発表

3D-071

幼児の食と睡眠に関する健康教育 (2)
子どもの生活時刻クラスターによる母親の育児・食の要因の比較

[責任発表者] 長谷川 智子:1
[連名発表者・登壇者] 福田 一彦:2, 赤松 利恵#:3, 吉井 瑛美#:3, 川端 一光:4, 今田 純雄:5
1:大正大学, 2:江戸川大学, 3:お茶の水女子大学, 4:明治学院大学, 5:広島修道大学

目 的
 第一報では,平日・休日における幼児の生活時刻(起床・朝食・夕食・就床)とそれらの時刻の規則性から幼児の生活時刻クラスターを4つに分類した(Cluster 1:早寝早起きで規則正しい群(以下,早寝規則), Cluster 2:時刻は標準的でそれほど不規則ではない群(以下,標準規則), Cluster 3:時刻は標準的だが不規則な群(以下,標準不規則), Cluster 4:時刻も遅く不規則な群(以下,夜更かし不規則).本報では,これら4クラスターにより母親の育児・食の要因,社会的属性を比較することを目的とする.
方 法
手続き:WEB会社に登録されている子どもをもつ核家族の25~44歳の女性のサンプルからランダムに抽出された者を対象にWEB調査への参加依頼をEメールにて配信した.スクリーニング調査において,子育ての中心の者が25 ~44歳の核家族の母親であること,子どもの人数が1~3人であり,3~5歳児が最低1人いること等10項目を通過した者が本調査に回答した.本調査は3~5歳児各年齢群で保育園(こども園の保育園児相当も含む)群・幼稚園他群(こども園の幼稚園児相当含む)の6群において最少人数の群が300人に達した時点で終了した.3~5歳児に子どもが2人以上いる者には,もっとも年齢の低い子どもについての回答を求めた.調査期間は2018年12月11~24日であった.分析にはSAS ver9.4を使用した.
調査対象者:すべての質問に回答した1,925人のうち回答に不備がない1,899人を分析対象とした(有効回答率98.65%).子どもの性別は男児995人(52.4%),女児904人(47.6%),平均月齢は61.41カ月(SD = 10.35),通園施設は,保育園773人(40.71%),幼稚園802人(42.23%),こども園保育園相当141人(6.90%)・幼稚園相当131人(7.42%),その他1人(0.05%),自宅51人(2.69%)であった.母親の平均年齢は35.75歳(SD = 4.32),子どもの人数は1.95人(SD = 0.66),就労状況は専業主婦915人(48.18%),パートタイム579人(30.49%),フルタイム374人(19.69%),その他31人(1.63%)であった.
質問項目:質問項目は,母子の生活時刻,子どもの行動,母親の行動,社会的属性等に関する大問41項目から構成された.本報での分析対象となる変数は,次の通りである.1)母親の尺度:育児では育児満足(4項目),育児不安(5項目),パーソナリティ特性では衝動性(7項目:長谷川ら,2018),日本語版S-UPPS-P衝動性尺度(Lynam et al., 2006; 長谷川ら,2018)の忍耐の欠如(4項目)・熟慮の欠如(4項目),夜型生活促進(6項目),スマホ育児(6 項目),調理(8項目),健康重視の食態度(8項目),食生活リテラシー(5項目:高泉ら,2012),2)家族の社会的属性:子どもの月齢,父母の年齢,父母の教育年数,世帯年収(1. 300万未満~7. 1千万以上の7件法),評定は4件法または5件法,3)母親のBody Mass Index(BMI:身長2m/体重Kg).
結 果 と 考 察
 母親の育児・食に関する11尺度と家族の社会的属性の要因(子ども・父母の年齢,父母の教育年数,世帯年収),母親のBMIについて,4クラスターによる一元配置分散分析(多重比較Bonferroni)を行った(表).また4クラスターと子どもの通園施設(保育園・幼稚園),母親の就労状況(専業主婦・パートタイム・フルタイム)の独立性の検討のためχ2検定を行った.
 母親の育児・食に関する尺度では,夜更かし不規則群は,他群よりも育児ストレスが高く,スマートフォンやデジタル機器に依存し,子どもの夜型生活を促進する育児であること,衝動性が高いこと,栄養バランスが悪く中食・外食が多いことが示された.一方健康を重視した食態度や食生活リテラシーは4群間に差異は認められなかった.
 家族の社会的属性では,夜更かし不規則群は,父母の教育年数が他の3群よりも短く,世帯年収が標準規則群より低かった.また,子どもの通園の種類,母親の就労状況いずれも有意となったため(χ2=55.30, 25.62, いずれもp<.001),残差分析の結果,子どもの通園は早寝規則群は幼稚園児が多く,保育園児が少ない一方で夜更かし不規則群はその反対であること,母親の就労状況は早寝規則群は専業主婦が多く,パートタイム,フルタイムが少ないこと,標準規則群はフルタイムが多いことが示された.また,母親のBMIは,夜更かし規則群,不規則群は早寝規則群より高かった.
 以上のことから,夜更かし不規則群の母親の育児行動は子どもの夜型生活を促進するだけでなく,母子の関係性の問題も生じさせやすいこと,簡便な食生活を営んでいることが明らかとなった.また,それらの背景には社会経済的地位の低さも影響している可能性が示唆された.
謝辞:本研究の一部は,平成30年度科研費基盤研究(B) (17H01952)の助成をうけた.
利益相反:本研究に関して公表するべき利益相反はない.
倫理審査:本研究の実施にあたり,本研究の計画は大正大学研究倫理委員会の承認を得た(18-007).

キーワード
食行動/育児/幼児


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