発表

2D-064

片づけ動機と精神的健康の関連

[責任発表者] 元井 沙織:1
[連名発表者・登壇者] 小野寺 敦子:1
1:目白大学

問題と目的
近年では,片づけに関するマニュアル本が数多く出版され,メディアでも頻繁に片づけが取り上げられている。中西他(2006)は,児童生徒が自分専用の個室を片づけて整理・整頓する理由として,(1)きれいになるなど「見た目」,(2)物の所在がわかるなど「使いやすさ」,(3)落ち着くなど「居心地」,(4)客に見られるなど「人の目」が挙げられることを明らかにしている。そこで本研究では,大学生の片づけ動機を捉える尺度を作成する。まず,予備調査において自由記述から,片づけ動機の測定項目を作成する。その後,因子分析による尺度の構成概念妥当性の確認と信頼性の確認を行う。さらに,片づけをしようとする動機と精神的健康との関連について検討する。

方法
予備調査:大学生126名(男性52名,女性71名,不明3名;平均年齢18.37歳,SD=1.14)を対象に自由記述によって片づけ動機についての回答を求めた。
本調査:大学生171名(男性65名,女性106名;平均年齢19.61歳,SD=1.17)を対象に次の内容の質問紙調査を行った。(1)片づけ動機に関する項目:予備調査によって得られた記述を中西他(2006)を参考に分類し,21項目を選出した。それぞれについて,「普段あなたが自室(または自分のスペースの片づけをする理由として,次の各項目は,どの程度当てはまりますか。」という教示のもと,「1全くあてはまらない」から「4非常にあてはまる」までの4件法で評定を求めた。(2)精神的健康:WHO-5(Awata,2002)5項目。

結果と考察
片づけ動機を測定した21項目について,探索的因子分析(最尤法,Promax回転)を行った。固有値の減衰状況および解釈可能性から4因子解が妥当であると判断した。いずれかの因子に.40以上で負荷し,かつ複数の因子に負荷していないことを基準に項目を取捨選択し,16項目を採用した(Table 1)。第1因子は,気分転換をすることに関する項目に負荷量が高く「気分転換」と名付けた。第2因子は,自室(自分のスペース)を快適に過ごすことに関する項目に負荷量が高く「快適」と名付けた。第3因子は,自室(自分のスペース)を清潔にすることに関する項目に負荷量が高く「清潔感」と名付けた。第4因子は,人目を気にする項目に負荷量が高く「人目」と名付けた。それぞれのα係数は,「気分転換」.88,「快適」.85,「清潔感」.80,「人目」.68であり,「人目」については,少々低い値であったが,おおむね内的整合性の観点から信頼性が確認された。さらに,因子構造の妥当性を検討するために,探索的因子分析で得られた4因子を想定して,確認的因子分析を行ったところ,適合度はχ2(98)=225.76(p=.000),CFI=.91,TLI=.89,RMSEA=.088(90%CI(.073,.103))であった。許容される適合度は得られたが,十分な適合度は得られていないと判断し,適合度指標の改善のため,修正指数並びに各項目の項目間相関と項目内容の類似性を参考にし,「人が来るから」と「人から汚いと思われたくないから」の項目誤差間に共分散を仮定した。その結果,各因子から質問項目へのパス係数における標準化係数は.30以上であり,適合度はχ2(97)=203.99(p=000),CFI=.92,TLI=.91,RMSEA=.081(90%CI(.065,.096))と適合度が改善された。そのため,一定の因子的妥当性が示されたと判断した。片づけ動機の各下位尺度と精神的健康を測定するWHO-5の各項目との相関係数を算出した(Table 2)。片づけ動機の「人の目」以外は,精神的健康のいずれかの項目と有意な正の相関が見られた(r=.20-.27,p<.01)。他者からどう思われるかという動機での片づけは,精神的健康との相関は見られず,「気分転換」したり,「快適」に過ごしたり,「清潔感」のある環境で過ごしたいという自分の満足のために片づけをすることが,精神的健康と関連していることが示された。片づけに多くの意味をみいだし,実感することができれば,日々の生活を充実させることにつながる可能性があると考えられる。

キーワード
片づけ動機/精神的健康


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