発表

3EV-047

広告画像と商品の覚醒度の一致が購買意図に及ぼす影響~畏怖と懐かしさ画像に基づく検討~

[責任発表者] 王 隆基:1
[連名発表者] 楠見 孝:1
1:京都大学

目 的
 本研究では,商品特性としての覚醒度と,広告画像によって喚起される感情の覚醒度が一致することによって,消費者の当該商品に対する購買意図が高まるかどうかを検討する。感情は感情価(快-不快)と覚醒度(活性-不活性)の二次元で規定できるとされる(Russell, 1980)。覚醒度とは,脳や神経系が活発に働いている程度に関する主観的経験であり,覚醒度が情報処理や選択行動において重要な役割を担っていることが示唆され,広告心理においても取り扱うべきだと提唱されている(石淵, 2013)。Di Muro & Murray(2012)が行った実験では,匂いや音楽によって実験参加者の感情価と覚醒度を操作し,その後,商品特性として覚醒度の低いイメージのある飲み物(アイスティー)と覚醒度の高いイメージのある飲み物(エナジードリンク)のどちらかを実際に選んでもらった。その結果,快感情のとき,操作された感情の覚醒度と,商品特性としての覚醒度が一致する飲み物を選ぶ傾向にあることが示された。これを画像広告に応用すると,商品特性としての覚醒度と,広告画像が喚起する感情の覚醒度が一致しているとき,当該商品への購買意図が促進されると予測できる。そこで,本研究では,Matsuda, Sugimori, & Kusumi(2008)での実験手法を参考に,覚醒度の一致効果が広告認知においても生じるのかを検討する。
方 法
実験参加者 大学生24名(男性12名, 女性12名, 平均年齢20.9歳, SD = 1.42)が実験に参加した。
要因計画 2(商品の種類:エナジードリンク・お茶)× 4(高覚醒度感情:わくわく・畏怖/低覚醒度感情:安らぎ・懐かしさ)の参加者内計画であった。
 刺激 刺激はエナジードリンク・お茶の商品名を各48種類とわくわく・畏怖・安らぎ・懐かしさの感情画像を各6枚で構成された。商品名は無作為に,24個ずつの2セットに分け,それぞれ新項目・旧項目とした。これらの商品名を元に,上部を商品画像,下部を商品名という構成で,広告を作成した。各広告は感情画像と対呈示され,呈示回数はそれぞれ6回ずつであり,対呈示の組み合わせは常に一定であった。また,各刺激は予備調査によって選定した。
 手続き 実験は学習フェイズと評定フェイズから構成された。学習フェイズでは, PC上に呈示される広告および画像に対し,調和度(5件法)を評定させた。刺激は,3秒間注視点が呈示された後,3秒間呈示された。学習フェイズの後,5分間フィラー課題を行わせ,評定フェイズに移った。評定フェイズでは,学習フェイズで呈示した商品名(旧項目, お茶・エナジードリンク各12個)と未呈示の商品名(新項目, お茶・エナジードリンク各12個)をランダムに呈示し,好意度(1:嫌いである~9:好きである),購入意図(1:欲しくない~9:欲しい),再認判断(あった,なかった)について評定させた。
結 果
 結果の予測として,エナジードリンクは高覚醒度感情画像(わくわく・畏怖)と対呈示された方が,お茶は低覚醒度感情画像(安らぎ・懐かしさ)と対呈示された方が,購買意図が高くなると考えられる。
 図1は購買意図の商品・感情別平均値を示す。購買意図について,線形混合モデルを用いて分析を行った。エナジードリンクにおいては,わくわくと懐かしさ(β = 0.46, t = 1. 73, p = .085),畏怖と懐かしさ(β = 0.44, t = 1.67, p = .095),それぞれの間の差が有意傾向であり,懐かしさよりもわくわく・畏怖の方が購買意図を高く評定される傾向にあった。お茶においては,わくわくと安らぎ(β = 0.54, t = 2.04, p = .042),畏怖と安らぎ(β = 0.56, t = 2.09, p = .037),それぞれの間に有意な差が見られ,わくわく・畏怖よりも安らぎの方が購買意図を高く評定されていた。エナジードリンク・お茶共に,その他の感情間に有意な差は見られなかった。また,Withinレベルを商品名,Betweenレベルを参加者として商品別にマルチレベル相関分析を行った。Withinレベルにおいて,エナジードリンク・お茶の両方で,調和度と購買意図は有意な正の相関がみられた(r (576) = .177, p = .003; r (576) = .179, p = .002)。
考 察
購買意図においては,エナジードリンクはわくわく・畏怖条件が懐かしさ条件よりも高い傾向にあり,お茶は安らぎ条件がわくわく条件・畏怖条件よりも高かった。また、相関分析の結果から、画像と商品名の調和度において正の相関がみられた。以上のことから、画像と商品名の覚醒度が一致していることによって、購買意図が促進される可能性が示唆された。今後の研究においては、購買意図が形成されるプロセスについて検討すること、そして、感情ごとに購買意図に対してどのような影響を持つのか詳しく検討することが必要であると考えられる。

詳細検索