員へのアクセスのしやすさへと繋がり,その結果学業サポートを希求しやすくなったのではないかと考えられる。
総括 
本研究の結果では,学業的援助要請に対応する直接的な学業サポートを求める記述も見られた一方で,情緒的サポートや欠席サポートなどの学業的援助要請ではないサポートも多く希求されていた。また,サポート希求対象としては友人や教員が選ばれやすく,サポート希求内容も対象によって大きく異なることが明らかとされた。
引用文献
野崎 秀正(2003).学業的援助要請の規定因に関する研究の動向と展望 広島大学大学院教育学研究科紀要第一部学習開発関連領域,52,73‐82.
野埼 秀正(2004).生徒の態度が学業的援助要請に及ぼす影響の動機づけ類型間比較 日本教育工学会論文誌,28,1‐4.

キーワード
ソーシャルサポート/学業的援助要請/関係性


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