発表

3B-073

少年サッカー競技者が記述するチームの目標の変化

[責任発表者] 名取 洋典:1
1:医療創生大学

目 的
 本研究では,少年サッカーを取り上げ,時期によって,所属している小学生たちが認識している「チームの目標」がどのように変化するのかを明らかにすることを目的とした。
方 法
調査対象者および調査時期 東北地方の中核市にある1つの少年サッカーチームに所属する小学5,6年生を対象とした。調査は,2018年11月と12月,2019年2月の3回行った。11月の調査の21名,12月の調査の24名,2月の調査の22名の回答を分析の対象とした。全員が男子小学生であった。
調査内容 「チームの目標を教えてください」という質問に対する自由記述を求めた。また,「将来の目標」,「サッカーについての今の目標」,「コーチや監督から言われて覚えている言葉」という質問についても回答を求めた。本研究では,「チームの目標」についてのみ分析を行った。
 これに加えて,調査用紙には,サッカーにおける学習意欲を測定する目的の28項目(5件法)が含まれていた。
手続き 2019年8月に地元サッカー協会を通して,調査趣旨の説明をした上で,協力チームを募集した。協力に同意を得た1チームの代表者に,調査対象者分の調査用紙を郵送し,実施とチーム内での回収をお願いした。最終的に調査用紙は郵送にて,回収した。
倫理的配慮 いわき明星大学研究倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号15-05)。
結 果
 分析には,樋口(2014)の作成したKH Coder 3を使用した。前処理を行った後,調査回(月)ごとに,頻出150語による抽出語リストを作成した。そして,出現回数が1であったものを除いて,複数回出現した語のみにしたリストを作成した(Table 1,Table 2, Table 3)。
 11月の調査において,最も多かったのは「県」であり,次いで「大会」であった。「県大会でベスト4」という目標を書いた者が6名おり,優勝を目標に掲げた者も合わせると,9名になった。
 12月の調査において,最も多かったのは「大会」であり,次いで「県」であった。11月と同様「県大会」を目標に掲げる者が9名おり,すべて,優勝(ゆう勝,ゆうしょうを含む)を目標として記述していた。また,「倉」は「たな倉(棚倉)」という地名であり,この地で行われる大会で2位以上,優勝することを目標とした者が5名いた。
 2月の調査において,最も多かったのは,「大会」であり,次いで「勝つ」であった。また,「試合で上位に入る」といった目標を書いた者が3名いた。
考 察
 11月の調査時点では,「全日本少年サッカー大会」というこの年代で一番大きな全国大会に向けての県予選が行われていた。この大会において,調査対象者たちが所属していたチームはベスト4(3位以内)以上を目標としていたことがわかる。しかしながら,実際には,目標通りの結果は得られていない。12月は,県大会が終わった直後であり,次年度の大会では優勝を目指そうという目標があったと考えられる。2月の時点では,目前に大きな大会はなく,11月や12月と比べると,やや漠然とした目標を掲げる者が多くみられた。大会の直前の時期には,好成績を残そうという目標が共有されるが,それ以外にチームとしての共通した目標は認識されていないと考えられる。
 今後,チームの中で個々人がおかれた立場によって記述される目標に違いはあるのか,個人の目標との関連や他の個人差変数との関連など,より詳細な検討を加えていきたい。
引用文献
樋口耕一(2014).社会調査のための計量テキスト分析―内容分析の継承と発展を目指して― ナカニシヤ出版.

本研究はJSPS科研費JP15K16457の助成をうけたものです。

キーワード
目標/少年サッカー/自由記述


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