発表

2C-058

小学生保護者用養育行動尺度の構成1
尺度の因子構造の検討

[責任発表者] 濱口 佳和:1
[連名発表者・登壇者] 廣瀬 愛希子:2
1:筑波大学, 2:筑波大学

【目的】
 我が国の児童相談所における児童虐待の相談件数は増加の一途を辿り,非常に深刻な状況にある。マルトリートメント(不適切な養育)の子どもへの影響は深刻で,早期発見と早期介入が必要である。被害児の年齢別構成では小学生は全体の35.2%を占め, 就学前の子供と並んで,早期発見と対応が望まれる。児童期には以下の発達的特徴がある。①より目標志向的で計画的になり,自己の身体,感情,思考を制御しつつ
比較的長期間自己の行動の遂行と結果をモニターするようになる(Collins et al.,2008),②視点取得能力の獲得,道徳的価値の内在化, 適切な社会的行動の学習,攻撃行動・社会的後退行動の抑制が進み,仲間関係への参加が重要な発達課題となる,③不安障害,抑うつ,素行障害の発症がみられる。また,親子関係については, 親が子どもの行動を外的に調整することが減少し,親子の共同調整(coregulation)が進む時期でもある。本研究では,児童の上述の発達的特徴と共同調整的な親子関係の特徴を踏まえ,行動理論の立場から実証された養育技法と,愛着理論や道徳性発達理論の立場から実証された適切な養育行動,発達精神病理学的諸研究により児童の外在化問題並びに内在化問題のリスク要因であることが明らかにされた養育行動を網羅的に測定可能な養育行動尺度の作成を目的とする。
【方法】
(1)小学生保護者用養育行動尺度原版の作成:先行研究の網羅的レビューにより,①児童期に発達する望ましい特性(向社会的行動, 行動・感情の自己調整, 道徳的価値の内在化)の形成を促進する養育行動, ②攻撃行動と心理的不適応(抑うつ,不安障害傾向)を抑制する養育行動を特定し,図1に示す様に,肯定的養育行動群(暖かい支持的対応,情動自己調整促進対応,行動自己調整促進対応,共感・向社会的行動促進対応)・否定的養育行動群(冷たい拒否的対応,過剰な許容的対応,過剰な制限的対応)の2群7下位尺度からなる養育行動の尺度原版(60項目5件法)を作成した。具体的な項目例をいかに示す。a.暖かい支持的対応「どうすればよいか子どもが困っている時,よい解決方法を一緒に考える」等
b.情動自己調整促進対応「何か伝えたい気持ちがある時は,がまんせずに言葉で言うように子どもに教えている」等
c.行動自己調整促進対応「子どもの生活習慣で改めた方が良いことについて, 子どもの考えも聞いてよく話し合った上で決める」等d.共感・向社会的行動促進的対応「子どもには,相手の立場に立って考えるよう日頃から言っている」等
e.冷たい拒否的な対応「子どもに「嫌な子だ」とか「いなければいいのに」などと言うことがある」等
f.過剰な許容的対応「子どもが欲しがるものは何でも与える」g.過剰な制限的対応「子どもが何かチャレンジしようとすると,ムリではないか気になってさせないようにする」等
(2)調査対象者:NTTコム・オンライン・マーケティング・ソリューションズにモニター登録している成人男女で小学生の子どもの保護者320名(母親156名,父親164名)を対象に,FDT(基本的受容, 不介入, 無関心)CBCL4-18(抑うつ・不安), CSBS-P(攻撃行動, 向社会的行動)と併せて実施。
【結果と考察】
検証的因子分析と尺度構成:SEMにより,図2に示す斜交2因子モデルの適合度を算出した結果,RMSEAは.076となった。この結果に基づき下位尺度を構成したところ,表1に示す様に全下位尺度で内的整合性が高かった。冷たい拒否的対応と過剰な許容的な対応ではやや低得点域に偏った分布になったが(歪度:前者.69,後者.84),他の下位尺度ではほぼ正規分布が確認された。

キーワード
養育行動/尺度/小学生の親


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