発表

2C-059

小学生保護者用養育行動尺度の構成2 養育行動と心理社会的不適応との関連

[責任発表者] 廣瀬 愛希子:1
[連名発表者・登壇者] 濱口 佳和:1
1:筑波大学

【目 的】
本研究では, 濱口(2019)で構成された小学生保護者用養育行動尺度の併存的妥当性を検討するとともに,抑うつ・不安傾向, 攻撃行動,向社会的行動との関連を検討する。
【方 法】
(1)調査内容 A.小学生保護者用養育行動尺度:濱口(2019)が作成した58項目5件法の尺度。肯定的養育行動群(暖かい支持的対応(15項目),情動自己調整促進対応(7項目),行動自己調整促進対応(8項目),共感・向社会的行動促進対応(8項目)・否定的養育行動群(冷たい拒否的対応(12項目),過剰な許容的対応(4項目),過剰な制限的対応(4項目))の2群7下位尺度からなる。
a.暖かい支持的対応,b.情動自己調整促進対応,c.行動自己調整促進対応,d.共感・向社会的行動促進的対応,e.冷たい拒否的な対応,f.過剰な許容的対応,g.過剰な制限的対応
B.FDT親子関係診断検査:東ほか(2002)による尺度中,基本的受容(8項目), 不介入(4項目), 無関心(5項目)のみ使用した。5件法。
C.CBCL4-18:井澗ほか(2002)の日本語翻訳版の中から,抑うつ・不安尺度16項目(3件法)のみ使用した。
D. CSBS-P:Crick & Grotpeter(1994)の日本語翻訳版を抜粋して使用。攻撃行動(4項目)(顕在性攻撃2,関係性攻撃2), 向社会的行動(4項目)。子どもの社会的行動についての親が評定(5件法)。
(2)調査対象者:濱口(2019)と同一のサンプルである。NTTコム・オンライン・マーケティング・ソリューションズにモニター登録している成人男女で小学生の子どもの保護者320名(母親156名,父親164名)を対象とした。
【結果と考察】
(1)併存的妥当性の検討:小学生保護者用養育行動尺度全7下位尺度とFDTの基本的受容,不介入,無関心の各尺度との相関係数を算出した(Table 1)。父母ともに, 肯定的養育行動群の下位尺度は全て,FDTの基本的受容と正の,無関心とは負の有意相関が見られ,妥当性の根拠が得られた。特に暖かい支持的対応の基本的受容へのβ係数の値は大きく,強力な妥当性の根拠となっている。また,否定的養育行動群の下位尺度は,冷たい拒否的な対応と無関心との間に比較的高い相関が見られ,過剰な許容的対応,過剰な制限的対応においても無関心と中程度の正の相関がみられた。また,否定的養育行動群のすべての下位尺度は基本的受容と負の有意相関があり,特に冷たい拒否的対応は値の大きな負の相関がみられ,強力な妥当性の根拠が得られた。
(2)保護者の養育行動と心理社会的不適応との関連の検討:保護者の性別と小学生保護者用養育行動尺度の7下位尺度を独立変数,CSBS-Pの攻撃行動尺度と向社会的行動尺度,CBCL4/18の抑うつ・不安尺度をそれぞれ従属変数とする重回帰分析を実施した。Figure 1に示す様に,性別と3つの養育行動で全分散の57%が説明され,とりわけ冷たい拒否的対応が高い正のβ係数を示した。他は,過剰な許容的対応で低い正の,共感・向社会的行動促進的対応で低い負の関連が見られた。また,父親の方が多くの攻撃行動を示した。これらは従来の結果と一致するものである。一方,抑うつ・不安に対しては,4つの養育行動で全体の31%の分散が説明された。ここでも冷たい拒否的対応が正の大きなβ係数を示した。他には,過剰な制限的対応が低い正の,共感・向社会的行動促進的対応と過剰な許容的対応が低い負の関連を示した。抑うつ・不安傾向は,否定的養育行動によって促進され,肯定的養育行動群によって抑制されることが明らかにされた。これらは従来の結果と一貫性のあるものである。過剰な許容的対応との負の関連は,子どもが内在化問題を強く表出する結果,保護者が極端に許容的に対応せざるを得ない,逆向きの因果が反映されているためかもしれない。

キーワード
養育行動/尺度/小学生の親


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