発表

2D-063

気質特徴に適合した親子ふれあい遊びが養育者の育児不安および育児自己効力感に及ぼす効果

[責任発表者] 武井 祐子:1
[連名発表者・登壇者] 門田 昌子:1, 奥富 庸一:2, 竹内 いつ子#:1, 岩藤 百香#:1, 岡野 維新#:1, 寺崎 正治:1
1:川崎医療福祉大学, 2:立正大学

【問題】 武井ら(2007)は,子育てをめぐる不安(育児不安)やストレス(育児ストレス)に影響を与える要因として子どもの気質特徴に着目し,養育者の育児不安を低減するためには気質特徴に適合した育児行動が出来るという育児自己効力感を高めることが重要であることを明らかにした(武井ら,2008)。1歳児を対象とした気質特徴に適合した12 種類のベビーマッサージプログラムの実践は,養育者が子どもを理解することを助け,育児における気づきや子どもへの関わりを考えるきっかけとなり,積極的な育児行動につながること(武井ら,2015ab;2016),母親の育児自己効力感を高めることや育児不安を低下させることが明らかとなっている(武井ら,2017a)。さらに,武井ら(2017bc;2018ab)は,2歳児以上を対象にして,親子ふれあい遊びに着目し,養育者が子どもの気質特徴を理解し,親子ふれあい遊びを体験すると,養育者の子どもの特徴への新たな気づきや親子間の関わりを促進させる可能性や養育者の育児による時間の拘束感や負担感が低下することを指摘している。さらに,親子ふれあい遊びが気質特徴に適合した内容になることで,自身の子どもにどのように関わったらよいか具体的に考えるきっかけとなるとともに日常生活のなかに積極的に取り入れていきたいという養育者の認識につながることが明らかとなっている(武井ら,2019)。しかし,気質特徴に適合した親子ふれあい遊びが,養育者の育児認識だけでなく,育児不安や育児自己効力感にどのような効果があるのかについては検討されていない。そこで,本研究では,気質特徴に適合した親子ふれあい遊び体験が養育者の育児不安や育児自己効力感にどのような影響を与えるのか,従来の親子ふれあい遊び体験との比較によって明らかにすることを目的とする。
【方法】 対象者;A市の子育てひろばや児童館,保育園に貼られたチラシを見て応募し,研究協力に同意した養育者とその子ども35組であった。親子ふれあい遊びを体験したのは14組(統制群),気質特徴に適合した親子ふれあい遊びを体験したのは21組(実験群)であり,養育者の平均年齢は35.56歳(SD 3.63),子どもの平均月齢は37.34ヶ月(SD11.94),男児14名,女児21名であった。質問紙;(1)幼児気質質問紙 武井ら(2007)の6尺度47項目 (2)育児不安質問紙 手島・原口(2003)の3尺度24項目 (3)育児自己効力感質問紙 井元 (2007)の質問紙のなかで育児不安・育児満足と強い相関関係が認められた「接し方」「褒め方・叱り方」のカテゴリに含まれる9項目 手続き;養育者が(1)(2)(3)に回答後,個別に子どもの気質特徴の結果が養育者にフィードバックされ,親子ふれあい遊びあるいは気質特徴に適合した親子ふれあい遊びを実施した。養育者には1ヶ月後に(2)(3)への回答,返送を求めた。分析に用いたのは全ての質問紙に回答した32組(統制群14名,実験群18名)であった。
【結果と考察】 統制群と実験群で,子どもの気質特徴のフィードバックを受け,親子ふれあい遊び体験前と体験後で育児不安及び育児自己効力感に変化が認められるかを検討するために,2要因(統制群・実験群×体験前・体験後)の分散分析を行った(表1)。育児不安尺度の中核的育児不安,育児自己効力感の接し方および叱り方・褒め方について,体験の主効果(中核的育児不安:F (1,30) = 4.47,p <.05;接し方:F (1,30) = 6.43,p <.05;叱り方・褒め方:F (1,30) = 6.75,p <.05)は有意であったが,群の主効果は有意ではなかった。また,育児不安尺度の育児感情において交互作用が有意であり(F (1,30) = 4.36,p <.05),育児時間において交互作用が有意傾向であった(F (1,30) = 2.94,p <.10)。実験群・統制群における体験前・後の単純主効果を検討したところ,育児感情については,実験群が体験後に有意に下がっていたが(p <.05),統制群は体験前・後で有意な差は認められなかった。一方,育児時間については,統制群が体験後に育児時間が有意に下がっていたが(p <.05),実験群は体験前・後で有意な差は認められなかった。つまり,子どもの気質特徴のフィードバックを受け,親子ふれあい遊びあるいは気質特徴に適合した親子ふれあい遊びを体験することで育児に対する漠然とした不安は下がり,育児自己効力感は高まるが,親子ふれあい遊びを体験すると育児によって生じる時間の制限感や拘束感が低下し,気質特徴に適合した親子ふれあい遊びを体験すると子どもや養育に対する忌避感情が低下することが明らかとなった。今後はこれらの効果が養育者のどのような育児認識によって生じたものなのかを明らかにし,子どもの気質特徴に適合した親子ふれあい遊びプログラムの有効性を検討していきたい。

本研究は川崎医療福祉大学倫理委員会の承認を受け(17-050号),JSPS科研費JP15K01928の助成を受けて行ったものの一部である。

キーワード
気質/親子ふれあい遊び/育児不安


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