発表

2B-074

中学生の教師への信頼感の評価の違いとレジリエンスとの関連

[責任発表者] 清水 美恵:1
1:聖徳大学

目 的
 レジリエンスとは,子どもがストレスな状態を経験することによって精神的に傷ついても,それを乗り越えて適応していくことができる力を指す。発達途上にある中学生のレジリエンスを高めることは重要であり,中学生のレジリエンスに教師への信頼感が影響を及ぼすことは明らかにされている (清水, 2018)。さらに,中学生が認識する教師への信頼感を細かく確認することは,子どものレジリエンスを高める介入の手がかりがより可能となると考えられる。そこで本研究は,中学生が回答する教師への信頼感の評価の違いがレジリエンスにどのように関連するかを検討する。

方 法
調査期間 2016年4月下旬から5月上旬に実施した。
手続き 質問紙調査法。調査票はクラス担任を通じて配布,回収された。
倫理的配慮 学校長より了解を得た後,研究の目的,方法,学習評価等の不利益な対応は受けないことを学級担任より口頭および文書で提示してもらい,対象生徒の回答をもって調査協力を得たものとした。本研究は,聖徳大学「ヒューマンスタディに関する倫理審査委員会」の承認を得て実施した。
調査内容 
(1)レジリエンス尺度 石毛・無藤(2006)の3因子19項目を用いた。4件法(1点~4点)による回答を求めた。 
(2)教師への信頼感 中井・庄司(2006)の教師に対する信頼感尺度の下位尺度である「安心感」から5項目を用いた。4件法(1点~4点)による回答を求めた。

結 果
 レジリエンスの下位尺度を従属変数,教師への信頼感の質問項目について「いいえ」「どちらかといえばいいえ」「どちらかといえばはい」「はい」に回答した者それぞれを回答群の独立変数として,Kruskal-Wallis検定を行った(Table 1)。その結果,レジリエンスの「意欲的活動性」「内面共有性」「楽観性」の下位尺度で,「先生と話していると困難なことに立ち向かう勇気がわいてくる」「私が不安な時先生に話を聞いてもらうと安心する」「先生ならいつでも相談できると感じる」「私が悩んでいるとき先生が私を支えてくれていると感じる」「先生は私の立場で気持ちを理解してくれていると思う」の4群間で有意差が示された。

考 察
 本研究の結果から,中学生の教師への信頼感のすべての質問項目に肯定されることに表される信頼関係は,レジリエンスを高める傾向が示され,中学生の心理的健康を保つために教師への信頼感は重要であることが示唆された。しかしながら,Table 1で示されているように,教師への信頼感の質問項目について「はい」と回答した中学生は,「いいえ」「どちらかといえばいいえ」「どちらかといえばはい」と回答した中学生よりかなり少ない。中学生期のこの時期は,自我発達などから,小学生期における教師への安定した態度が崩れやすい時期である (三隅・矢守, 1989)。そのため,教師は,生徒の情緒的な安定を保つような働きかけをすることによって,生徒の教師への信頼感に肯定的な影響を与えることがレジリエンスを高めるために必要であるといえよう。

キーワード
レジリエンス/教師への信頼感/中学生


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