発表

1B-080

キャンパスエイド活動におけるスーパービジョンシステムの要求仕様

[責任発表者] 國見 充展:1,2
[連名発表者・登壇者] 黒澤 泰:1,2, 岩﨑 眞和:1,2, 望月(川端) 珠美:1,2, 櫻井 由美子#:1,2
1:茨城キリスト教大学, 2:茨城キリスト教大学カウンセリング子育て支援センター

1. はじめに
 茨城県では,県内のフレックス高校(定時制・単位制・三部制)に入学する様々な心理的課題や困難を抱えた生徒達へのサポートを目的として,大学院生等を高校に派遣するキャンパスエイド(以下,CA)事業を行っている。派遣先校内の所定スペースを拠点に,CAは生徒との関わりを通して生徒の日々の学校生活を支援する。具体的な活動内容として,(1)生徒に対する話し相手の役割で行う支援活動,(2)学校カウンセリングに係る校内研修会等への参加,(3)その他,学校カウンセリング活動に関すること,が定められている。
 茨城キリスト教大学では,2018年度より本事業に参加し,県内唯一の学部生のみで構成されたCA活動を開始した。派遣先である茨城県立高萩高等学校は,2018年度に県北地区初のフレックススクールを開校している。ここには小中学校で不登校を経験した生徒が多数在籍しており, CAは生徒にとっての“斜めの関係”からのサポート,および彼らの“居場所”の提供が期待された。
 本来,支援活動は,一般化された知識,価値観の活用に限定されず,利用者(派遣先)を個別化した,柔軟な支援が不可欠である。CA活動をすでに開始している茨城大学による報告書では,派遣元(大学/院)および派遣先(高校)によってCA活動に特徴や差異があることが言及されている(守屋, 2015)。公認心理師の心構えとして「心理師が援助を提供することができるのは,その心理師が有する専門的な知識・スキルの範囲内の事柄に限られる」と述べられており(野島, 2018),本学のCA活動においても,“できること”と“求められること”を意識したスペシフィックな活動の展開が望ましいと考えられる。
 以上を踏まえ,CA活動初年度である18年度は,CA活動実施要項に基づいた活動に終始し,CAのスーパービジョンシステムの要求仕様の確認を目標と定めた。本稿ではCA初年度の活動報告と,その結果からの要求仕様の考察を行う。
2. 体制
 茨城キリスト教大学生活科学部心理福祉学科に所属する学部生13名(3年生10名,4年生3名)がCAスタッフとして本事業に参加した。加えて,同学部所属教員3名(スーパーバイザー教員2名+コーディネイト教員1名)による報告書の添削指導およびグループ・スーパービジョン等の支援を行った。
3. 18年度の活動内容
(1) 高校でのCA活動:2名/1日体制を基本として活動した。活動日は4年生3名をリーダーとして3グループを編成し調整した。各グループでシフトを調整し,コーディネイト教員を経由し高校へ連絡を行った。
(2) 活動報告書の提出:CA活動実施後,1週間以内を目安に本学指定の活動報告書の提出を求めた。担当教員による確認,添削とフィードバックを行った(原本は学生に返却,複写を保管管理)。
(3) CAミーティングの開催:月に2回,CAミーティングを実施した。活動についての意見交換を行い,活動中に生じた諸課題の解決を図った。
(4) 高校との連携・協働:CA連絡協議会の実施,高校教員による学科授業の参観,およびCAミーティングへの出席,次年度CA募集集会への出席(学校および活動の紹介)を行った。
4. 活動報告と考察
 年間CA活動日数は121日であり,来室者は延べ613名,1日あたり平均5.0名だった。(1)-(4)は滞りなく機能し,想定項目が必要であることが確認され,初年度の目的として設定したCAの要求仕様の確認は成功した。通年の報告書,CAミーティングを通して,「①CAスタッフと生徒との心理的距離感」「②校則違反に関する生徒への教育的な注意指導の是非」「③教職員とCAスタッフの守秘義務の認識の差異」の3点に関する問題が明確化した。特に②に関しては,派遣先の校則に基づいた教育的な指導を期待された際のCAスタッフの戸惑いに基づいていた。本学のCAスタッフは基本的な心理学的支援を修得済みであるという点で,学部生であったとしても,CAスタッフとして適正を持つことが担保された。しかし教育的指導に関するトレーニングは未収得であり,生徒との斜めの関係の構築との矛盾に戸惑いが見られた。
 以上の活動報告から,本学が派遣先を個別化した支援として,妥当な心理的距離感および守秘義務の判断基準の事前指導プログラムの構築(①,③)やCAスタッフによる教育的指導義務の除外を含む本学独自のCAガイドラインの作成(②)が行われた。
5. 引用文献
野島一彦編 (2018). 公認心理師の職責. 遠見書房.
守屋英子 (2015). フレックススクールにおけるキャンパスエイド活動の検討 -平成25年度戦略的地域連携プロジェクト結果から-. 心理臨床研究 (7) 3-20.
6. 付記
「キャンパスエイド」は茨城県教育委員会による「いばらき青少年・若者プラン(第2次)」の一環である。

キーワード
キャンパスエイド/スーパービジョン/連携


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