発表

1PM-093

成人後期における死に対する態度の変化パターン(2):死に関する思索性および個人背景要因との関連

[責任発表者] 丹下 智香子:1
[連名発表者] 西田 裕紀子:1, [連名発表者] 富田 真紀子:1, [連名発表者] 中川 威:1,2, [連名発表者] 大塚 礼#:1, [連名発表者] 安藤 富士子:1,3, [連名発表者] 下方 浩史:1,4
1:国立長寿医療研究センター, 2:日本学術振興会, 3:愛知淑徳大学, 4:名古屋学芸大学

目 的
 成人後期において、死の主題に取り組むことは重要な発達課題の一つとなる。しかし我が国で死の主題の様相に関して実証した研究は少ない。本研究は、死に対する態度の縦断的変化のパターングループ(丹下他, 2018)と、死に関する思索性および個人背景要因との関連を解明することを目的とした。
方 法
分析対象 「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の第1・3・5・7・8次調査(Wave:約3-4年間隔)に参加し、2回以上下記尺度に回答した730名(男性378名、女性352名。初回答時年齢:65-82歳、平均71.5±4.1歳。追跡期間:3.2-16.8年、平均8.2±4.2年)を分析対象とした。
尺度 (1)死に対する態度尺度(丹下他, 2013):死に対する恐怖(死への恐怖と略記)、死後の生活の存在への信念(死後信念)、生を全うさせる意志(生の全う)、人生に対して死が持つ意味(死の意味)、身体と精神の死(精神の死)の5下位尺度、および死に関する思索の深さ・頻度の指標項目を含む。Group-based multi-trajectory modeling(Nagin et al., 2016)により、この5下位尺度から、死に対する態度の縦断的変化の7つのパターングループが抽出された(丹下他, 2018; 表1参照)。(2)個人背景要因:年齢、過去2年間での死別体験および傷病体験。
解析 死に対する態度の縦断的変化パターンに関連する要因を検討するために、変化パターングループを独立変数、各測定時の死に関する思索の深さ・頻度、年齢を従属変数とする分散分析を行った。また、変化パターングループと、過去2年間での死別体験・傷病体験の有無との間でx2検定を行った。
結 果
 死に対する態度の変化パターングループ間で、死に関する思索の深さおよび頻度(Wave8を除く)に関して有意な差の存在が示唆された(表2)。特にG1で死に関する思索の深さ・頻度ともに低いことが示唆された。また、過去2年間での死別体験と死に対する態度の変化パターングループの間でWave3においてのみ有意な関連が示され(x2=14.13, p<.05)、残差分析からG1で近親者との死別が有意に少なく、G6で有意に多いことが示唆された。年齢および過去2年間での傷病体験と死に対する態度の縦断的変化のパターングループの間に有意な関連は示されなかった。
考 察
 死に対する態度の縦断的変化のパターングループと過去2年間での近親者との死別体験や自身の傷病体験との間には明確な関連性の存在が示唆されず、むしろ、死に関する思索性との関連性が示唆された。この結果は、死に関連しうるライフイベントの経験が直接的に死に対する態度に特定の影響をもたらすのではなく、個人の死に対する内的な取り組みが死に対する態度の変化に影響する可能性を示唆すると考えられよう。
引用文献
Nagin et al. (2016). Group-based multi-trajectory modeling. Statistical Methods in Medical Research.
丹下他 (2013). 中高年者に適用可能な死に対する態度尺度(ATDS-A)の構成および信頼性・妥当性の検討 日本老年医学会雑誌, 50, 88-95.
丹下他 (2018). 成人後期における死に対する態度の変化パターン-Group-based multi-trajectory modelingを用いて- 日本発達心理学会第29回大会.

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