発表

2B-072

園児はペアの種類により協同問題解決が異なるのか?

[責任発表者] 藤澤 文:1
1:鎌倉女子大学

  学校教育では「道徳の教科化」が始まり,学校の道徳の授業内においては考えたり議論をしたりすることが期待されるようになった。一方,道徳的なテーマに関する話合いにはさまざまなスキルが必要だと考えられるが,小学校入学前後の発達年齢を対象とした研究は少ない。そこで,本研究では入学を控える発達年齢の子どもがどのように協同問題解決(話合い)を行っているかを明らかにするために,ブロック積みの場面を設定してペアの種類別に検討する。
方法  協力者  本調査への参加に同意した同じ保育園に通う年中児及び年長児44名であった。同じ学年のペア別(男児女児ぺア[N = 18, M = 65.3, SD = 7.2], 男児男児ペア[N = 10, M = 67.7, SD = 6.7], 女児女児ペア[N = 16, M = 70.6, SD = 5.9])に調査への協力を依頼した。分析に先立ち,月齢を従属変数,ペアの種類を独立変数として分散分析を行った結果,有意差はなかったため,以下ではペア種別のみを分析対象とした(月齢を統制した共分散分析も実施したが,分散分析の結果と同様であったため等質であるとみなした)。
  調査内容  ブロックを積み重ねた写真(完成状態)を園児に見せ,二人で協力をしながら話し合って写真と同じようにブロックを積み重ねるよう求めた。その際に,2人で交互にブロックを積むこと,どちらが先にブロックを積み始めるかを二人で話し合って決めることの2つを求めた。課題は全部で2つ(第1課題,第2課題)であった。課題実施中はビデオに録画された。
  得点化  2課題のそれぞれについて,A.課題終了(ブロックを積み重ね終える)に要した時間(秒),B.課題実施中の発話回数,C.(積み重ねに)正解したブロック数(個)が数え上げられた。
  コード化  2課題のそれぞれについて,D.ブロック積みが完成したかどうか(完成,未完成),E.どちらが先に積み木を積むかを決められたか(決められた,決められない),F.ペア交互で順番にブロックを積めたか(できない,部分的にできた,できた)に分類された。
結果と考察  A~Cについて,課題別にそれぞれを従属変数,ペアの種類(男女, 男男, 女女)を一要因とした分散分析を行った(Table1)。その結果,第1課題においてCの主効果が有意であった(F[2,44] = 4.0, p < .05)。Bonferroni法を用いた多重比較の結果,女女=男女>男男であった。
  D~Eについて課題別にそれぞれの回答カテゴリ×ペアの種類(男女,男男,女女)のχ2検定を実施した。第1課題のDにおいて有意差があり(χ2[2] = 7.1, p <.05),残差分析の結果,男男ペアにおいて未完成が多く,完成が少なかった(Table2)。Eが有意傾向であり(χ2[2] = 5.9, p <.10),男男ペアにおいて決められるが多く,決められないが少なかった。Fが有意であり(χ2[2] = 16.5, p <.01),残差分析の結果,第1課題では男男ペアにおいてブロックを交互に積めない人が有意に多かった。第2課題では男男ペアにおいて部分的にブロックが交互に積める人が有意に多かった。
  以上の結果から,男女ペア,女女ペアにおいて,男男ペアよりも課題に正解する傾向が高く,逆に,男男ペアは課題が未完成であったり,2人での決定ができなかったり,約束が守れなかったりすることが多い傾向にあることが示唆された。その一方で,本研究の協力者数は少ないため,協力者数を増やして検討する余地がある。
  本研究は朝隈聖奈さんと実施しました。本研究は公益財団法人上廣倫理財団(課題番号:28‐B‐082),公益財団法人博報児童教育振興会(課題番号:2019-025)の研究助成を受けています。また,本原稿作成時には山口剛さん(日本工業大学)の協力を得ました。

キーワード
園児/協同問題解決/話合い


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