発表

3A-073

子どもの意思決定と母親の支援行動との関連性について

[責任発表者] 蓮見 元子:1
[連名発表者・登壇者] 川嶋 健太郎:2
1:川村学園女子大学, 2:東海学院大学

問題と目的
子どもは毎日の生活の中で, 誰と何をして遊ぶか,どの洋服を着るか,など様々なことを選び,意思決定をしている。子どもが幼い時には大人が選ぶことが多いであろうが,次第に子ども自身で選ぶようになる(川嶋,2017)。しかしながら,最近の子どもは自分の意思をきちんと主張せずに黙って相手に従ったり,選んでしまうことがある(蓮見・川嶋,2109)。子どもの意思決定能力を育成するために大人はどういった関わりをすればよいだろうか。子どもの意思決定能力の発達に影響するであろう要因として保護者の関わりがあろう。さらに子どもの年齢や発達の特性なども関連するかもしれない。本研究は,子どもの意思決定行動に影響する要因として,母親の意思決定支援行動,育児における母親の困り感,さらに子どもの年齢や言語発達を取り上げ,検討することを目的とする。
方法
手続きと調査対象者:WEB調査会社が保有するモニタで1歳から5歳までの乳幼児を持つ母親のうち参加の同意が得られた調査協力者410名を対象とした。居住地は全国に及び,職業は主婦が220名,他は会社勤務やパート・アルバイトであった。WEB調査は平成31年3月に実施された。
調査内容:質問項目(1)WEB調査に先立ち,平成30年12月に保育における困り感についての自由記述式調査を保育者 123名に行い,その結果をもとに,母親用の育児における困り感に関する13の質問項目を作成した。質問項目(2)子ども との関わり(話しかける,絵本を読む,歌いかける)に関する3項目。質問項目(3)意思決定支援尺度(蓮見・北原・川嶋, 2017)の下位尺度(『話し合い・説明による支援』,『意思尊重・待機支援』,『親主導選択肢提示支援』)から抽出した10項目。質問項目(4)子どもの意思決定行動タイプ尺度(蓮見・北原・川嶋,2017)(『自分で決める』,『相手任せ』,『こだわる』)の10項目。質問項目(5)子どもの理解語,表現語の数に関する質問。回答はすべて4件法とした。
結果と考察
まず,本研究で作成した母親用の育児における困り感について一次性を確認するために主成分分析を行った。その結果,第一主成分に対する負荷量がいずれの項目も.60以上となり,Cronbachのα係数が.87となった9項目で育児における困り感尺度を構成することとした。因子分析(主因子法・プロマックス回転)を行い,『育児上の問題』『発達の気がかり』の2つの因子を抽出した。母親の意思決定支援行動に関する尺度の3因子,育児における困り感尺度の2因子, 3項目からなる「子どもとの関わり」,さらに「理解語の数」,「表現語の数」を説明変数とし,子どもの意思決定行動の3つのタイプを従属変数として,重回帰分析(強制投入法)行った。予測値として子どもの年齢を投入したが投入しないモデルとの有意な差異はなかったので,投入しないモデルを採択した。
重回帰分析の結果(Table 1とTable 2),こどもとの関わりが多く,子どもの意思を尊重し,決めるまで待ってあげたり,話し合い・説明による意思決定支援を行っている母親の場合,子どもは「自分で決める」傾向があった。逆に,母親の側で,親主導選択肢提示支援が多い場合は子どもが「自分で決める」ことが減少していた。子どもが意思決定の際に「こだわる」のは,育児上の問題を母親が抱えていることと関連があった。子どもが「相手まかせ」であるのは子どもの意思を尊重せずに母親主導で決めてしまうこと,発達が気がかりなこと,さらに子どもの理解語の少なさと関連していた。
子どもの意思決定能力を育成するためには日ごろから子どもとよく関わり,子どもの意思を尊重し,子どもの意思を引き出すような接し方が望ましいことが示唆された。
引用文献
蓮見元子・川嶋健太郎(2019)保育園児の共同意思決定と大人の介入 日本発達心理学会発表論文集, PS5-14
蓮見元子・北原靖子・川嶋健太郎(2017)幼児期の子どもの意思決定を支援する母親の行動―意思決定支援尺度作成の試み 川村学園女子大学子ども学研究年報,2,1,161-167

キーワード
母親/子ども/意思決定支援


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