発表

3B-071

乳幼児を持つ母親の子育て目標と行動の関連

[責任発表者] 中根 愛:1
[連名発表者・登壇者] 渡邊 直美#:2, 小林 哲生:2
1:NTTサービスエボリューション研究所, 2:NTTコミュニケーション科学基礎研究所

目 的
 子育てに関する信念や目標は子育て行動に影響することが指摘されており,たとえば子どもがどのように育ってほしいかという長期目標が日常的な対話に影響を与えることなどが知られている(e.g. Roweら,2011).また,子育て目標や行動には文化差があり,同じ子育て目標を持っていても取られる子育て行動が異なる,異なる子育て目標であっても同じ子育て行動が取られることがあると指摘されている(Suizzo,2002).一方で日本において乳幼児の親の持つ子育て目標の研究は多くない.そこで本研究では,日本における子育て目標と子育て行動の関連を調査することを目的とする.

方 法
調査時期 2019年2月
調査協力者 1-3歳の子どもを持つ母親765名(平均33.5歳,SD4.97歳)を対象としてWebアンケートを実施
質問紙
子育て目標:子どもが将来どんな人になってほしい/ほしくないかについてのアンケート・インタビューをもとに167項目を作成し,それぞれに対し1(そう思わない)-5(非常に強くそう思う)の5段階での評定を求めた.
子育て行動:先行研究(Suizzo,2002)と子どもとの生活に関するインタビューを参考に60項目を作成し,それぞれに対し1(ほとんどしない)-4(いつもする)の4段階で評定を求めた.

結 果
子育て目標の因子:項目間相関や因子負荷を鑑み項目を削除し,41項目を分析対象として因子分析(最尤法,プロマックス回転) を行ったところ,5因子が抽出された(表1).それぞれの因子内に含まれる項目の得点を合計したものを,子育て目標得点として利用した.
子育て行動の因子:60項目を利用し因子分析(最尤法,プロマックス回転)を行い,3因子を抽出した.因子1 愛情表現行動(10項目.子どもが泣いていたら必ずなだめる等),因子2 刺激行動(7項目.他の子どもが体験しないことをたくさん体験させる等),因子3 規律行動(3項目.お店などの公共の場では落ち着いて過ごすように教える等)であった.因子負荷0.5以上の項目を抽出し,これらの得点を因子ごとに合計したものを子育て行動得点とした.
子育て目標と行動の関連:3つの子育て行動得点それぞれについて,5つの子育て目標得点との関連を確認するため,重回帰分析(強制投入法)を行った.結果を表2に示す.

考 察
 本結果より,愛情伝達行動に関連する子育て目標は親子の良好な関係,他者への温かさであった.前者については,子どもを抱きしめる等の愛情表現行動を取ることで,子どもとの親密な関係を築き,それが将来的に愛情・信頼の関係につながるという考えに基づくと考えられる.後者は,子どもが他者に対し優しい人になるため,親が手本となり子に愛情や思いやりを示すことが重要という考えが反映されていると考えられる.
 規律行動は,個人の能力の向上が負に,他者への温かさ,生活への真面目さが正に関連していた.社会での適切な振る舞いをしつける「規律行動」は,子どもの自立性等を育てるために適切でないと考えられていること,一方で他者に温かい人,真面目な人になるには,規律を守るように親からしつけることが必要であると考えられていことが示唆された.
 本調査では,子育て行動を質問紙による自己評価で取得したが,行動の自己評価と実際の行動は異なる可能性がある.今後は観察等により行動データを取得し,子育て行動,行動観察,そして行動評価も交えた分析を行いたい.

引用文献
Rowe, M. L., & Casillas, A. (2011). Parental goals and talk with toddlers. Infant and child development, 20(5), 475-494.
Suizzo, M. A.,(2002) “French parents' cultural models and childrearing beliefs,” International Journal of Behavioral Development, 26(4), pp.297-307.

キーワード
子育て目標/子育て行動/母親


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